フェイスブックなどのSNSで、自分の写真をアップしている人も少なくないでしょう。でも、その写真が見た人に、どんなアピールをしているかを考えたことはありますか?
とりあえず手近な写真をアップしたという人は要注意。顔写真から得られる情報量が、思っている以上に多いことが心理学の実験でわかっています。
どんな映像が、何を物語るのかを、客観的なデータから見ていきましょう。
- 多くの人が写真で人を判断する時代に
- 証明写真ですら性格が読み取れる
- 性格を判断するポイントはこれだ
- 誠実さは写真では判断しにくい
多くの人が写真で人を判断する時代に
個人の写真がこれほど出回っている時代はないのかもしれません。かつては友人や家族とスナップ写真を交換する程度だったのに、インターネットなどには個人の写真が氾濫しています。SNSの写真は当人の大きなアピールになっていますし、企業も個人のSNSをチェックするようになってきています。
つまり会ったことない人に自分の写真がどのような影響を与えているのかを、考えざるを得ない時代になってしまったというわけです。だからこそ写真のどんな部分に人は反応し、どう判断するのかを知り、自分の写真をプロデュースすることで、よりよいアピールができるようになります。
証明写真ですら性格が読み取れる
テキサス州の州都であるオースティンのテキサス大学の研究は、写真から性格を読み取るポイントを明らかにしています。
まず、100人以上の学生に証明写真のように気をつけの姿勢で無表情でカメラを見つめてもらう写真と、好きなポーズで撮る全身写真を撮影しました。さらに写真撮影に協力してくれた学生たちに、自分で行った性格分析に友人や家族らが行った性格分析を加えた性格分析表を作成してもらったのです。
さらに撮影した2種類の写真を第三者に見せて、性格を予測してもらいました。すると気をつけの姿勢で無表情な写真ですら、「外向性」と「自尊心」「信仰心」については、性格分析表と予測が一致したのです。
好きなポーズで撮影した写真ともなると、「外向性」「親しみやすさ」「新しいことへの挑戦」「好感度」「自尊心」「孤独感」「信仰心」と7項目が一致したのです。特に「外向性」と「新しいことへの挑戦」はかなりの人が、予測を的中させています。
性格を判断するポイントはこれだ
では、何を手がかりに人は写真の人物の性格を判断したのでしょうか?
『卒アル写真で将来はわかる』(マシュー・ハーテンスティン 著 文藝春秋)に一覧表が載っているので抜き出してみましょう。
■外向性
健康的な外見、こざっぱりとした外見、笑顔、活力、リラックスした姿勢
■親しみやすさ
笑顔、リラックスした姿勢
健康的な外見、笑顔、活力、リラックスした姿勢
■新しいことへの挑戦
ユニークな外見
笑顔、活力、リラックスした姿勢
■自尊心
健康的な外見、笑顔、腕をうしろにまわしている、活力、
おしゃれな外見、こざっぱりした外見、リラックスした姿勢
■孤独感
病的な外見、むさくるしい外見、疲労感、緊張感
笑顔ではない
太文字は写真を見た第三者が手がかりにしたポイントで、なおかつ心理学的に意味があると認められたポイント。通常の文字は第三者が手がかりにしたけれど、心理学的には判断のポイントにならないものとなっています。
こうやって性格の判断ポイントを確認すると、どのように写れば、どうアピールできるのかがわかってきます。「親しみやすく」「新しいことに挑戦」するタイプだと思わせたいなら、心理学的に有効なポイントかはともかく、「笑顔」で「活力」に溢れた雰囲気をかもし出し、「リラックスした姿勢」を取ればよいのです。
誠実さは写真では判断しにくい
そして、じつはこの実験のもう一つのポイントは、好きなポーズで撮影した写真と性格分析が一致しなかった項目です。それは、「誠実さ」「穏やかさ」「政治的見解」の3つでした。「誠実さ」については、「健康的な外見」や「こざっぱりした外見」「笑顔」「活力」などで判断した人が多かったのですが、どれもピントが外れていたようです。
逆にいえば、「誠実さ」「穏やかさ」「政治的見解」は写真では判断しにくいということ。写真をみたときに、「誠実そう」とか「穏やかそう」といった感想をもらすことありますが、外れている可能性がけっこうあるのではないでしょうか!
写真でどんなに誠実そうだと感じても、判断するのは会ってみてからにするほうがよさそうです。
ちなみに写真撮影した大学生の大半がTシャツにジーンズという服装だったことから、もっと変化に富んだ服装であれば、人はさらに精密に性格を予想できるのでは、と書籍では分析しています。
たかが写真と侮ることなかれ。
さっそく自分のフェイスブックの写真を見直してみる!?