人間関係を改善する3つの方法

人間関係は難しいものです。ソリの合わない人もいるでしょうし、言動を誤解されてしまうこともあるでしょう。それでも簡単に関係を切れないのが、大人の人間関係の難しさかもしれません。そこで今日は人間関係を改善する方法をご紹介します。

  • アンケートが示す人間関係の難しさ
  • 最適の境界線を引く
  • 先に与える
  • じょうずに頼む

アンケートが示す人間関係の難しさ

エン転職が2018年に実施した「1万人に聞く『職場の人間関係』意識調査」によれば、転職経験者の53%が人間関係で転職したことがあると答えています。労働環境やキャリアップなど転職の理由はさまざまでしょうが、やはり人間関係を原因とする転職は多いのでしょう。

転職するところまでいかなくても、さまざまな人間関係に悩んでいる人は少なくないでしょう。職場、親戚付き合い、近所、ママ友など、関係性を断ち切ることが難しい人間関係も世の中には多いからです。

また関係が悪くはないけれど、何となく気詰まりといった人間関係の中で生活している人もいると思います。

こうした人たちに人間関係を改善するテクニックを紹介したいと思います。

①最適の境界線を引く

人間関係の難しさの一つに、境界線の違いがあります。「自分のプライベートに立ち入ってくる」「機嫌が悪いと当たり散らされる」「非常識な時間に電話がかかってくる」などなど。自分の快適な生活を乱す人間関係は、放っておいてもなかなか改善しないものです。

というのも境界線を乗り越えてくる人の一部は、自分が悪いことをしている自覚がありません。「あなたのために」といった思いから、プライベートに介入してきたり、必要のないお説教やアドバイスをしたりする人が代表格です。
また境界線を乗り越えていることをわかっていても、あなたをストレス解消の道具にし続けることをやめられない人もいるでしょう。当たり散らしたり、非常識な時間に電話をかけてくるのは、こうしたタイプです。

問題は、そうした相手とどのような境界線を、どうやって引くかということです。最も簡単な方法は、相手との縁を切ること。しかし切れる縁なら苦労はないでしょう。こうしたときにまず考えるのは、どこらへんに境界線を引くかです。どんな距離感が必要なのかをしっかりと考えてみます。特に自分にとって苦痛なことが何なのかは、しっかりと書き出しておきましょう。

次に相手に伝える練習をします。どんなことが起き、自分がどう思っているのか、どんなふうにしてほしいのかを話します。ただ職場の上司には、この3点だけを伝えると強い物言いになりかねないので、日ごろの感謝なども混ぜてみましょう。

人間関係の境界線について著書を持つ、おのころ心平氏は境界線を飛び越えて長話する人の撃退法として、「退屈な時は左肩を下げる」「手のひらを体の前に突き出してクルッと円を描く」といったボディーランゲージを推奨しています。もしかすると少し勇気のいる行動かもしれませんが、こうした行動がどのような意味を持つのか相手は理解しないまま、長話すべきではないといったメッセージを受け取り、自然と話を切り上げる可能性が高まるそうです。

②先に与える

何かをもらってから返すのではなく、自ら率先して与える人になると人間関係は豊かになると言われています。そして重要なのは、与えるモノはさまざまな種類があるということ。

感謝、思いやり、相手の尊厳、援助、理解といったものから、たんに相手に関心を示したり、笑顔を向けたり、褒めるだけでも、感謝されるようになります。

やや面倒な人が相手でも、うまく人間関係をつくっている人はいます。また、何をしているわけでもないのに、とても好かれている人もいます。こうした人は先に何かを与えている人も少なくありません。

また、人間関係の距離感にやや鈍感な人でも、感謝や笑顔、思いやりなどは比較的簡単に示すことができます。相手にちょっとした壁を感じるときなどは、試してみるといかもしれません。

③じょうずに頼む

相手ともっと距離を詰めたいと感じたときは、思い切って何かを頼むのが近道です。

米国の心理学者ジェッカーとランディの実験が、そのことを証明しています。

彼らの心理実験では、まず問題を解いてもらい賞金を渡します。ただし実験参加者の1グループが帰ろうとしたときに、資金不足だから賞金を返してほしいとお願いしました。するとお願いしなかった人より、お願いした人の好感度が上がったのです。

この実験では、「実験に参加したのに報酬がもらえない」という認知と、「お願いをしにきた担当者のことは何とも思っていない」という矛盾に陥った実験参加者が、「担当者のことを気に入っていた」という認知に無意識に変えたというのです。つまり「この担当者を気に入ったから返金した」という認知に変えたかったというのです。やや信じがたい結果に思えるかもしれませんが、このように矛盾した気持ちを解消する心理を専門用語では「認知的不協和理論」と呼びます。

実際、頼みごとをすることで距離を詰めてくる人は少なくありません。もっと距離を近づけたいと思ったときには、試してみるといいでしょう。

今日は人間関係を改善する方法をまとめました。気になった方法を試してみてくださいね。

人間関係を改善する知識に興味のある人は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:『図解 マイナス思考からすぐに抜け出す9つの習慣』(古川武士/ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『閲覧注意の心理学』(渋谷昌三/日本文芸社)、『人間関係 境界線(バウンダリー)の上手な引き方』(おのころ心平/同文舘出版)

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