コロナ禍で人生観が変わった人が知っておきたい一つのこと

新型コロナウイルス感染症の影響は多岐にわたっています。経済はもちろんのこと、人生観やライフスタイルの変化につながったというアンケート結果も報告されています。そうした変化に対応するときに、心理的に大きな役割を果たす「自己効力感」についてまとめました。

  • 3割以上がコロナ禍で考え方が変わった!
  • 自分の幸せを追求したい!
  • 変化に適応したいなら自己効力感に注目
  • どうやって自己効力感を高める?

3割以上がコロナ禍で考え方が変わった!

直接、人に会わないままに仕事が進むことが当たり前と感じるようになった人も多いのではないでしょうか? またコロナ禍で仕事のやり方を変えた人、ライフスタイルが変わった人もいることでしょう。

2021年7月にアデコ株式会社が発表した日本全国の20代~50代の男女800人に実施したアンケート調査では、「コロナ禍の前と後で、ご自身の今後の生き方についての考え方は変わりましたか」との質問に、36.5%が「変わった」と回答しています。

具体的に何が変わったのかという質問の答えベスト5は、以下の通りです。

1位 「趣味・余暇の過ごし方」(65.1%)
2位 「消費・お金の使い方」(62.3%)
3位 「仕事プライベートのバランス」(58.6%)
4位 「健康」(50.3%)
5位 「友人・知人との関係」(41.8%)

どれも納得の結果ではないでしょうか?

「趣味」はコロナ禍でできなくなったものもあるでしょう。「余暇」はテレワークで通勤時間がなくなったことや時短によって、使える時間が増えた人も少なくないはずです。コロナ禍でプライベートの過ごし方を考える必要が出てきているのでしょう。

新型コロナウイルス感染症の影響は、仕事にも及んでいます。
「コロナ禍の前と後で、ご自身の今後の仕事や働くことについての考え方は変わりましたか」との質問には、29.3%が「変わった」と回答しています。
具体的に変化のトップ3は、以下の通りです。

1位 「働き方(時間・場所など)」(64.5%)
2位 「仕事へのモチベーション」(53.0%)
3位 「仕事の進め方」(45.7%)

職種にもよりますが、必ずしも会社に出社しなくてもいい環境を体験したことで、仕事のとらえ方が変わった人も少なくないようです。

自分の幸せを追求したい!

リクルート住まいカンパニーが実施した『新型コロナ禍を受けたテレワーク?住まいの意識・実態調査』によれば、「今後もテレワークが続く場合、住み替えを検討したいですか?」という質問に、76%が「はい」と答えています。出社日が限られてくるなら、都心に住む必要もないと考える人も増えているようですね。

さらに『コロナ禍を受けた住まいと暮らしの価値観調査』 (リクルート住まいカンパニー)のアンケート調査では、「他人の目は気にせず、自分の幸せを追求する生き方がよい」という問いに「あてはまる」と答えた人は42.7%を超えました。こうした結果について、仕事や暮らしの自由度や裁量度が増したことで、改めて人生を見つめ直し、幸せを追求する人が増えてきているとの分析もあります。

変化に適応したいなら自己効力感に注目

そのほかの調査でも、副業や週休3日制への関心が高まっていたり、地域のコミュニティ活動に参加する人も出てきているようです。コロナ下で会社中心の生活を見直す動きが、一部で始まっているのかもしれません。

こうした大きな変化への対応に影響を及ぼすのが「自己効力感」です。自己効力感は、「自分の知識やスキルを使って成し遂げられる、結果を出せる」という気持ちです。仕事の見通しも、自己効力感に支えられています。とてもできないと感じたら、仕事を進めることも難しくなるでしょう。

「自己効力の高い人は、変化への適応力も高く、新しいスキルの獲得に強い意欲をもち、新情報システムを『自分がそれを使いこなしてみせよう』という挑戦的機会を与えてくれるものとみなしていた」(『人と組織を変える自己効力』林伸二/同文舘出版)

これは情報システムの導入したさいの従業員の心理を調査した結果です。
変化への対応が得意な人は多くはありません。情報システム導入の成功率はわずか30%という調査もあり、その原因は変化への抵抗だとも同書は指摘しています。変化を迫られても適応しようとしない心のハードルを超えために、自己効力感は役立つでしょう。

また自己効力感が高まると困難な目標にも立ち向かって努力することも明らかになっており、こうした面からも社会的に大きな変化に直面したときほど、自己効力感が大切なことがわかります。


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どうやって自己効力感を高める?

自己効力感を高めていく最も確実な方法は、成功体験を重ねていくこと。

例えば、ビジネスの英会話なんてとてもできないと感じても、簡単な英会話を覚え、英会話へ不安が減っていけば、徐々に自信を深めていき、将来的にはできるようになるだろうと思えるようになります。

こうした段階的な成長を書き出し、一つずつクリアしていくようにすれば、無理なく自己効力感を高めることができるそうです。

コロナ禍で自分の価値観が変わり、生き方も変化させていこうと思うなら、どんなステップで変化を実現させていくのか考え、一つずつクリアしていく方法を具体的に考えてみてはいかがでしょうか? 

歴史的な転換点になるかもしれないコロナ禍だからこそ、どうやって生きていくのかを考えることが大切かもしれません。

日々の生活に心理学の知識を活用したいと感じる方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:「これからの新たな潮流『クラシゴト改革』」(株式会社リクルートキャリア・株式会社リクルート住まいカンパニー)/『人と組織を変える自己効力』(林伸二/同文舘出版)/『セルフ・エフィカシーの臨床心理学』(板野雄二・前田基成)

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