「マインドワンダリング」を知っていますか? 「心の迷走」とも言われるもので、現実を離れて思いを巡らすことです。いわばボーっとした時間ですが、この時間の重要性や危険性が近年の研究でわかってきています。
- 起きている時間の45%を消費する習慣って?
- 創造性のアップや人間関係の改善にも
- デメリットも
- マインドワンダリングの時間をつくる
起きている時間の45%を消費する習慣って?
私たちは「マインドワンダリング」に、起きている時間の45%以上を使っていう報告もあります。「そんなに!」と思うかもしれませんが、私たちは意識しないままにボーっと何かを考えているのです。
その時間をムダと考える人もいるでしょうが、どうやらマインドワンダリングを無くせばいいといったものではなさそうです。
創造性のアップや人間関係の改善にも
マインドワンダリングの最も有名な効果の一つは創造性。創造的なアイデアの20%は、マインドワンダリングの中から生まれたものだという指摘もあります。とはいえマインドワンダリングの時間が長ければ、より独創的なアイデアがひらめくといったものでもないようです。
ただマインドワンダリング中に浮かんだアイデアを忘れないように、常にメモを取る用意をしておくといった準備は、創造性をアップするのに効果を発揮しそうです。
また、マインドワンダリングが脳の柔軟性に関係があるといった論文も発表されているようです。状況の変化に対応し、困難を乗り越えたり、新たな課題に取り組むといったことも、この柔軟性には含まれます。
硬直した思考が、マインドワンダリングでにほぐれていくと考えればイメージがわきやすいかもしれません。
加えて人間関係とも関係があります。マインドワンダリングでパートナーについて考える頻度が高いほど、二人の関係性を重視する傾向が高かったことがわかったからです。また人間関係で問題を抱えているときは、マインドワンダリングによって気持ちが整理され、解決策を思いつくといったことも起きるそうです。
デメリットも
マインドワンダリングの難しさは、メリットだけではなく、デメリットもあること。
最もわかりやすいのが、学業との関係でしょう。いつも講義中にボーっと考え事をしていたら、成績が下がるのも仕方ないかもしれません。さらに運転や作業中の事故の危険性も指摘されています。
また気分をネガティブにする効果も指摘されています。
つまりマインドワンダリングはやり方によって、プラスにもマイナスにも影響が出てしまう行動なのです。
マインドワンダリングの時間をつくる
では、どのようにすれば、マインドワンダリングから好影響を得られるのでしょうか?
過去の研究によれば、自分の未来についてボーっと考える時間を取れれば心にもプラスになり、逆に過去について考えることが多いとマイナスに振れる可能性が高まるそうです。
ただマインドワンダリングは、無意識に突入することがほとんど。だからこそあえてマインドワンダリングの時間をつくり、未来や解決したい課題などをボーっと考えてみましょう。パートナーのことをしっかりと考えるのも良い方法です。
逆にスマホやネットサーフィンをしながらのマインドワンダリングには注意しましょう。何を考えるのかを選ぶわけでもなく、マインドワンダリングに長い時間を費やしてしまう可能性があるからです。
気づいたときには、何時間も過去のことについて考えてしまっていたというのは避けたいところです。
ただ何もせずボーっと考えているケースでは、ほとんどの人が短時間でマインドワンダリングから戻ってくるそうです。だからこそスマホなどをしながらのマインドワンダリングに気づいたら、いったん止めてマイナスの影響がでない形でマインドワンダリングを実施しましょう。
今日は心が現実を離れてさまよう「マインドワンダリング」についてまとめました。自分の生活の45%がどのように使われているのか、その中身を確認しておくことも必要なかもしれませんね。
不安な心理について興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「空想が創造力を高める?『マインドワンダリング』が有効な理由」(Noma Nazish/Forbes Japan)/「さまよう思考を刺激する」(梶村昇吾/公益社団法人 日本心理学会)/「Attention」(Psychology Today)