手洗い、マスク、うがいなどをしている人は多いと思いますが、WHOが推奨する「顔を触らない」という予防法を実践できている人は、どれぐらいいるでしょうか? 感染予防効果は高いと言わるものの、実施が難しい顔からの感染対策についてお伝えします。
- 無意識に1時間23回も触ってしまう
- 顔への接触が不安の解消に役立つケースも
- 触る回数を減らす
無意識に1時間23回も触ってしまう
ウイルスが侵入しやすい目・口・鼻を触らないようにと、WHOは呼びかけています。また、ウイルスが付着しやすい手を入念に洗い、手で顔を触らないようにすればかなりの感染は予防できると、ニューヨークで新型コロナウイルスと闘うディビッド・プライス医師が発言してニュースにもなりました。
たしかにウイルスが侵入しやすい「入り口」を管理すれば、新型コロナウイルスへの感染はかなり防げるように感じます。
ただし問題は、顔を触らないことの難しさでしょう。
2015年にオーストラリアのニューサウスウェールズ大学が行った実験によれば、実験参加者は1時間に23回も顔に触っていたとのこと。感染の可能性が高まる接触は、口が4回、鼻が3回、目が3回でした。
花粉症などで悩まされていれば、柔らかい粘膜のある目・鼻・口への接触回数はもっと増えるはずです。しかも多くの人は無意識に触っているようなのです。
顔への接触が不安の解消に役立つケースも
顔を触ることはストレスを解消する行為でもあるという記事を読んだので、動作から心理を推測する『FBI検査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』で調べてみました。すると不安への対処となるしぐさばかりでした。
「目を覆う」のは、不愉快な出来事を遮断したという行動で自信のなさを表し、逮捕されてしまった人などにも見られるそうです。
「そっと鼻に触る」のは、隠された緊張を隠そうとするもので、不安や不快な感情をなだめようとする無意識の「なだめ行動」と呼ばれるものです。
「両手で急に鼻や口を覆うしぐさ」は、ショック、確信のなさ、疑念、心細さを表すとのこと。これも不安に関連するしぐさでした。
「指を唇につける」のは確信のなさや疑いを示す場合があり、「(幼児期に)親指をしゃぶっていたことを思い出させるストレス解消法」とも書いてありました。
触る回数を減らす
これだけ不安に対処する動作が並ぶと、顔を触らないことを完全になくすのは難しいとも感じました。ただ回数を半減させるだけでも感染のリスクは下がります。そこで少しでも顔を触らなくする対処法を調べてみました。
⓵肩から上に手を上げない
医療現場では、医師や看護師に肩から上に手を上げないように指導することもあるそうで、こうした習慣を身に付けられれば、高い感染防止を期待できそうです。
②顔を触る回数をかぞえる
米国のノースカロライナ大学で行った実験では、顔に触れた回数を当人が数えることで、65〜95%も顔への接触を減らすことができたと報告しています。スマホのアプリなどで構わないので、カウンターを置いてただただ測り続けるだけで、これだけの効果が期待できるそうです。
③顔の代わりに腕を触る
米国の内科医ゲイル・サルツ氏のお勧めは、顔を触りたくなったときに腕を触るか、掻いてみること。
『FBI検査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』によれば、腕を組みながら腕を揉む行為はストレスを和らげるしぐさなので、置き換えもしやすいかもしれません。
④物理的に防止する
もちろん顔を触るのを物理的に止める方法もあります。マスクやメガネ、フェイスガードといったものを着用すれば、無意識に顔を触ってしまうのも防止できるでしょう。
新型コロナ対策は長期間におよぶ可能性が指摘されています。だからこそ感染防止の小さな努力を、無理のない範囲で積み上げていくことが重要になってくるでしょう。気になる対処法があれば試してみてくださいね。
メンタルヘルスや心理学に興味のある方はこちらをご覧ください。
参考:「この2つを守れば新型ウイルスは99%予防できる 簡単そうでできない米国医師の提案」(JCASTテレビウォッチ)/「新型コロナ感染予防、顔を触る癖に注意を」(福井新聞)/「アメリカの専門家が伝授 コロナウイルスの予防に! “ 顔を触らない”ためのコツとは?」(Yahoo! JAPAN ニュース)/『FBI検査官が教える「しぐさ」の実践解読辞典407』(ジョー・ナヴァロ 著/河出書房新社)/How to Stop Touching Your Face(Steven C. Hayes Ph.D./Psychology Today)