くせは直したいが、有益な習慣づけは行いたい。その二つの願い、同時に叶えることができます。心理学の観点からみたくせのメカニズムを利用することで習慣づけも簡単に行ってしまう、そんな裏技を紹介しましょう。
- 「くせ」と「習慣」は、言葉のイメージが違うだけで意味はほぼ同じ
- 深層心理から読み解く、くせのメカニズム
- くせのメカニズムを、習慣づけに応用できる?
- くせをラク~に習慣づけしよう!
「くせ」と「習慣」は、言葉のイメージが違うだけで意味はほぼ同じ
くせとは、無意識に出てしまう、治したくなるような言動を示しています。一方で習慣とは、意識しているとしていないとにかかわらず、身についている日常行動のことをいいます。一般的に、くせにはネガティブなイメージが、習慣はポジティブなイメージがあるかもしれませんが、「日常的に、つい行うこと」という意味では同じです。
それでは、くせができてしまうメカニズムを知れば、習慣づけにも応用できるということにならないでしょうか。くせはどうしてできるのかをひもとき、好ましい習慣へ差し替えることができるかどうかを検討してみましょう。
深層心理から読み解く、くせのメカニズム
くせができる理由は、精神的欲求の種類によって大まかに「ストレス発散」「人の真似」「快感追求」「代償行為」の4つに分けられるといわれています。実際によくみられるくせを具体例として示しつつ、それぞれ解説します。
・ストレスの発散
貧乏ゆすり、爪を噛む、髪の毛を触るといったくせは、そのときに生じているストレスを発散させるための行動であるといわれています。自分の身体を触って安心を得たいという心理の現れです。もしも、自分の顔や体を触るくせがあるのであれば、「不安なとき、ストレスを感じたときにこのくせが出るのだな」と覚えておくといいでしょう。
・人の真似をする
仲良くなりたい人のしぐさを、無意識に真似てしまうくせのある人がいます。これはたんに親和欲求の現れですが、相手にそれと知られてしまうと非常に気まずい思いをすることがあるでしょう。子どもの頃は、親が無意識にとっている行動を真似るしぐさが愛らしくても、大人になるとあまり可愛いものではないかもしれません。
・快感を求める
枝毛を抜くなど、行うと気持ちがスッキリすると感じるくせは、知らず知らずのうちに快感を求めた結果です。ストレスを感じているとは言わないまでも、なんとなく気持ちがもやもやするときなどに生じやすいでしょう。くせを持っているという自覚があり、「やめようと思うがやめられない」と思う気持ちの強い人が多い傾向にあります。
・代償行為を行う
どうしても満たされることのない欲求を、他の行為で埋め合わせようとするのが代償行為です。眠いのに仕事を中断できないから間食してしまう、大量の仕事でストレスを感じている場合に衝動買いをしてしまうなど、思い当たる人もいるのでは。
代償行為は、エスカレートするとくせから依存症になってしまう可能性もあります。アルコールや買い物、過食などに代表される依存症は注意が必要です。
依存症はクセの範疇は超えるものです。依存症については医師の診療を受けるしかありません。
くせのメカニズムを、習慣づけに応用できる?
くせについては、うまくいけば好ましい習慣へと置き換えることができるかもしれません。具体的に、どんな習慣に置き換えられるかを考えてみましょう。
・キシリトールガムで歯周病予防(ストレス発散)
仕事中などにストレスを感じ、嫌なくせが出そうになったら、ガムを噛んでみませんか。ガムを噛むことがストレス発散に効果があることは広く知られています。キシリトールガムなら食後のエチケットとしても、歯周病予防としても最適です。爪を噛んだり、髪を触ったりするよりも、よほど自然なしぐさに見えますよ。ただ、同僚や上司と話をするのは、ガムを捨ててからにしましょう。
・物腰が美しい上司のしぐさを真似る(人の真似をする)
置き換えというよりはくせの応用です。あこがれの人の好ましいしぐさを真似てみてはいかがでしょう。字の美しい人の字真似をしてみるのもいいですね。気づかれないように真似をすれば、相手の親近感が増すという嬉しい作用もあります。
・ツボ押し、肩回しといったセルフマッサージ(ストレス発散、快感)
快感を求めて、枝毛を探すなどの癖が出そうになったら、肩のツボ押しや肩回しなど、セルフマッサージに置き換えてみましょう。自分の体に触れるしぐさなのでストレス発散にもなるだけでなく、健康促進にも一役買ってくれます。
・デスク周りの掃除をする(代償行為)
仕事上、大きなプレッシャーがかかり、衝動買いやお菓子の過食を始めてしまいそう……。そんな風に感じたら、思い切って立ち上がり、デスク周りの掃除を行いましょう。きれいにしているつもりでも、キーボードの中にたまった埃やペンケースのゴミをチェックし始めれば、きっと汚れの溜まっているところがあるはず。ちょっとの掃除でもきれいなデスク回りになれば、気持ちもすっきり、無性にお菓子に伸びていた手も止まるかもしれません。
くせをラク~に習慣づけしよう!
ハッと気づけばやってしまっているようなくせは、「治せない」と諦めている人も多いことでしょう。しかし、好ましい習慣に置き換えていくことができれば、自然とその回数が減ってきます。気になるくせをラクに習慣づけしてしまいましょう。よい習慣づけができる事で自分への自信につながるでしょう。