新型コロナウイルスが猛威をふるっている今こそ、メンタルヘルスが重要です。世界各国でパンデミック中のメンタルヘルスのポイントが報じられています。そうした中から少し変わった対策を紹介しましょう。
目新しい対策法
米国はカウンセラーなどの心理職が身近なためか、Webメディアでもパンデミック中のメンタルヘルスに関して、さまざまな専門家がアドバイスを送っています。その中には、日本の報道ではあまり目にしないものも!
その中から、目新しいメンタルヘルス対策を集めてみました。
①どんな気持ちかを表現する
『メンタルが強い人がやめた13の習慣』(講談社)の著書もあるエイミー・モリンは、モヤモヤした気持ちを表現することで気分が良くなると書いています。「悲しい」「本当に心配だ」など、漠然とした不安を言い表すことで苦痛は即座に軽減されそうです。
②気分がいいときの行動を始めてみる
落ち込むと生活スタイルも変わってしまいます。エネルギーがないと感じれば、友達にメールを打つよりもテレビを見たくなるものです。そんなときは自分が気分のいいときにする行動を始めてみましょう。元気なときに料理をするなら、簡単な料理を作り始めてみることです。
「最初に行動を変えれば、気持ちが付いてくることがあります」とエイミー・モリンは解説しています。
ただしさまざまな行動が制限されている現状では、同じように動くのにも一工夫が必要かもしれません。例えば居酒屋に仲間と集まれないなら、テレビ電話をつなげて飲み会を開催するといった具合です。
③誰かのために動く
誰かに親切にすれば、自分の幸福感があがる。これはポジティブ心理学でも言われていることです。ボランティア活動もままならない状況なので、寄付をすることも有効だとエイミー・モリンは書いています。
自分にとって意味ある寄付やボランティアが何かを考え実行することで、前向きな姿勢をつくることができるようです。
④日々のスケジュールを立て家族や友人と話す時間を作る
自宅にいる時間が長いと、何となく1日が過ぎてしまいがちです。出勤していたころとは、かなり違った生活になっているかもしれません。しかし、そのメリハリのない生活がメンタルに悪い影響を与えるかもしれません。
必ずしも仕事をする必要はありませんが、趣味や家事など時間を決めて取り組んでみるようにと、精神科医のアル・ウンドゥルティ博士はアドバイスしています
さらにテレビ電話などを使った家族や友人との会話も、スケジュールに入れ込むのもおすすめとのこと。実際に仲間と会えなくても、孤独を感じないようにする方法はあります。
⑤みんなが一緒に闘っていることを考える
医療従事者や食料品店などの定員、警察官などは、この緊急時でもリスクを負って働いてくれています。そうした人たちのことを考え、みんなが一緒に苦難に立ち向かっていることを再認識します。
そうすることで感染症に対する不安が軽減できる、と精神科医のアル・ウンドゥルティ博士は指摘します。
⑥SNSでの情報交換を制限する
トレーシー・S・ハッチンソン博士は、SNSの危険性を指摘します。というのもSNSは自分の好みにあったニュースを提供し、しかも事実確認をしていない可能性があるからです。こうした情報を受け取ることで偏見を増大させたり、誤った情報を自ら拡散してしまう可能性もあります。
非常時だからこそSNSの活用には、慎重になる必要があるでしょう。
⑦自分の生産性が下がっていることを認める
現在は身体の安全が確保できないため、それより高い次元の欲求を満たすことができないと、トレーシー・S・ハッチンソン博士は語ります。心理学者であるマズローが唱えた「欲求5段階説」に従えば、「生理的欲求」「安全の欲求」が達成できないと、その上にある「社会的欲求(所属と愛の欲求)」を満たすことができないからです。
テレワークでの仕事が思ったほど進まなくても、自分を責める必要はありません。こうした不安の中で最高のパフォーマンスを発揮することは容易でないことを理解しましょう。
⑧イヤな人との時間を制限する
イヤだなと思いながら、大人になれば交流しなければならないことも……。しかし心の許容量が少なくなっている今は、イヤな人に時間を使わないようにすべきだと、トレーシー・S・ハッチンソン博士はアドバイスしています。
今日はメンタルヘルス対策に効果のありそうな方法を紹介してみました。気になったものがあれば、試してみてくださいね。
心理学的な知識を使って活躍するカウンセラーの活動に興味のある方は、こちらをご覧ください。
参考:10 Things Mentally Strong People Do During a Pandemic(Tracy S. Hutchinson, Ph.D./Psychology Today)/7 steps you can take to stay mentally strong during the coronavirus pandemic(Amy Morin/BUSINESS INSIDER)/Tips for staying mentally strong during the pandemic(Dr. Aru Undurti/Vancouver Clinic)
「働く人の心ラボ」を運営する日本産業カウンセラー協会では、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。こちらからご覧ください。※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康(メンタルヘルス、HSP等)・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です