「精神的に疲れたな」と感じることは増えているかもしれません。先の見えないコロナ禍で、さまざまなプレッシャーと闘いながら暮らしているのですから、疲れてしまう日があるのも仕方ないでしょう。そんな疲労感を軽減する方法をご紹介します。
脳の使い方を変えていく
ラトガース医科大学のラシ・アグラワル准教授は、恐怖への生物的な反応である「戦うか逃げるか反応」が繰り返すことが、ストレスに関連していると指摘しています。
「戦うか逃げるか反応」は感情の中枢である偏桃体が引き起こします。差し迫った危機対応なので、短時間で反応が表れものです。一方、論理的に考える脳の前頭前野は、反応するのに時間がかかります。
そのため恐怖を感じた瞬間は心拍数を上げて、筋肉に血を巡らせ、闘ったり逃げたりする準備を整えます。ところか、その恐怖がヘビから逃げるといった緊急に対処すべき案件でないと理解し、対策を考えるといった脳の動きはあとからゆっくり始まるのです。
この「戦うか逃げるか反応」という脳のオーバードライブ状態の時間を削るように、脳の使い方を変えていくことがストレス軽減に役立つそうです。
①ニュースサイトやSNSのアクセスを制限する
感情的に脳を刺激し続けないようにするための一つの方法は、ニュースサイトやSNSへの接続を少なくすることです。これらの情報は感情に訴えかけてきます。そうした情報を遮断することで、思考のための脳を活性化することができるそうです。
訪問するサイトを絞ったり、SNSからのプッシュ通知機能をオフにすることで、脳への感情的な刺激が少なくなります。自分の脳を休ませるためには、ネットの情報から距離を置く必要があるのだと認識するようにしましょう。
②マルチタスクをやめる
マルチタスクが脳に負荷をかけることが知られています。物事を同時に進めることで、ストトレスホルモンは増加し、脳は過度に刺激されてしまうからです。具体的には、次のような行動を推奨されていました。
例えば散歩するときは、携帯などの電源を切り風景をしっかり楽しみましょう。料理を作るときは、音楽やニュースなどをかけるのを止めて、料理の香りや色彩を十分に味わうようにします。食事のときもテレビや携帯を眺めなら食べるのではなく、料理の香りと味に集中し、堪能します。
私達の行動は、その一瞬が唯一の瞬間です。だからこそ、その瞬間に集中し、それに伴う「美しさ」や「素晴らしさ」を存分に感じ取ることが重要なのです。
③身体を動かす
人は疲れて感情的になると、何もする気が起きなくなります。ところが体を動かすと、気分がよくなるもの。精神的に疲れたと感じるときは、あえて体を動かしてみるのも一つの方法でしょう。
④生活習慣を維持する
起床や就寝、食事の時間を守り、掃除したり片づけたりする時間もしっかりと確保しましょう。突発的な出来事は常に起こりますが、自分が制御できる部分を確保していれば、その悪影響を最小限に抑えることができます。
野球選手のイチローが、日々のルーチンを重要視していたことは有名です。バッティングという繊細な作業を、高いレベルで維持するためには、野球に影響しかねない“不確定要素”を極限まで制限する必要があったからです。
私達も日々のパフォーマンスを上げたいなら、基本的な生活習慣を崩さないようにした方がいいでしょう。
⑤楽しい予定を入れる
重要なのは楽しいことを実行するだけではなく、スケジューリングすることです。楽しい予定を入れるだけで、脳は楽しみに意識を向けます。
かつては楽しめていたことを思い出してみましょう。そしてまたやってみたいなと感じたら、まず予定を組みカレンダーに書き込んでみましょう。その予定を意識することで脳の感じ方も変わってくるそうです。かつての楽しい気持ちを思い出せるかもしれません。
考えてみれば、旅行の楽しみは計画時から始まります。いつ、どんなところを巡るのかを意識することで、どんどん旅行への期待が膨らみます。そんなスケジューリングの力を、日常生活でも応用しましょう。
今日は精神的疲労を回復させる5つの方法を紹介しました。「何だか疲れたなー」と感じたら、ぜひ試してみてくださいね。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「How to Feel Better About Anything When Life Feels More Stressful Than Joyful」(Arricca Elin SanSone/Prevention)