心が冷えると財布の紐も閉まる 消費増税で考えた経済と心理

消費増税から約1ヵ月がたちました。前回のほどの経済が落ち込んだ様子はありませんが、無駄遣いは控えたいなと感じるのも事実。そこで経済と心理について調べてみました。

  1. 一部で消費の落ち込みも
  2. 日本人の消費への要求は冷え込んでいる
  3. 達成欲求を刺激した50年後に経済上昇
  4. 個人の達成欲求が経済を成長させる

一部で消費の落ち込みも

11月1日で消費増税から1ヵ月が経過し、増税の影響についても記事が散見されるようになりました。政府が景気底上げ策として実施した6兆6000億円の効果もあったのか、前回の消費増税より経済は落ち込んでいないとの見方が大勢を占めています。

しかし自動車や百貨店などは政府の下支え策の恩恵を受けなかったためか、売上げは落ち込んでいます。消費増税前の駆け込み需要もあったため、落ち込み幅が大きかった可能性もありますが、一部百貨店では前月比で20%近く売上高を下げています。

やはり買い物を控えようと思う人が一定数以上いるのでしょう。

日本人の消費への要求は冷え込んでいる

ただ、日本人の消費への意欲は、もともと低い状態です。給与もなかなか上がらず、名目GDP(国内総生産)の数値もあまり上がらず、世界的にも見ても日本の成長率は低いといわれています。家計最終消費支出の名目値も、あまり上昇していません。

「若者の○○離れ」という言葉をよく聞きますが、経済の見通しに不安を感じている若者が車などを購入しなくなったのは、しごく当然なのかもしれません。

日本の高度経済成長の時期に働いていた人から、当時は給与がどんどん上がっていったと夢のような話を聞くことがあります。それなら消費をするのも不安がないでしょうし、いろいろな商品を買いたくなる気持ちもわかります。やはり経済成長への期待がないと、消費が怖くなってしまいます。

達成欲求を刺激した50年後に経済上昇

こうした経済への心理的な影響について、アメリカの心理学者デイビッド・C・マクレランドは面白い論文を発表しています。

マクレランドは、1500年代から1800年代の300年間で流行した小説や戯曲、詩などからランダムに文章を抜きだし、そこに彼らが研究していた「達成欲求」を刺激する表現が、どれだけ入っているのを調べました。

その結果、「頑張る」や「やり遂げる」といった表現が多く使われた50年後には、石炭輸入量が増加していることが判明したのです。正確には、達成を刺激する表現の量と経済的な繁栄の度合いが50年の時をへて一致したのです。

石炭の使用量で経済発展をはかる点も面白いのですが、言葉が流行った時期と実際の経済発展の時期が50年もズレていることも興味深い結果といえるでしょう。

この時期のズレについてマクレランドは、小さい頃に「達成欲求」が刺激された結果、大人になってから達成的な行動を起こすようになり、それが一国の繁栄をもたらした、と結論づけました。

マクレランドの研究が正しいなら、経済的成長を実感できず、なかなか希望を見いだしにくい世相が続き、「失われた20年」といった言葉が定着している日本の経済成長は簡単ではないかもしれません。

個人の達成欲求が経済を成長させる

では、マクレランドが経済成長に重要だと考えた「達成欲求」とは、どのようなものでしょうか?それは障害を克服してでも目標を達成しようとする傾向です。達成欲求の高い人は簡単には諦めませんし、達成が難しい目標に対してはやり方を工夫します。

達成欲求については訓練方法なども開発されていますが、ここでは簡単に達成欲求を高めるための2つの方法を、マクレランドの欲求理論から紹介しておきます。

①成功と失敗の確率が50%になるように目標を設定する

②行動した結果がなるべく早くフィードバックできるようにする

簡単すぎても、難しすぎても挑戦したくなるのが人間です。

成功か失敗か、どちらに転んでもおかしくない目標設定が重要です。そして、その行動がどういう成果を生み出したのかがわかれば、モチベーションが高まります。

国の経済を動かすのはなかなか難しそうなので、せめて個人の「達成欲求」だけでも高めておきたいものです。

参考

『対人社会心理学重要研究集』(齊藤勇 編/誠信書房)

「第10回 達成へのモチベーション -D. C. マクレランドの研究-」(角山剛)

「日本はなぜ、ここ20年「ほとんど成長していない」のか?(ZUUonline)

「日本はなぜ経済成長の勢いを取り戻せないのか?先進国で続く経済成長率の低迷~長期停滞論とは」(クラウドクレジット)

「消費増税1カ月 落ち込み限定的も百貨店や車に反動」(IZA)

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