他人に真実を語らせるのは、なかなか難しいものです。特に相手が情報共有に消極的な場合はウソをつく可能性も高くなります。一方で、真実の情報を入手しなければいけないケースも少なくありません。そこで相手にウソのない情報を語らせる方法を調べてみました。
- 会話の序盤に「はい」か「いいえ」で答える質問を
- デリケートな質問の後は本音を話しやすい
- カジュアルな雰囲気で質問を
- ほかの人が秘密を洩らせば
- 仮定の話だと本音が漏れやすい
会話の序盤に「はい」か「いいえ」で答える質問を
正しい情報を入手したいと質問することは意外にあるものです。営業であれば受注に関連する時期や金額、ライバル会社の動きなどを、さりげなく探りたいこともあるでしょう。また夫婦間でも、不審の種を消すために質問することもあるでしょう。
そうしたときに質問の仕方で、相手が真実を語る可能性が高くなることを知っていますか?
緊迫した交渉をしているときは、デリケートな話題からズバリを切り込む方がいいと、米国にあるユタ大学の研究チームが発表しています。しかも「はい」か「いいえ」で答える形式の方が、真実を語る可能性が高いそうです。
というのも相手が真実を語りたくないと思っている場合、「どうなんですか?」とか「どのように思いますか?」といった自由に答えられる形式の質問だと、情報をはしょって答える可能性が高くなるからです。確かにあまり答えたくない質問をされたときに、ウソではないけれど十分ではないといった回答をした経験は誰にでもあるでしょう。
デリケートな質問の後は本音を話しやすい
最初にデリケートな質問をすることは、その後の質問に相手がオープンになりやすいといった効果もあります。最初の質問に比べると緊迫度が低くなるので、ついつい本音を話してしまうそうです。
ただ、こうした質問の順番は、関係性を深めていく場合とは真逆です。通常、相手との関係性を深めていく場合は、当たりさわりのない質問から始めて徐々に答えにくい質問にうつっていくものだからです。つまり緊迫した交渉で相手に真実を語らせようといった意図の会話と、より親しくなろうとするための会話とは、方法が違うことを理解しておきましょう。
また会話の序盤にデリケートな質問をぶつける手法は、序盤で相手の怒りを買う可能性があることも理解しておきましょう。
カジュアルな雰囲気で質問を
もう少し親しい関係で秘密の情報を得たいときは、なるべくカジュアルな雰囲気で質問する方がいいといった研究結果もあります。それこそ会議室などで質問するより、ちょっと飲みながらざっくばらんに質問する方が情報を開示しやすくなるのです。
飲みながら接待するといった昔からよくある手法は、相手の秘密を聞き出す上でも効果があることが、心理学の実験でも明らかになっているようです。
ほかの人が秘密を洩らせば
何人かの人から秘密を聞き出そうとする場合は、「他の人は正直に答えてくれた」といったことを告げると、「他の人は真実を話してくれない」と伝えるより27%も秘密を漏らす可能性が上がるといった研究結果があります。
他の人も話しているなら、あえて秘密を守る必要もないと考えるのは当然かもしれません。これは集団を相手に話す場合でも同じです。集団のうち一人が秘密を明らかにし始めると、ほかの人の緊張も緩み、いろんな人が口を開くようになるそうです。
つまり集団で話しているときは、口の軽そうな人が話しやすい状況になった方が、相手の秘密を知る可能性が高まるということです。
仮定の話だと本音が漏れやすい
仮定の質問でたずねると、ついつい本音で答えがちといったことも、よく知られています。「仮に契約にこぎつけると、どれぐらいの金額になりますか?」といった仮定の話で質問すると、相手も安心して本音で語るケースが多いようです。
たったこれだけのことでと思うかもしれませんが、会話の流れの中にさりげなく入っていると、抵抗感を感じにくい質問に人は油断しやすくなるということでしょう。仮定の話をとっさに思いつきにくいと思うときは、事前に質問事項をつくっておくといいでしょう。
今日は相手の本音を引き出す質問の方法をまとめてみました。相手の真意をさぐる必要があるときに活用してみてくださいね。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『「いい質問」が人を動かす』谷原誠/文響社)/「The Surprising Power of Questions」(Alison Wood Brooks and Leslie K. John/Harvard Business Publishing)