起きた時に、何だか憂鬱だと感じることもあるでしょう。しかし最近の研究によれば、そうした感情が仕事の効率を悪化させてしまうのだそうです。そこで気持ちのよい朝を迎えるための方法を紹介します。
- ワーキングメモリへの悪影響
- 寝る前と起きた後に
ワーキングメモリへの悪影響
ペンシルベニア州立大学のジンシル・ヒュン氏によれば、朝起きて「イヤだな」と思うだけで、脳にマイナスの影響があることが実験で明らかになったそうです。しかも実際にはイヤなことが起きなくても、脳への悪影響は起きてしまうとのこと。ただし夜に「明日はイヤな日になりそうだ」と考えても、翌朝の脳に影響がないのだそうです。
また悪影響を与えるのは、脳の「作業記憶」や「ワーキングメモリ」と呼ばれる部分なのです。ワーキングメモリは「作業場」と呼ばれる領域です。一時的に情報を保存して、処理する場所だと考えればわかりやすいでしょう。つまり、さまざまな業務をこなせるのは、ワーキングメモリが片付いていて、作業の邪魔になるものがない状態だからなのです。
朝起きたときに「今日は嫌な日になりそうだ…」と思うだけで、実際にその日嫌なことが起こったかどうかは関係なく、脳にマイナスな影響を与えるということが実験結果から明らかになったのです。この領域がうまく働かないと、メモリ不足のコンピュータのように処理に時間がかかってしまったり、固まってしまったりするのです。当然、作業上のミスも多くなります。見落としや度忘れなど、あまり嬉しくない問題が起きてしまうのです。
寝る前と起きた後に
では、気持ちのよい朝を迎えるためには、どうしたらいいでしょうか?
効果のある対策を、5つ用意しました。
①睡眠時間を確認する
日本人の多くは寝不足です。人によって最適な睡眠時間は違いますが、座って書類を読んでいるときや、午後、横になって休息を取るとウトウトしてしまうようなら寝不足の可能性があります。また週の後半になるに従って、仕事の効率が落ちてしまう場合も、睡眠時間が足りているのかをチェックする必要があるでしょう。
②寝る前はスマフォをいじらない
睡眠のための時間はしっかりとっているのに、入眠がスムーズにいかないという人も少なくないでしょう。こうした人の中には、蛍光灯やパソコン、スマートフォン、テレビの光に反応してしまっているケースがあります。
対策としては寝る1時間前に蛍光灯を消して、白熱灯などを使って部屋を暗くし、30分前にはスマフォやパソコン、テレビを消します。
③楽しい予定を考える
当たり前ですが、仕事は人生の一部に過ぎません。楽しみな休日の予定などは、人生の重要な一部なのです。実際、休暇を多くとるほど業務評価が改善するといった調査もあり、プライベートの充実は仕事にも好影響を与えます。
大切な朝の気分を盛り上げるために、楽しみな時間について考えてみるのもお勧めです。
④早起きしてクリエイティブな時間にする
米国のデューク大学のダン・アリエリー教授は、完全に目が覚めてからの2時間が最も生産的な時間だと発表しています。意外に短いと思いませんか?起きて支度を整えて出勤している間に、最も脳が働く時間を消費してしまうのです。
勉強でもいいし、企画などでも構いません。とにかく朝の2時間を有意義に使えば、自ずと気分もアップしてきます。
⑤朝の散歩をする
軽い運動をしている人は、抑うつ感が低いと米コネチカット大学の研究チームは報告しています。特に散歩は気分が落ち込んでいるときにも効果があるようです。
朝の太陽光は心を元気にする「セロトニン」の分泌を促します。起きてから2時間以内に10分以上、太陽光を浴びると効果的です。雨でも外光を浴びれば大丈夫です。1日を快適に過ごすために、ちょっと歩いてみるのもお勧めです。
自分に合いそうな方法は見つかりましたが? 気になるものがあれば、試してみてくださいね。
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参考:「Anticipating stress makes you function worse throughout the day, even if nothing stressful happens」(Tibi Puiu/ZME Science)/『ポジティブ・チェンジ』(メンタリストDaiGo/日本文芸社)/『ダラダラ気分を一瞬で変える小さな習慣』(大平信孝・大平朝子/サンクチュアリ出版)