「ゴースティング」を知っていますか? ゲームの用語としても使われますが、今回は恋愛関係で使う言葉です。「ゴースト(幽霊)」のように消えてしまうゴースティングの心理と対策を紹介します。
- ネットの出会いが生んだ「ゴースティング」
- 「ゴースティング」にも理由あり
- 「ゴースティング」3つの兆候
- 理想に燃えるタイプは要注意
ネットの出会いが生んだ「ゴースティング」
「ゴースティング」とは、相手との連絡を一方的に断ち、呼びかけにも一切応じずに消えてしまう行為です。2016年に米国で生まれた言葉で、その背景には出会い系サイトやSNSでの出会いがあると言われています。
「ゴースティング」の典型的なパターンは、次のようなものです。
出会い系サイトやSNSを通じて、メッセージなどをやり取りし、実際に会って盛り上がったように感じていたのに、いきなり連絡が取れなくなってしまう。何か相手を怒らせてしまったのかと気にしても、連絡が返ってくることなく音信不通になってしまう。
日本でも同じようなことは起こっていると予想されますが、米国ではそれなりに社会問題化しているようです。米誌『フォーチュン』は、20~30歳の78%が「ゴースティング」の被害に遭っていると報告しています。かなりの人が突然の連絡消失を経験しているというわけです。
しかも「ゴースティング」は、相手に怒りや苦痛を与え、持って行き場のない感情に追いやることも知られています。やり取りに何らかの行き違いがあり、それに対してコミュニケーションで確認が取れるようなら納得できる部分もあるでしょう。しかし「ゴースティング」は、ただ拒絶されたという思いだけが募ってしまうようです。
「ゴースティング」にも理由あり
パウエル氏とアソシエイツ氏は、「ゴースティング」という方法を選択した人の心理を分析しています。その理由は次のようなものです。
①簡単だから
相手と連絡を取る手段を削除するだけで、「ゴースティング」はとても手軽です。距離を置きたいという思いを話し合う必要すらありません。簡単に繋がれるし、簡単に接点を消せるというSNSや出会い系アプリの特徴が、「ゴースティング」を生み出したのは間違いないようです。
②別れを必要とは思わないから
改めて「お別れ」を言うほどの関係ではないと、考えている人も多かったようです。興味を失った相手にさらに時間を費やすといった意識は、ネット上の出会いには働かない可能性が高いようです。
③安全だから
相手のことをしっかりと把握しているわけではないため、わざわざ会ってネガティブな話をするのは危険だという気持ちも働くようです。
「ゴースティング」は褒められた行為ではありませんが、する側にもそれなりの理由があることがわかります。仕事や友人の紹介で会った場合とは違う意識が、「ゴースティング」には働いているようです。
「ゴースティング」3つの兆候
パウエル氏とアソシエイツ氏は、「ゴースティング」に前兆があることを発見しました。いきなりパッと消えるのではなく、よく観察するとわかる兆しがあるというのです。紹介しましょう。
①コミュニケーションツールの変更
電話やビデオチャットでの会話などがなくなり、メールだけになるなど。これまでよく使ってきたコミュニケーションツールが使われなくなったときは、「ゴースティング」の前触れかもしれません。
②関心の低下
メールの返信頻度や電話に対応する時間が減り、実際に会うことにも熱意が感じられないようだと要注意です。関係からの撤退を決意する前に、相手からの関心の低下を感じることが多いようです。
③ステイタスの変更
自己紹介のページなどのステイタスが変わっているということにも要注意です。「ゴースティング」をする前に、ステイタスを「恋人がいない」に変えている人もいるようです。
しっかりとした意思表示があるわけではありませんが、「ゴースティング」の前兆は確かにありそうです。こうした状況を早めに察知していれば、いきなり相手に消えられてもショックは小さくなるかもしれません。
理想に燃えるタイプは要注意
じつは「ゴースティング」をしやすいタイプも判明しています。
それは恋愛で理想の相手を探したいと考えるタイプだそうです。理想を思い求めるあまり、少しでも自分に合わないと感じると、すぐに目の前から消えたくなるのだそうです。
つまり「ゴースティング」しやすい人は、長期にわたって人間関係を築きにくいタイプでもあり、長く付き合うことが難しいともいえそうです。
ジェレミー・ニコルソン博士は、「ゴースティング」がマイナスの影響をもたらすからこそ、「ゴースティング」の前兆に気づいたら連絡が減っている理由を相手にたずね、その回答に誠実さを感じないなら自ら別れを切り出すことを勧めています。
今日はいきなり連絡が取れなくなる「ゴースティング」についてまとめました。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考: 「How to Tell When You’re Being Ghosted—and How to Handle It」(Jeremy Nicholson M.S.W., Ph.D./Psychology Today)/「大事な人が音信不通になる『ゴースティング』が世界の若者を苦しめている」(COURRiER Japon)