あれ、この人って年上? 年下? 私たちは他人の年齢をどうやって推測するのか

初対面の人を目の前にして、自分より年上なのか年下なのか、迷うことはありませんか。人の年齢を当てるのが得意な人は、顔のどこを見て判断しているのでしょうか。顔の認知と年齢の推定に関わる心理実験から、人の年齢を当てるヒントをもらいましょう。

  1. 普段接している人たちの年齢と近ければ正確性が増す?
  2. 顔そのものを漠然と見るのではなく、パーツの位置関係を見ている
  3. 単に顔の特徴なのか、年齢が顔に出ているのか判断する必要がある

普段接している人たちの年齢と近ければ正確性が増す?

小樽商科大学の佐山公一教授は、相手の顔から年齢を推定する能力が学習経験によって変わると推測し、普段乳児と接している保育士20名と、普段高齢者と接している介護士20名を対象として実験を行いました。保育士にも、介護士にも、乳幼児30名と学生30名、そして高齢者30名の写真を見せ、それぞれの年齢を推測させたのです。

結果、やはり保育士は介護士に比べて乳幼児の年齢を推測するのがうまく、介護士は保育士に比べて高齢者の年齢を推測するのがうまいという結論が得られました。さらに保育士が乳幼児の顔を見るときは、顔の輪郭や大きさを年齢の推定材料に使い、介護士が高齢者の顔を見るときは、表情やしわ、化粧の有無などを推定材料に使っていることが示唆されました。 つまり、人が他人の顔から年齢を推定するとき、顔全体を漠然と見ているのではなく、年齢が出る特徴的な部分を無意識に見ているという推測が立ちます。さらに、目、鼻、口といったパーツそのものを見ているというよりは、目と鼻の位置関係など、パーツ同士の位置情報を利用している可能性が示唆されました。

顔そのものを漠然と見るのではなく、パーツの位置関係を見ている

年齢を推定するとき、パーツの位置関係が重要なファクターとなっていることは、別の研究でも示されています。オムロン株式会社と工学院大学などの共同研究によると、両目の間の距離と口までの距離の比率が、年齢の推定に関わっていることが示唆されました。両目の間の距離と口までの距離が近ければ若く、遠ければ年上に見えるということです。この研究は、オムロンの画像センシング技術にも利用されています。 また、心理学者のブラッドショーが行った心理実験からは、とくに鼻の長さによって年齢判断がなされるということが明らかになっています。鼻が長ければ長いほど年かさに見えるというのです。

単に顔の特徴なのか、年齢が顔に出ているのか判断する必要がある

パーツの位置関係からある程度の年齢をはかるというのは、一見単純で利用しやすい方法のように見えますが、そこには落とし穴があります。生まれつき顔の各パーツが離れている人はいますし、鼻の長さにも個人差があるためです。その人のもともとの顔の特徴と見るか、それとも年齢が顔に出ている結果と見るかは判断に迷うところです。

だからこそ、世の中に出回っている「顔年齢診断」のアプリなどを利用すると、ぴたりと当たったり、反対に全く当たらなかったりするのでしょう。年齢をより正確に推定するのなら、顔だけからわかる情報に頼るだけではなく、服装や髪形、言葉遣いなどもチェックする必要がありそうです。

現に、先に紹介した佐山教授の実験でも、介護士が高齢者の年齢を見極めるときには「表情」や「化粧の有無」などを頼りにしています。「この人、何歳?」と思ったら、顔をじっと見るだけではなく、表情やしぐさなど、目に見える材料全てを参考にして考えましょう。

<参考>

「顔から年齢を読むのはうまくなるか:年齢の判断に及ぼす経験の効果」佐山公一・小樽商科大学教授

「顔による年齢・性別認知の空間周波数特性」吉田弘司・比治山大学教授

「顔写真による年齢認知:鼻の長さが年齢判断に与える影響」城仁士・神戸大学教授

顔の年齢推定に関する心理学的検討:評定者年齢による推定特性の違いを中心に 伊師華江・仙台高等専門学校准教授

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