日常で大いに使える心理学! プライミング効果で試験勉強も子どものしつけも簡単に

試験勉強がどうしてもうまくいかない、子どもが言うことを聞かなくて悩んでいる……。

そんな悩みがあるなら、知っておきたいのがプライミング効果です。知らないうちに脳が影響を受けているかもしれない心理効果を有効活用することで、生活がもっと楽になりますよ。プライミング効果と、その応用法について解説します。

  1. プライミング効果とは?
  2. プライミング効果が日常に使えることを彷彿させる心理実験
  3. 子育てに活用!ポジティブワードを多発して
  4. 試験勉強に有効!あなたは何を関連付ける?
  5. 日常に使える心理学で、もっとラクになれる

プライミング効果とは?

プライミング効果とは、先に与えられる刺激が、後に与えられる刺激の処理速度や正確さに影響する心理効果のことをいいます。先に与えられる刺激のことをプライマー、のちに与えられる刺激のことをターゲットと呼びます。

プライミング効果には直接効果と間接効果があり、直接プライミング効果とは、基本的にプライマーとターゲットが同じであるとき、同じ知覚刺激を繰り返した後に観察される効果です。間接プライミング効果とは、プライマーとターゲットが異なる場合に起こる効果を指します。

と、このような説明をしたところで、抽象的過ぎてよくわからないでしょう。具体例を示せば、実はとても身近なところにプライミング効果の例があります。それは「10回クイズ」です。

「ピザ」と10回言わせた後に「じゃあ、ここは?」と「ヒジ」を指さすとき、出題者は「ヒザ」と回答することを期待していますよね。この場合、先行する刺激としてのプライマーは「ピザと言うこと」であり、ターゲットは「ヒザと言うこと」です。10回クイズは、プライミング効果を期待して作られたクイズなのです。

プライミング効果が日常に使えることを彷彿させる心理実験

プライミング効果は、ゲームに使えるだけではありません。それを示唆してくれるのが、心理学者のバージらが行った心理実験です。実験参加者らを2つのグループに分け、それと意識されないように、一方のグループには「礼儀正しい」という言葉をプライマーとして刷り込み、もう一方のグループには「無作法」という言葉を刷り込ませる単語テストを行いました。

単語テストを終えたら、参加者は実験者にテスト終了を告げに行くよう指示されます。ところが、実験者は他の人物と話し込んでいて、指示されたことを行うには彼らの会話に割り込まなければなりません。ここで、話に割り込めるまでにどれほど時間がかかったかが測られました。すると、「無作法」を刷り込まれたグループが話に割り込むまでにかかった時間の平均は326秒でした。一方で「礼儀正しい」を刷り込まれたグループは、話に割り込むまでに平均して558秒もかかっていたのです。

このことから、実験参加者らは自らが植え付けられた「無作法」と「礼儀正しい」という言葉の刺激に、知らず知らずのうちに影響されていたと考えられます。バージらは他にもプライミング効果を使った実験を行っていて、「老人」「遅い」という言葉をプライマーとして刷り込まれた参加者は、そのあと一時的に歩く速度がゆっくりになることも実証しました。

子育てに活用!ポジティブワードを多発して

バージの心理実験結果から、あることに気づいたお母さんは多いでしょう。そう、「あなたは本当にグズなんだから」「どうして散らかすの!」「だらしない!」などと子どもに向かって連呼していると、子育てにはきっと逆効果だということです。

プライマーとして「グズ」「散らかす」「だらしない」という言葉をずっと使っていたら、子どもの行動が好転することはなかなか難しいでしょう。そしてそれは、いわば催眠術のように子どもへネガティブな言葉を刷り込んでいることになりかねないのです。

子育てにはもっとポジティブなワードをちりばめていきましょう。「これからお片付けしてくれるんでしょ」「ラーメン、こぼさないで食べられるよね」「手をきれいに洗ったね」など、期待を込めて「やってほしいこと」をプライマーとしてインプットすれば、きっと効果が表れますよ。

試験勉強に有効!あなたは何を関連付ける?

そしてプライミング効果は、学習にも力を発揮してくれます。どうしても覚えられない単語があるときには、容易に思い出せる身近な単語をプライマーとして頭にインプットしましょう。そうすることで簡単に思い出せる単語が、覚えにくい単語を引き出してくれるのです。難しい単語への導線を、簡単な単語で作るようなものです。

例えば哺乳類という単語が思い出せないなら、犬という単語と結び付けて覚えておけばいいというわけです。

あなたは、覚えたい単語を何を関連付けますか。自らに暗示をかけるのは、ちょっとおもしろい作業です。今までよりも、ずっと楽しく学習できるのではないでしょうか。

日常に使える心理学で、もっとラクになれる

以上のように、プライミング効果は日常に大いに使える心理学です。子育てや試験勉強のほかにも、やらなければならないことへのリマインダ―、他人に知られてはいけない暗証番号を思い出すためのメモなど、有効活用できる場面は無限にあります。プライミング効果を上手に使って、生活をもっとラクに、快適にしましょう!

参考:『社会心理学』池田謙一ほか、有斐閣

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