久しぶりの同窓会。昔話に花が咲いたのはいいけれど、みんなの記憶が少しずつ違っていたりすることありませんか?その疑問を心理学が解き明かします。
- 自分に関連する出来事だけ
- 「ヒヤリ、ハット報告」はこう活かす
自分に関連する出来事だけ
幼なじみと昔話に興じると、ちょっと記憶が食い違ったり、自分がまったく覚えていないことを指摘されることが、あったりするものです。同じ場所で同じような体験をしたのに、どうして記憶が違ってしまうのでしょうか?
その理由の一つが、自己関連付け効果と呼ばれるものです。
心理学者のロジャースは、この効果を確かめるために次のような実験を行いました。
テレビモニターに48個の形容詞を1つずつ写しだし、その後、下記の4つの質問を1つずつを写しだし、実験参加者は「はい」か「いいえ」のボタンを押して答えるのです。
1.大文字ですか
2.○○(別の形容詞)と韻をふんでいますか
3.○○(別の形容詞)と同じ意味ですか
4.あなたに当てはまりますか
この回答が終わった後、実験参加者は順不同で画面に映った形容詞を思い出すように求められました。結果、他の項目の2倍以上の数値で、4番の自分に当てはまるかどうかをたずねられた質問の単語を思い出したことがわかったのです。
この実験結果について、ロジャースは自分に関する豊富な知識に結びつけるような処理が行われるため、記憶に残ったのだという説明をしています。
「ヒヤリ、ハット報告」はこう活かす
この実験からわかることは、自分と結びついた事柄は記憶に残りやすいということです。つまり子ども時代の思い出も、自分に関連する部分がクローズアップされているといわけです。結果、やや食い違いが起きてしまうのです。
このような記憶の特性は、重要な意味を持つことがあります。例えば、将来起きると予測される大きな事故を防ぐために積み上げられる「ヒヤリ、ハット報告」を活用するためには、その事例そのものを覚えておく必要があります。そして覚えておくためには、自分の仕事との関連性をしっかりと認識する必要があるのです。
「ヒヤリ、ハット報告」が上がってきたときは、自分の仕事とどのような関連があるのかしっかり想像し、同じようなミスがどのような大事故につながるのかも考えてみましょう。
もし、あなたが部下を持っているのであれば、部下にも自身と仕事の関連性をしっかり認識してもらう必要があります。事例と現在の仕事が地続きになり、他人事として忘れてしまわないように説明してみましょう。
きっと大きな事故の防止に役立つでしょう。