職場で出会う攻撃的なナルシストへの対処法6選

攻撃的な人と仕事をするのは、簡単なことではありません。中でもナルシストの傾向の強い人は要注意です。そこで職場で出会う攻撃的なナルシストの特徴とその対処方法についてまとめてみましょう。

  • 攻撃的なナルシストの特徴って?
  • どうして攻撃的になる?
  • 自分の権利について考える
  • 境界線を意識する
  • 共感力が低いことをわかっておく
  • 否定をしないで距離を取る
  • 文書で証拠を残す
  • 組織として対処してもらう

攻撃的なナルシストの特徴って?

職場で怒りをぶつけてくる、些細なことで怒鳴りつける、悪い噂を広める。そんな人と一緒に働くのは、とても気が滅入るもの。そうした攻撃的な態度は、こちらのメンタルヘルスにも悪影響を与えます。中でも以下のような特徴が見えたら、より注意する必要があるでしょう。

・自信過剰
何を根拠にこれだけの自信を持てるんだろうと、はたから見ていると感じることがないでしょうか? 自分は他人より優れているという態度が、下記のようなさまざまな形で出ているなら要警戒です。

・失敗や間違いを認めない
自分のミスや間違いを認めようとしません。間違いを認めるのが負けとでも思っているのか、自分が正しいことに固執します。

・賞賛を望む
とにかく誉めてほしいという気持ちが態度に出ます。また自分は特別な存在だから、賞賛されるのが当然だといった態度を示すことがあります。

・共感力が低い
他人の感情への共感が低いところがあります。こちらの気持ちにお構いなく、自分の主張を繰り広げるといった行動が見られます。

・他人から嫉妬されている意識
自分が素晴らしい存在なので、常に自分が嫉妬されていると考えている節があります。単に自分の行動を批判されただけなのに、「嫉妬しているから」と口にすることがあります。

・傲慢な態度
これまでの特徴から考えるとわかりますが、傲慢不遜な態度が鼻につきます。他人を見下している様子が伝わってきます。特に自分にとって重要ではないと感じる人を批判し見下す傾向が強いようです。

上記のようなタイプはナルシストの可能性があります。このタイプの人は攻撃的になるケースも少なくないので、攻撃的なナルシストは意外に自分の周りにいたりするものです。

どうして攻撃的になる?

ナルシストが攻撃的にふるまうのは、他人をコントロールするためだと言われています。そもそも自分はすごい存在だと思い込もうとしても、自分の能力の低さはごまかすことができません。目を背けたくなる現実に囲まれて生活しているようなものです。それほどは上がらない成績や評価、信頼してくれる人の少なさなどなど。いくら「周りがバカだから私のすごさがわからない」とうそぶいたとしても、日々変えられない現実を突き付けられているのです。

だからこそ他人を支配し、自分の権威を高めようとしてしまいます。わざと間違った情報を与えるなどして、「自分の方がおかしいのかな」と他人を間違った方向に誘導するナルシストもいるそうです。

では、職場の攻撃的なナルシストには、どのように対処すべきでしょうか?
最もいいのはかかわらないこと。かかわりを持つだけで、こちらのエネルギーを消費してしまいますし、対抗したとしても相手の支配欲が収まるわけではありません。まさに「逃げるが勝ち」です。
ただ職場では、どうしてもかかわる必要が出てしまうケースもあるでしょう。そこで完全には関係を絶つことができない状況での対処法を順番に紹介していきましょう。

①自分の権利について考える

攻撃的なナルシストとの関係において、よくありがちなのが「自分が悪いから仕方ない」と被害者が考えてしまうことです。攻撃的なナルシストは、あなたがそう感じるように情報をコントロールし、萎縮させるように怒りを露わにします。
そうした「罠」からに抜け出す、あるいはハマらないためにも、自分の権利について考えてみましょう。

 ・他人から敬意を持って扱われる権利
 ・プライバシーを守る権利
 ・セクハラを受けない権利
 ・怒鳴られない権利

どれも侵されてはいけないは当たり前の権利ですが、攻撃的なナルシストに接していると、こうした観念が崩れがちです。「自分が仕事できないから仕方ない」「仕事で迷惑をかけているからしょうがない」。そんな気持ちから脱するに、自分の権利について考えるのです。

自分だけでは自責の念を解消できないと感じたら、友人などに打ち明けて、理不尽な思い込みを崩していきましょう。「仕事でミスしたからって、そんなに怒鳴るのはおかしいでしょ」といった友人の言葉は、自分を客観的に捉えるきっかけになるかもしれません。

異常な状況を「当たり前だ」と思い込まないようにすることが、攻撃的なナルシストへの対処の第一歩となります。

②境界線を意識する

相手とどこまでかかわる必要があるのかを決めましょう。仕事であれば、指示に従わないわけにはいかないでしょう。しかし、そのやり方まで細かく指示された通りにすべきかどうかは疑問です。またプライベートなことにまで、口を出されるいわれはありません。
そうした境界を意識した上で、その線を踏み越えようとしてきたときは、その要求をかわすようにしましょう。

③共感力が低いことをわかっておく

攻撃的なナルシストの嫌がらせは、無自覚で行わる場合も少なくありません。単にあなたの気持ちが理解できないことが原因だったりもするからです。私たちは相手も自分と同じような感性を持っていると思うからこそ、相手が期待通り行動しない場合に怒りを覚えます。一方、暗黙の了解が通じない相手だとわかると、相手に期待をしない代わりに、こちらも失望しにくくなるし、怒りを感じにくくなります。攻撃的なナルシストを宇宙人だと考えて、その行動に傷つくのをやめましょう。

④否定をしないで距離を取る

攻撃的なナルシストは、かかわるだけ労力を浪費するだけです。完全な敵として認定されてしまうと、ますます面倒なことになるでしょう。そこで相手を否定しないで、距離を取るようにします。
先程も触れた通り、攻撃的なナルシストは認めたくない現実に囲まれています。そのため自分の意見を否定されて、真実を指摘されるのを恐れます。明らかに間違っていることでも、自分に影響がないようであれば、あえて指摘しないようにしましょう。些細な間違いを指摘して相手から敵に認定されてしまうと、問題が大きくなってしまいます。
適当に相づちを打って会話を流すといったテクニックも必要になるでしょう。

⑤文書で証拠を残す

ミスを押し付けたり、手柄を横取りしたりといったことを攻撃的なナルシストはしがちです。その対策として文章で証拠を残しておくようにしましょう。他から問い合わせがきたとき、自分に責任がないことを示すようにしておくことが重要です。口頭の指示のときは、メールで内容を確認しておくといったことも有効かもしれません。

⑥組織として対処してもらう

上司やパワハラの窓口に相談するなどして、攻撃的なナルシストに会社から働きかけてももらうようにしましょう。対決するにしても、自ら対峙しないような方法が望ましいでしょう。

今回は攻撃的なナルシストの特徴と対策をまとめました。米国のサイトなどでは、徹底的に戦うべきといった情報も出てくるのですが、闘う人の心理的な負荷が高そうです。これがパートナーや家族であれば、相手と対峙して関係性を変えていく方法もあると思いますが、職場に限っていえば、なるべく離れることを優先しましょう。
攻撃的なナルシストは白黒をハッキリ分ける特性を持っている可能性が高いので、味方じゃない人は敵認定しがちです。どうすれば敵と認定されないのかを考えて行動してみてください。

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「How to Recognize the Signs of Narcissistic Abuse」(Kelly Burch/verywell health)/「How to Handle Narcissistic Abuse」(Darlene Lancer/Psychology Today)/「6 Ways Narcissistic Abuse Changes You」(Kaytee Gillis/Psychology Today)

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