日本人の性格傾向の一つとして、自己批判的だと言われることがあります。しかし行き過ぎた自己批判は、自信喪失や低い自己肯定感につながってしまいます。そこで自己否定的な態度への対処法についてまとめてみました。
- 日本人は自己批判的!?
- うまくいかない問題の原因を分析する
- 自分の長所を考えてみる
- 批判的な声を黙らせる
- なんで自己批判的なのか考えてみる
日本人は自己批判的!?
欧米では自己高揚的な人が多いとされています。例えば、米国で大学生を対象にした心理実験では、「自分が上位10%に入っているか?」という質問に、50%以上が「あてはまる」と答えているのです。
一方、日本人はこれほど自己高揚的でなく、自分は他者より劣っていると考える自己批判的な傾向が強いとされているのです。
ネガティブに考えがちな人はけっこういるでしょう。結果、自分に自信が持てなくて、さまざまなことに挑戦をしないといった人もいるかもしれません。そうした人が自己批判的な傾向を持つと、独り言などで自分をムダに攻撃し続けることになりかねません。
心理学の実験でも、批判的なチームはパフォーマンスが悪いことが証明されています。自分の能力をしっかりと発揮したいなら、自己批判的な態度を改善した方がいいでしょう。
そこで自己批判的な態度を改善する方法を4つ紹介します!
①うまくいかない問題の原因を分析する
自己批判の元となっているものを、冷静に分析してみましょう。
例えば一つのプロジェクトが失敗したとします。自己批判的な人は、その結果から自分が至らなかった部分を探し始めます。「自分が取りそろえた資料がイマイチだったのかも」「自分のパートの仕事をもっと早く終わらせておけばうまくいったかも」などなど。
しかし冷静に考えてみれば、プロジェクトが失敗した自分以外の大きな要因が別にあることに気づくでしょう。「社内での根回しがうまくいかなかった」「試算した予算が高すぎた」などなど。そう考えると自分だけを責めていること自体が、おかしいと気づくかもしれません。
自己批判が始まったら、批判している問題の原因を冷静に分析してみましょう。まったく違った視点から問題を理解できるかもしれません。
②自分の長所を考えてみる
まず自分の長所や自信が持てるところをリスト化してみましょう。そして、そのリストを見ながら、自分の実際の行動を褒めてあげてください。意外に自分が社会で役立っていること、自分の才能を生かしていることに気づくことでしょう。
自己批判的な人は、自分のプラスな面に注目しないケースがあるようです。自分の素晴らしい部分と、そうした才能が支える素晴らしい行動を認識してみましょう。もし、自分では思い浮かばないようなら、友人に自分の長所や才能を指摘してもらい、どんな行動が評価できるものだったのかを言ってもらいましょう。
③批判的な声を黙らせる
自己批判的な人の多くは、独り言で自分を攻撃しています。そうした言葉に気づいたときは、即座にやめるようにしましょう。止まらなければ、「やめて!」と周囲に人がいないことを確認して大きな声を出すのも効果があるようです。
さらに自己批判的な独り言に含まれる「ウソ」を暴きましょう。例えば「誰も私なんか気にしていない」「怠惰すぎて最低だ」といった言葉は、本当でしょうか? じつは自分のことを気にしてくれる仲間が居たりしませんか? また会社に、自分より怠惰な人はいないのでしょうか? 「最低」と言い切るほど、自分は怠惰な人間なのでしょうか?
批判的な独り言は、根拠のない断言であることが少なくありません。その間違いを自分でただしましょう。
④なんで自己批判的なのか考えてみる
自己批判の元になっている意識は、どんなものでしょうか? 何かしらの思い込みが、物事の判断に影響しているのかもしれません。
学生時代の成績によって自分は頭が悪いと思い込んだりしていませんか? 小さなコンプレックスによって、自分が醜いと考えていないでしょうか? どうして自分を批判してしまうんだろうと、その根本について考えてみましょう。
そうした根本の意識を発見するために、自分の自虐的な独り言と組み合せて、その理由を書き出す方法もあります。
「私はバカだ。なぜなら〇〇」
「私は最低だ。なぜなら〇〇」
「わたしなんて成功できるわけがない。なぜなら〇〇」
こうした質問をつくって「〇〇」について書き出していくのです。思いつくままに書いてみましょう。どんどん書き出してみると、自分の勝手な思い込みの理由がわかるかもしれません。わかっただけでも、問題が解決することもあるでしょう。また、そうした思い込みを捨てるために、行動を変えていくのもおすすめです。
今日は自分のパフォーマンスを下げる自己批判の撃退法についてまとめました。
自分に自信を持てるようになる方法に興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「Tackling Self-Blame and Self-Criticism」(Peg Streep/Psychology Today)/「日本人における自他の認識:自己批判バイアスと他者高揚バイアス」(唐澤真弓)