普通の人がクレーマーになってしまうワケ

最近店員などへのクレームが増えていることは、よく報じられています。しかもクレーマーの正体は、一般市民であることが多いようです。どうして普通の人がクレイマーになってしまうのか、その原因を探ってみました。

  • 増加していく一般市民のモンスター化
  • クレーマーが要求しがちな8つのこと
  • クレーマーに変える6つの要因

増加していく一般市民のモンスター化

お客による店員などへのハラスメントである「カスタマーハラスメント」が、メディアで取り上げられる機会も増えました。中には悪質なクレーマーとして逮捕された例もあります。

逮捕されたクレイマーの映像などを見て、自分とは関係ないと思っていませんか? 

じつは1992年の暴力団対策法が施行されて以来、反社会的勢力(暴力団など)によるクレームは影が薄くなくっているそうです。その代わりに台頭してきたのが、一般市民のモンスター化です。

クレーム対応の専門家である援川聡氏は、自著の中で次のように指摘しています。

もともと「善良な市民」だった人たちが、詐欺師まがいの行動をとったり、常識では考えられない理不尽な要求を突きつけてくるようになったのです。(『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』)

つまり自分がクレイマーになってしまう可能性もあるのです。

そこで「善良な市民」がクレーマーに化ける理由を解説していきましょう。

クレーマーが要求しがちな8つのこと

悪質なクレームには次のような要求があると、援川氏は指摘しています。

①欠陥があった商品。サービスの代金よりも高額な賠償を要求する
②自分の過失を隠したり、自ら細工をしたりして、不正な返品・返金を求める
③精神的なダメージを受けたとして、慰謝料・迷惑料を要求する
④従業員の接客・接遇態度に文句をつけて、その従業員の解雇を求める
⑤自分だけの特別待遇を求める
⑥実現不可能な業務改善や是正措置を求める
⑦過失についての謝罪文・詫び状、社告を強要する
⑧謝罪として土下座を要求する

担当者の対応が気に食わず、ヒートアップしている中で、要求がエスカレートしてしまうこともあるかもしれません。しかし上記のような要求を口にするようであれば、悪質なクレーマーと判断されても仕方ないでしょう。

クレーマーに変える6つの要因

では、「善良な市民」をクレーマーに変える要因には、どのようなものがあるのでしょうか? まとめてみましょう。

①格差の増加
格差が広がれば、他人への嫉妬を抱えやすくなり、日ごろの不満をクレームで晴らそうと考える人も出てくるそうです。

②ネットの発達
インターネットを使って情報を流すことで、会社などの組織に圧力をかけることができるようになりました。個人が組織に対抗できる力を持ったことが、クレーマーの増加にも影響しているそうです。

③クレーマー関連の情報増加
ニュースなどで企業の不祥事が報じられると、報道に関連したようなクレームが増えるそうです。食品偽装問題が連日報じられたときには、材料の原産地を疑うクレームが相次いだとのこと。

④お客様第一主義

現在、企業へのクレームはサービス向上や商品開発へと役立てられています。しかし企業によるお客中心の発想が、お客の期待値を押し上げ、その基準に達しないとクレームとなるといった悪循環も起きているそうです。

⑤理不尽な要求が通る

クレームがエスカレートする要因の一つが、理不尽な要求が通ってしまうこと。言えば要求が通ると思ってしまうと、言わなければ損といった感情を引き出し、クレーマー化が進んでしまうそうです。

⑥できるだけ利益を上げようとするサービスの提供

人はいい「贈り物」を受け取るとお返ししたくなり、逆にとにかく利益を得ようとすれば、相手もなるべく安い値段で入手しようとする。だからなるべく安く商品を手に入れられると感じさせるようなサービス、例えばクーポン券の配布などをしない喫茶店があります。「食べログ」で日本一の喫茶店に輝いた店を経営する影山智明氏は、テーブルに無料で置いてあるクルミがカバンなどに入れて持ち帰られないためには、お客が「お返し」をしたいと感じるような付加価値の高い商品とサービスの提供が必要だと自著で説明しています。

同じ消費者であっても、「贈り物」を返したいと来店するのと、少しでも利益を得たいと来るのでは店での態度が違ってくるそうです。無料のクルミをカバンに詰めたりもしないし、クレームで得をしようともしないお客になってもらうために、日々、高品質の商品の提供に取り組んでいるそうです。

このような対策の通じないクレーマーもいると思いますが、こうした店と客の関係性も重要でしょう。

上記のような事が原因となり、クレーマーへの精神的な壁が薄くなっていくようです。自分の要求は当たり前だと思っていても、気が付けばクレーマーとなってしまうケースもあるのです。

援川氏の書籍には、普段クレームを受けているお客様相談室の人たちがクレーマー予備軍となってしまう話が載っています。クレーマーに人一番頭を悩ませている人でさえも、自分がサービスを受ける立場になると不満を爆発させてしまうそうです。このような消費者の意識には注意する必要があるでしょう。

現在、クレーマー化する消費者に対抗していくべきといった論調も強まっています。理不尽な要求をすると、自身の社会的な地位を失う可能性もあることも肝に銘じておく必要はありそうです。

心理について興味のある方はこちらをご覧ください。

参考:『対面・電話・メールまで クレーム対応「完全撃退」マニュアル』(援川聡/ダイヤモンド社)/『ゆっくり、いそげ』(影山知明/大和書房)

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