どんな人生を送れば納得できると思いますか?その答えをホスピスなど、死に直面している人に求めた書籍が、国内外を含め出版されています。そうしたさまざまな教訓から、若い人にとっても重要だと思えるポイントを解説していきます。
自分の人生に納得できるルールとは?
本当に悔いのない人生を歩むために何が必要なのかは、意外に難しい問題でしょう。というのも「悔いのない人生」がどんなものなのか判断が難しいからです。
例えば、大学時代に満足していたような生活が、社会人にとって後悔しない生活というわけではないでしょう。
しかし自らの人生が終わりを迎えようとしている状況なら、悔いの残らない生き方にしっかりと向き合えるようになるのかもしれません。実際、ホスピスなど生きる時間が限られた状況で、どんなことを後悔しているのかについては、何冊もの本が出版されています。
そうした書籍から、今すぐにでも参考になりそうな教訓を抜き出してみました。
① 自分のやりたいことをやっておく
オーストラリア生まれで、緩和ケアの介護をしていた ブロニー・ウェア氏がまとめた『死ぬ瞬間の5つの後悔』(新潮社)では、「他人の期待に沿うための人生ではなく、自分がやりたいことをやっておけばよかった」といった後悔を口にする人が多いとつづられています。
また、ポスピスの医師でもある大津秀一氏も、「環境に流されず、本当にやりたいことをやる」ことが重要だと書いています。
「やらなくちゃいけないことをやる、与えられたことをするのといっしょに、『どう生きたら、自分にとって満足のいく人生になるのか』ってことをもっと考えておくべきだったと、いまは後悔しているんです」(『「いい人生だった」と言える10の習慣 人生の後半をどう生きるか』 青春出版)
このホスピスの患者さんの言葉は、とても重いものです。やりたいことをやっておくことに関連して、大津氏は「義務を退ける」のも人生にとっては大切だと語っています。
重い胃がんを患っている方の言葉も紹介しておきましょう。
「大変、ダメ、そんなことを言う前に、取捨選択して、要らないものは容赦なくやらなければいいんです。嫌で嫌で仕方ないことをずっとやらねばならないほど、人の人生は長くない」(『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33 』幻冬舎)
さまざまな責任や義務感から、やりたくないことをしなければならないことも多いでしょう。ただ、それだけで人生が埋まってしまうと、死の間際に後悔するかもしれません。
② 生きる意味を無理に探さない
「自分探し」という言葉が流行った時期がありました。自分が何のために生きているのかを考えることは重要なことです。実際、人生の終わりが近づくと、多くの人は人生の「意味」を自らに問うそうです。
ただ、その答えは簡単に見つかるものではないようなのです。
「自分にも求められていることは何か、あるいは自分ができることは何か、そして自分を満たしてくれるものは何か、それを考え手探りで進んでいきながら、最後にははっきりと見えるものが『意味』」(『「いい人生だった」と言える10の習慣 人生の後半をどう生きるか』 青春出版)
もちろん人生の意味は個人個人違うものですし正解もありません。
だからこそ時間をかけて見つけていく必要があり、「意味」を探すためにも目の前にある「いま」を大切に生きることが重要だと、大津氏は語っています。
③自分を幸せにする
ブロニー・ウェア氏は、自分を幸せにしない生き方を後悔する人が多いと書いています。また大津氏は、「負の感情にふりまわされない」ことが重要だと書いています。どちらも似たようなことを忠告しています。
ブロニー・ウェア氏によれば、幸せなふりをすることも大事で、笑みを絶やさず、自ら幸せになるように意識して努力する必要だそうです。
確かに自分が幸福を感じられるのかどうかは、客観的な状況以上に、生き方や物事の捉え方が重要だったりするものです。大変な状況であっても生き生きと過ごしている人がいることを思い出しましょう。
否定的なことばかりを口にするのは、自分の周りから人が去ってしまう原因にもなります。負の感情を制御して、他人に否定的な話をするときは時間を区切るといったルールを設けるよう、大津氏はアドバイスしています。
また気分よく暮らすためには、「比較しない」ことも重要とのこと。比較から自由になれば、現状のよい面を見つけることができるかもしれません。
今日は人生の終わりに後悔しないための生き方のルールを3つ抜き出しました。現在の人生の満足度もアップさせる効果もありますので、気に入ったら試してみてください。
日々の生活に使える心理学の活用法に興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『死ぬ瞬間の5つの後悔』(ブロニー・ウェア/新潮社)/『「いい人生だった」と言える10の習慣 人生の後半をどう生きるか』 (大津秀一/青春出版)/『死ぬときにはじめて気づく人生で大切なこと33 』(大津秀一/幻冬舎)