心理学でわかる大人なってからの友達の作り方

社会とのつながりを少ない「孤独」が健康にマイナスの影響を与えることは、かなり知られています。しかし大人になってから友達をつくろうとしても簡単ではありません。そこで大人になってからの友達の作り方を心理学な面からまとめました。

  • 肥満や喫煙より死亡リスクが高い「孤独」
  • 安心して声掛けできる心理学的証拠
  • 知人を友人に
  • 新しい友人をつくるためのポイント5選

肥満や喫煙より死亡リスクが高い「孤独」

孤独がどれだけ健康に悪影響を与えるか知っていますか?
NHKの報道によれば孤独の死亡リスク(約1.9倍)は、肥満(約1.2倍)、過度の飲酒(約1.4倍)、喫煙(約1.6倍)を超えています。健康のために禁煙するより、孤独を解消する方が、死亡リスクも下がる可能性があるのです! この事実に驚く人も多いでしょう。
このほかにも孤独によって脳卒中や心臓病が約1.3倍になり、認知症にいたっては約1.5倍になるという研究結果もあります。

さて、孤独を防止するためには人間関係を構築する必要がありますが、大人になってから友達をつくるのは、そんなに簡単ではありません。実際25歳を超えると、ほとんどの人は友達と縁遠くなるという研究結果もあるほどです。

考えてみれば、それも仕方のないことでしょう。
学校は職場より友人をつくりやすい環境であり、何より友人と時間を過ごす時間に恵まれています。しかもリモートワークの時間が増えたことで、職場の人達と親しい関係になるのがより難しくなっているという指摘もあります。

それでも多く人は思うかもしれません。友情が育つかどうかは運によると。しかし友情を運に結び付けて積極的に行動しない人は孤独になると、心理学者のマリサ・フランコ博士は指摘しています。

そう、大人が孤独に陥らないためには、自ら積極的に動く必要があるのです。そこで何に気を付けて、どんな風に動けばいいのかをまとめました。

安心して声掛けできる心理学的証拠

友達をつくるには、自分から積極的に声をかける必要があります。しかし多くの人は、「断れたらどうしよう」と考えて二の足を踏んでしまいがちです。これは営業職などでも見られる心理であり、人は嫌われるのが怖いと感じてしまう生き物なのでしょう。

しかし初対面の人の好感度を測定したところ、自分が思っているよりも相手から好かれることがわかっています。つまり私たちが知らない人への声掛けを躊躇するのは、取り越し苦労の場合が多いというわけです。

しかも人は好意を示す人に対して、オープンで友好的な態度を示しやすいこともわかっています。つまり緊張せずに好意を示して近づけば、初対面の人と友人になれる可能性はけっこう高いのです。

それでも声をかけるのが不安だという人は、共通点が多い人に声掛けをしましょう。というのも人は共通点が多いほど、相手に好意を抱きやすいことが、心理学の研究から明らかになっているからです。星座や出身地、大学などなど共通項は何でも構いません。

こうした心理があるからこそ、好きな対象が同じ「推し活」は、友人ができやすいのです。ほかにも趣味や職業が同じ人が集う場は、友達をつくりやすくなります。

知人を友人に

それでも「なかなか新規の友人は……」という人には、友人のカテゴリー変更という方法があります。

私たちは付き合う人との距離を、知人・友人・親友といった具合に分けています。会って挨拶こそするけれど、相手のプライベートはほとんど知らない。そんな知人はけっこういるもの。この知人を友人に変えることは、まったく知らない人に声をかけるよりはハードルが下がるでしょう。

もちろん「いきなり距離を縮めるのも……」という躊躇もあるかもしれません。しかし、もしかすると自分にとって重要な友人になる人を見逃しているかもしれないのです。

ちなみに、引っ越しをした人や、失恋・離婚などの別れを経験した人、旅行中の人とは友人になりやすいという研究結果があります。「引っ越ししたんですか? 大変ですよね」といった声掛けから、少し距離を詰めていくのもいいかもしれません。

それでも声が掛けにくいと感じる人は、しばらく連絡を取っていなかった友人に連絡したり、SNSの友人にオフ会を提案するといった方法があります。「久しぶりだけど元気?」という言葉を嬉しく感じる人は多いもの。自分が逆の立場だったらどうでしょう。しばらく会っていない人からの連絡があったとき、多少は警戒することもあるかもしれません。しかし「やっと忙しいのも一段落ついて」といった説明があれば、また会いたいと思うのではないでしょうか?
もちろん相手が忙しくて会えないこともあるでしょう。それでも声掛けをすることは、新たな友情を築く小さな扉になるかもしれません。

新しい友人をつくるためのポイント5選

友人をつくろうとしたときに知っておきたい心構えや方法があります。勇気を出して声掛けをしたからには、友人を得たいもの。どれも難しくないことなので、新たな友人に会う前に頭に入れておきましょう。

①相手を大切に扱う
自分のことが好きで、大切にしてくれる人を私たちは好みます。当たり前のことのようですが意外に忘れがちです。メールやラインへの反応が早かったり、自分の都合をしっかりと聞いてくれることで、自分が大切に扱われていると感じる人が多いものです。

ちょっとしたお礼のメールがくるといったことが、好感度を大きくアップさせるのも、その根底に自分を大事にしてくれるのかどうかを判断する意識があります。自分が相手のことを大事に思っていたら、どんな行動をするだろうかと考えて対応するだけで、友人を得る確率はぐっとアップします。

②共通点のなさを楽しむ
先程、好感度を抱くポイントの一つがお互いの共通点だと書きましたが、じつは共通点がないからといって友人になれないわけではありません。実際、ほとんど自分と接点のないような人でも、大切だと感じる友人はいるものです。だからこそ共通点がなくても、相手の話を楽しむようにしましょう。
新しい友人を得る時に大切なのは、「コンフォートゾーン」(快適な空間)を出ることだという指摘があります。それは過去と現状に固執するのではなく、未知のものを楽しむことだともいえそうです。
「こんな考え方もあるのか!」という楽しみを感じたら、友人も自分の世界もさらに広がるかもしれませんよ!

③しっかりと話を聴く
ほとんどの人は話したい欲求を持っています。うまく自分を表現できない人でも、語りたい欲求を持っていることは多いものです。だからこそ相手の話をしっかりと聴きましょう。しっかりと耳を傾け、興味を示し、相づちを打つ。これだけのことでも、相手からの好感度は上がるでしょう。

もちろんシャイな人を相手にするときは、話せるようになるまでリードする必要があるかもしれません。そんなときでも、ほとんどの人は話したいことを抱えているという認識は友人をつくるのに役立つでしょう。

④自分らしく
自分を偽ってまで友人をつくる必要はありません。ありのままの自分を認めてくれる人でなければ、長期の友情は続かないでしょう。孤独にならないことは、人気者になることではありません。自分のことを信頼し、ありのままの自分を認めてくれる相手を探すことが、孤独の解消に繋がります。

⑤維持にも力を注ぐ
私たちは忙しすぎるのかもしれません。仕事や家族との時間、自己研鑽などなど。やることは常に山積みです。結果として、友情を維持するための時間を削りがちです。しかし仕事も自己研鑽もどこかで終わりがきます。しかし友人は、ともすれば死の間際まで、あなたを支えてくれるかもしれません。

テキストのメッセージを送るだけでも、人間関係が変わるという調査もあります。友情を維持するための行動を、できるだけ怠らないようにしましょう。

今日は大人の友達のつくり方をまとめました。

友人の心理について興味のある方は、こちらをクリック。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「How to Make, and Keep, Friends in Adulthood」(『The New York Times』/Catherine Pearson)/「10 Tips To Make New Friends」(Celestine Chua)/「how to make friends as an adult(Sherri Gordon/Verywell Mind)

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