始業直前、部下から電話がかかってきて「彼氏に振られたので、会社に行けません」と泣きじゃくられたらどうしますか。上司のあなたにとって理解しがたいような理由にも、実は重大な心のダメージが隠れているのかも!
- 失恋の痛みは医学界でも認められている!「ブロークンハート症候群」
- ペットロスはほとんど「家族との別れ」
- 「朝、起きられない」はメンタル不調のサインかも
- 部下の「お休み」の理由にはきちんとアンテナを張って
失恋の痛みは医学界でも認められている!「ブロークンハート症候群」
失恋すると胸が苦しく、何をする気も起きなくなってしまうという経験をしたことありませんか。実は、失恋の痛みには、「ブロークンハート症候群」という症名がつけられています。つまり、立派な病気ということです。
アメリカ・ロヨラ大学のビン・アン・ファン心臓内科医は、ブロークンハート症候群を、親しい人の死や失恋など強いストレス下で起こる症状であるとしています。具体的には、胸の痛みや呼吸困難など。強いストレス下では心臓に大量のストレスホルモンが流れ込み、心臓に血液を送る動脈が狭まってしまうことで発作が起こるというのです。
「失恋で胸が痛くて会社に行けません」と泣きじゃくる部下は、上司にプライベートを打ち明けなければならないほど切羽詰まっています。「そんなことで会社を休む」と言いたくなる気持ちをひとまず押さえて、「今、この人は病気なのかもしれない」と考えてみましょう。
ペットロスはほとんど「家族との別れ」
博報堂の調査によると、「ペットも家族の一員だと思う」と考えている人は56.6%と、過半数を超えています。つまり、ペットを亡くすということは、ほとんど親や子供、兄弟をなくすのと同じくらい辛いということを意味します。
先ほどの「ブロークンハート症候群」は、親しい者との死別でも発症します。さらにペットを亡くすと、ペットロスに陥る危険性もあります。アイペット損害保険の調査によると、ペットロスで最も多かった症状は「突然悲しくなり涙が止まらなくなった」という回答が60.3%で最多となりました。次いで「疲労感、虚脱感、無気力、めまい」という回答が32.6%を占めています。ペットロスの症状が3ヶ月以上続いた人の割合は、なんと7割にも上ります。
ペットを亡くした部下がいたら、精神的な辛さを感じていないか、仕事を無事こなせているか、温かく長く見守っていきたいですね。
「朝、起きられない」はメンタル不調のサインかも
「朝、起きられないから休みます」という電話が部下からかかってきたら、上司としては「最近たるんでいる」と思ってしまうかもしれません。でも、その状況が長く続いているようなら、その部下はメンタルの不調に陥っている可能性があります。
朝起きられない、夜になかなか眠れないといった睡眠障害が、メンタルヘルスと関係あることは睡眠の専門家の多くが指摘していることです。症状がどんどん進んで、ある日の電話が「休みます」ではなく「辞めます」になってしまわないよう、ゆっくり話をする機会を設けてみてはいかがでしょうか。
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部下の「お休み」の理由にはきちんとアンテナを張って
そもそも、有給休暇はどんな理由で取得してもかまわないのだから「部下が休む理由は聞かない、詮索しない」という方もいるかもしれません。それで気が楽になる部下も、もちろんいると考えられます。
しかし、部下の「今日は仕事休みます」には、様々な重要なサインが隠されているかもしれません。部下と話をする機会を設けて、じっくり耳を傾けてみてはいかがでしょう。
参考:『ココロの謎が解ける50の心理実験』清田予紀、王様文庫