「続かない」人が挫折しそうになったときに試したい3つのステップ

習慣にしたい行動があるのにうまくいかないことは、珍しくないでしょう。3日坊主どころか1日で飽きてしまうことも……。では、どうすれば続けることができるのでしょうか?最善の方法を紹介しましょう。

モチベーションのせいにしてはいけない

「続かない人」の多くは、モチベーションが足りないと自分を責めがちです。しかしスタンフォード大学行動デザイン研究所のBJ・フォッグ所長は、習慣化の失敗をすぐモチベーションのせいにするのは問題だと書いています。

そして習慣化の問題を解決するには、3つのステップが必要だと解説します。

①行動をうながす「きっかけ」があるか確認する
②実行する「能力」があるか確認する
③実行する「モチベーション」があるか確認する

つまり①や②を確認しないで、「モチベーション」がないと責めてはいけないというのです。これは自分だけではなく、他人に対しても同じとのこと。
例えば勉強しない子どもに、「8時から勉強するって約束したよね。やる気を出しなさい」と怒鳴っても問題解決しないのです。

では、この3ステップをもう少し詳しく解説していきましょう。

①「きっかけ」の確認

行動の習慣化にとても効果があるされているのが、「if-then プランニング」と呼ばれるものです。これはすでに習慣化している行動に、新たに習慣化したい行動を結びつけるもの。つまり「XをしたらYをする」と決めておくのです。例えば、通勤時に英語を勉強する、歯を磨いたら腹筋をするといったやり方です。この作戦がうまくいくのは、行動のきっけけがハッキリしており、無理がないからです。

逆に習慣化に失敗した場合は、行動の「きっかけ」がしっかりと設定されていたのかどうかを確認する必要があるのです。

例えばランニングを、食事などが一段落した夜9時から始める決めた場合、失敗する可能性が高くなります。まず帰宅時間が一定ではないので、残業などで遅くなった日は走ることができません。また早く帰ってきた日は、ネットやテレビ、ゲームをしてくつろいでしまうかもしれません。これでは、かなり気力を振り絞らないとランニングを実行できないでしょう。

逆にスポーツクラブで走ると決めて、入浴もスポーツクラブでと決めてしまえば、入浴とランニングがセットになるので実行できる可能性はかなりアップします。

「きっかけ」の問題は、悪癖をどうにかしたいときにも役立ちます。
朝、起きてからランニングする予定が、ついついスマホでネットを見てしまう。こんなときは走り出すまで携帯に触れないようにすれば、ネットへのアクセスを防止できます。スマホのアラームではなく、目覚まし時計で起きるようにして、スマホを目に触れない場所にしまっておけば、スマホの誘惑にさらされることがないでしょう。

「サボってしまった」日には自分を責めるのではなく、まず行動の「きっかけ」を確認しましょう。

②「能力」の確認

ビジネスでは目標に合わせて、日程や行動を逆算することが多いかもしれません。しかし習慣化したいならば無理は禁物です。

1年後にフルマラソンを走るために、毎日30分走ろうと計画を立てても、運動習慣のない人には難しいでしょう。30分走る能力がない人が、体力をすり減らしながら挑戦しても長続きしないからです。

むしろ習慣化したいなら、日々の目標はびっくりするほど小さくすべきだと、フォッグ所長が書いています。
例えば腕立て伏せなら1回、という具合です。じつは腕立て伏せを1回以上と決めておけば、どんなにやる気がでないときでも、継続することができます。そして継続できれば、それが自信となって負荷を増やしていくことも可能になります。気づいたら、ほとんど毎日20回以上腕立て伏せをしていたといった結果になっているかもしれません。

一番、挫折する危険性が高いのは、自分の能力を高く見積もって、レベルの高い目標を設定することです。調子が悪くても、これならできると思えることを習慣化してみましょう。

③「モチベーション」の確認

モチベーションのコントロールは、非常に難しいものです。
というのも雨が降っただけで、人はモチベーションが低下してしまう生き物だからです。考えてみてください。自分が大好きな趣味でも、今日はやりたくないと思う日があるはずです。

ところが多くの人は、継続のカギをモチベーションが握っていると考えています。まず、この考えを改めましょう。むしろモチベーションが変化していくのは仕方がないと考えるべきです。

だからこそモチベーションがあまりに低い場合は、取り組み方を変える必要があります。通常の状態でもやる気がわかないのに、気乗りしない日にまで実行できるはずもありません。

例えば1日1分走ると決めてもやる気がわかないなら、そもそも走る必要があるのかを考えましょう。単に運動不足を解消したいなら、必ずしも走る必要はありません。ダイエットが目的なら、食生活の改善に力を注ぐといった方法もあるでしょう。

モチベーションが低いと感じたら、本来の目的を見つめ直し、その目的に近づく方法を書き出して、少しでもモチベーションが高くなりそうな方法を選択しましょう。

今日は「続かない人」が、習慣化できる方法をお伝えしました。過去に挫折した行動を振り返ってチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。

日々の生活に使える心理学の活用法に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『習慣超大全』(BJ・フォッグ/ダイヤモンド社)

関連記事

心理学が教える退屈の解決法 意外に思うかもしれませんが、心理学では退屈についても研究が行われてきました。というのも退屈は意外な悪影響を及ぼすだけではなく、注目すべきサインとなっているからです。退屈にまつわる心理学的知識をまとめていきましょう。 退屈は健康を害する 退屈を感じる4つの原因 退屈は変化...
避けたい思いが問題を複雑にする! 不快や不安を避ける癖の改善方法5選... 何となくの不快感からついつい避けてしまう。そんな行動が、私たちの日常生活に悪影響を与えているかもしれません。不快感や不安感を回避が原因の悪影響と、その対処法をまとめました。 こんな行動があるときは要注意 人間とシマウマのストレスの違い 逃げると脅威が増幅する 5つ...
身体を動かして先延ばし癖を克服する生理的アプローチ... 先延ばし癖の克服の多くは、心理的なアプローチを推奨します。例えばタスクを分割して手を付けやすくするといったテクニックは、その典型でしょう。しかし近年、先延ばし行為が生理的なプロセスだという視点に立ち、体にアプローチする対策も出てきています。 先延ばし癖の原因は恐怖感 「死んだ...
つまらない日々、退屈な時間があなたに教えること... 日々、何だか退屈だと感じてしまうこともあるでしょう。仕事がつまらないと感じることもあれば、パートナーの話が退屈だと思うことも……。そんなとき必要なのは、その原因についてしっかりと考えることかもしれません。 要注意なのは慢性的な退屈退屈を紛らわさない!退屈を克服する3つの行動 要...
先延ばし・現実逃避を防止する5つの準備って... どうにもモチベーションが上がらないといったことは、誰にでも起こります。特に最初の一歩が踏み出せないということは多いもの。ただ、それは事前の準備に問題があるのかもしれません。モチベーションをアップする準備の仕方についてまとめてみました。 必要なのは準備かもやならないことを決める行動の見...

働く人の心ラボは、働く人なら知っておきたい『心の仕組み』を解説するサイト。
すぐに応用できる心理学の知識が満載の記事を配信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です