人生100年時代を迎え、セカンドキャリアを真剣に考える人も多くなってきています。定年後から新しい仕事を始めるのでは遅いと、早期退職を計画している人もいるでしょう。ただ退職後のキャリアを考えていない人は、辞めた後に茨の道が待っているかも!
- 定年後も稼がないと余裕はない!?
- 早期退職してはいけない5つのタイプ
定年後も稼がないと余裕はない!?
老後資金に不安を抱えている一方で、寿命は今後も延びていく可能性がある。そうした状況で定年後も働ける環境を作りたいと考えるのは当然かもしれません。60歳で再雇用となっても、多くの人は大幅に年収が下がってしまいます。
では、定年までに老後の資金を貯められるのかというと、なかなか厳しいのが現実のようです。金融広報中央委員会が発表する資料によれば、60代の預貯金や金融商品の金額は1849万円です。こんなに貯めているのとかと驚いた人も多いのではないでしょうか。
じつは、こうした統計はお金持ちの資産額に引っ張られて高くなる傾向があります。そこでデータを小さい順に並べて真ん中にくる値「中央値」を調べてみると、1000万円とわかりました。つまり60代の人の多くが、1000万円前後の金融商品と預貯金を持っているということです(ちなみに50代の中央値は900万円、平均値は1481万円です)。
老後にどれぐらいの資金が必要なのかは、さまざまな統計が出ています。しかし寿命が伸び続け、公的年金にも不安がある状況では、1000万円の貯蓄で十分とはいえないのではないでしょうか。
そうなると65歳以降も稼げるセカンドキャリアを考える必要が出てきます。
早期退職してはいけない5つのタイプ
体力的にも65歳から新しいビジネスを始めるのは体力的に厳しいという気持ちは理解できます。とはいえ準備不足のままに会社を辞めてしまったら、老後の資金を貯めるどころではなくなってしまうでしょう。
そこで『50歳からの逆転キャリア戦略』(前川孝雄 著/PHP研究所)を参考に、早期退職してはいけないタイプを紹介しています。
①やりたいことがない人
仕事は与えられるもの。そんな意識を持っている会社員も少なくないことでしょう。でしゃばり過ぎれば叩かれる会社風土の中では、与えられた仕事を淡々とこなすことにも意味がありました。
しかしセカンドキャリアは会社任せでは成り立ちません。自分のやりたいことに向けて積極的に行動できる人にこそ仕事が来ますし、やりがいも育ってくるのです。自分のやりたいことは何なのかをしっかり考える必要があります。
つまり、まだやりたいことが見つからない人は、焦って会社を辞めてはいけません。
②自分の専門以外に関心がない人
近年、仕事内容はすごいスピードで変化しています。この前まで利益を上げていたビジネスが、もう稼げなくなってしまう。そんなことが当たり前に起こっているのです。つまり時代の変化に対応し続けなければ、ビジネスを続けていくことはできません。
自分の専門の周辺はもちろん、まったく違う領域でも貪欲に学んでいく姿勢が求められています。しかも変化を楽しむマインドも求められてきます。「昔はこうだったから」といった旧態依然のやり方が許されるのは、会社員として役職があるときだけです。新しいビジネススタイルについていけなければ、仕事が任されることもありません。
③上司への不満から会社を辞めたいと思っている人
たしかに上司は嫌な人かもしれません。それでも仕事は与えてくれます。しかし会社を離れてビジネスを始めたら、取引先が嫌いな人であっても仕事をしなければお金を稼げません。
『50歳からの逆転キャリア戦略』は、次のように書いています。
「上司への不満ばかりを語り、それが原因で感情的な行動に走ってしまう人には、共通して『自分を客観視できていない』という特徴があるのです。このようなタイプの人は、むしろまだ会社を辞めてはいけません」
他者からの批判も含めた評価を客観的にとらえるようになって、人は成長が重ねることができるようになります。自分を俯瞰して見られるようになるまでは、簡単に会社を辞めない方がいいでしょう。
④経営の視点や知識に欠ける人
自分で起業にするにせよ、中小・零細企業などに転職するにせよ、経営の知識が必要になってきます。大企業で担当する部門の知識だけで仕事ができる環境と違うからです。税務や在庫管理などの知識を持ち、その上で自分のやりたいことを追求する必要があります。
ここらへんの知識が不足したまま起業すると、大きな失敗につながる可能性があります。注意したいところです。
⑤社名・肩書にこだわる人
米国では優秀な学生ほど大手ではなく、スタートアップ企業に勤めることが多いと言われています。日本の大手企業でも、企業がより必要とする優秀な人材ほど会社に見切りをつけ辞めていく傾向があるようです。また役職についても、出世を望まない人も増えています。
セカンドキャリアはやりたいことに向けて努力する職業選択です。社名や肩書にこだわっていたら、自分らしいキャリアを築けません。また失った社名や肩書に強いこだわりを持っている人と一緒に仕事をしたいと思う人も少ないでしょう。
自分のセカンドキャリアをどうするのか迷ったときには、キャリアコンサルタントと呼ばれる専門家に相談してみるのも一つの方法です。キャリアコンサルタントは、厚生労働者省が平成36年度末までに10万人育成しようとしている国家資格です。セカンドキャリアだけではなく、さまざまな職業選択に大きな力を発揮していくと期待される資格です。
自身のセカンドキャリアについて、より深く考えたいなら資格取得も1つの方法でしょう。もっとキャリアコンサルタントについて知りたい方は、こちらをクリックしてください。
参考:『50歳からの逆転キャリア戦略』(前川孝雄 著/PHP研究所)