インターネットなどで口コミを参考に買い物をするのは、いまや当たり前になっています。そうした口コミを信じてしまう心理について解説します。
- 説得力が増す第三者の情報
- 抜け穴のある「ウィンザー効果」
- 怪しい口コミにも影響力が!?
説得力が増す第三者の情報
広告とPRの違いを説明するとき、よく使われるのが恋人へのアピール方法です。イラストや写真と一緒の説明を見たことがある人がいるかもしれません。
「広告」は、自分のことを自分でアピールする方法です。つまり「俺って、君に向いていると思うんだ」とか、「俺ってクールだろ」と言った感じで迫るわけです。
一方PRは、第三者を介してアピールします。例えば、友達から「彼って、あなたと相性よさそうだよね」とか、「彼ってカッコよくない」と話を振られるといったイメージです。
どちらを信用したくなるかは、言うまでもないでしょう。
PRのように、「第三者が伝えた情報の説得力が増す」といった心理現象を「ウィンザー効果」と呼びます。この効果は思っている以上に効果があるようです。
ビジネスでも、お客様は自社の商品を売り込む営業マンより、知り合いの商品情報などを信じがちですし、上司から直接褒められる以上に、「○○部長はおまえのこと、すごく褒めてたよ」といった同僚などからの言葉に反応しやすいのです。
抜け穴のある「ウィンザー効果」
こうした「ウィンザー効果」は、マーケティングでも活用されています。広告のチラシに掲載される「お客様の声」といったものも、こうした効果を狙ったものです。
ただ、ウィンザー効果には大きな抜け穴があります。
それは第三者と当事者が手を結べば、ウィンザー効果をねつ造できること。最初の例で言えば、アピールしたい女性の友達に、自分の良い評判を流してもらうようにお願いする方法です。
インターネット上の口コミなども、こうした怪しい「ウィンザー効果」に溢れています。サクラとして口コミを書き込んでも、消費者からはサクラか本当の使用者かを判断しにくいので、やっかいな問題ともいえるでしょう。
怪しい口コミにも影響力が!?
もちろんネットで買い物をする人などは、ネット上の「口コミ」を全面的に信じられないことは知っています。だからといって、まったく影響を受けないかというと、そうでもないようなのです。
「インターネットの口コミが購買行動に及ぼす影響-女子学生の化粧品購買のアンケート調査から-」という論文には、次のような結論が書かれています。
「信用度がそれほど高くないからといって、回答者が口コミを信用していないとは考えられないだろう」
かなり限定された選択肢の中で実験が行われたとはいえ、口コミを多少は疑っていても行動が影響されてしまうことは重要でしょう。
また、インターネット上の口コミの影響力については、ミゼルスキなどの研究者が、良い口コミより悪い口コミの方の影響が大きいことを明らかにしています。つまり評価を下げるようなネットの口コミは、要注意だということです。
ついつい影響されてしまうかもしれないネットの口コミが溢れる次代だけに、しっかりと情報を吟味できる能力が必要になったといえそうです。