体感で印象や記憶を操作する 2つの方法を紹介

特に意識しない体感が、気分に大きな影響を与えることがあります。

そうした体感からビジネスに使えるものを厳選してお教えしましょう。

  1. 下から上に手を動かすとポジティブな記憶が
  2. 体の上昇がポジティブさを連れてくる
  3. 階段やエレベーターで活用
  4. 手に持つ荷物の重さで人物の重要性が変わる

下から上に手を動かすとポジティブな記憶が

体感がビジネスに影響を与えることがあるようです。契約を結ぶとき、わざわざ気分の悪くなるような場所を選ぶ人もいないでしょう。なるべくお客様に良い気分で過ごしてもらいたいと、多くの人は考えるものです。

でも、心地よいとか、いい香りといったわかりやすい体感ではなく、無意識に記憶や感情に影響を与える体感があったとしたら、もっとビジネスに応用したいと思いませんか?

そんな人達に、ぜひ紹介したい心理実験があります。

心理学者のカッサントが発表したおはじきをつかった実験です。カッサントは実験参加者におはじきを手で動かしながら、前日の記憶について自由に思い出してもらいました。その結果、おはじきを下から上に運んでいるときに思い出した記憶はポジティブなものが多く、上から下に運んでいるときはネガティブな記憶が多かったのです。

体の上昇がポジティブさを連れてくる

さらに妹尾武治氏が発表した実験結果によれば、大型モニター画面に縞模様を映し出して下に動かしたときに実験参加者が語った思い出は、上に動かしたときよりポジティブなものが多かったということです。

これは縞模様を上に動かすと身体が下降しているように感じ、下に動かすと上昇しているように感じる錯覚が、記憶に影響していることを示しています。

こうした影響は上昇がポジティブで下降がネガティブという印象が脳に植え付けられていることから起きるそうです。

だからこそ映画で起きる事件や悲劇は階段を下った地下室で起こったり、会社の経営陣はビルの高いところに部屋を構えるのではないでしょうか。

階段やエレベーターで活用

この心理実験はビジネスで活用可能です。

お客様をエレベーターで案内するとき、昇りのときに過去の話を語ればポジティブな記憶を思い出す可能性が高くなるかもしれません。また、他の職員とうまくいっていない部下がいるときなどは、一緒に階段を上りながら行き違いがあった社員との良い思い出を語ればいいのです。ポジティブな記憶を思い出す可能性は、通常よりも高くなりそうです。

もちろん、おはじきの代わりに何かを手で下から上に移動させることができれば、わざわざ階段を一緒に上らなくても記憶に影響を与えることができそうです。

手に持つ荷物の重さで人物の重要性が変わる

同じような体感と印象の実験としては、2010年にアンカーマンが発表した実験結果が面白いでしょう。

実験参加者はある人物にインタビューをしてもらい、その後、その人物の重要性について評価しました。ただしインタビューのときに、インタビュアーに軽いクリップボードか、重いクリップボードを渡すよう操作しました。

結果、重いクリップボードを渡されたインタビュアーは、軽いクリップボードを渡されたときより、より重要だと評価されたのです。これは人物の重要度が、手に持っている重さによって変化した結果、起きたことだといわれています。

この心理実験を活用するなら、自分が推したい人のプロフィールなどを上司などに提出するときは、なるべく重く感じられるようにすればいいことになります。クリップを重厚にする、紙を厚くして重くする、紙の量を増やすなどの工夫で、上司に気づかれることなく影響を与えることができるでしょう。

あるいは名刺などもできるだけ重くした方が重要人物として評価されることになりそうです。

ただ、以前に金属で名刺を作っていた友人は、名刺入れが切れたとクライアントから報告されたそうです。

重い名刺の陰で一瞬は重要な人物だと思われても、名刺入れを壊してしまうようだと、全体的にはマイナスになりかねません。気を付けてくださいね。

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