新型コロナウイルスで落ち着かない日々を過ごしている方も多いことでしょう。そんな人におすすめしたいのが、心を癒すセルフ・コンパッションです。簡単にできるエクササイズも紹介しています。
- 自分を責めていませんか?
- 心を安定させ成長への意欲を生み出すセルフ・コンパッション
- まず自分を抱きしめてみよう!
- セルフ・コンパッションを高めるエクササイズを紹介
自分を責めていませんか?
「セルフ・コンパッション」を訳すと「自己への思いやり」「自己への慈しみ」となります。簡単に言えば、
「思いやりや慈しみをもって自己に接すること」
(「セルフコンパッション研究のこれまでの知見と今後の課題」 宮川裕基・帝塚山大学研究員 他)
です。
自分が失敗してしまったとき、ついつい自分のことを責めていませんか?
「なんて自分はバカなんだ」「最低だな、自分」など他人以上に自分を責めることは、必ずしもプラスに働くわけではありません。
自分のいたらなさや精神的な苦痛を感じているときでも、自分に愛情を注いで心優しく接することができれば、情緒的な落ち着きが得られるというのです。
自分の感じている苦痛をありのまま受け入れ、その苦痛を緩和し、幸せになるために、自分と肯定的にかかわるのがセルフ・コンパッションです。
このように書くと宗教的と、少し不安に感じてしまうかもしれませんが、セルフ・コンパッションは、ストレスマネジメントやメンタルヘルスケアの手法として欧米で注目の研究分野です。
心を安定させ成長への意欲を生み出すセルフ・コンパッション
実際、セルフ・コンパッションに関連する論文はかなりの数にのぼり、セルフ・コンパッションの高い人が精神的に安定していることも証明されています。そのいくつかを紹介しましょう。
・セルフ・コンパッションが高い人は、人生の満足度や幸福度が高い
・セルフ・コンパッションが高い人ほど、肯定的で安定した自己像を持っている
・セルフ・コンパッションが高い人は自律的で、学業でも課題を通して新しいことを学ぼうとする。
セルフ・コンパッションが高いと、精神的に安定し成長への意欲も強まるというわけです。なおかつセルコンパッションが高いと、困難な事態から生まれる苦痛を緩和することも明らかになっているのです。
宮川裕基・帝塚山大学研究員は、その具体例を次のように書いています。
セルフ・コンパッションに興味のある方は、こちらの記事もおすすめです。
自分を成長させ、ストレスにも強くなる「セルフ・コンパッション」ってなに?
まず自分を抱きしめてみよう!
では、セルフ・コンパッションはどのようにすれば高められるのでしょうか?
セルフ・コンパッションは、グーグルなどで導入されて話題のマインドフルネスとセットで扱われることも多く、そのメソッドも数多くあります。しかし、とにかく簡単に自らを癒す経験がしたいなら、自分を抱きしめてみましょう。自分の手のぬくもりを感じることで、自分が癒されていくのを味わってみてください。
不思議なことに、自分を抱きしめてあげるだけで、自分をどれだけ自分をぞんざいに扱ってきたのかがわかったりします。
厳しい状況になればなるほど、人は自分に厳しくなりがちです。日々の緊迫感の中で疲れてしまっている自分自身で癒してみましょう。
セルフ・コンパッションを高めるエクササイズを紹介
自分を抱きしめることで癒された感じた人に紹介したのが、「慈悲的なイメージを使ったエクササイズ」です。これはセルフ・コンパッションの第一人者である、テキサス大学准教授のクリスティーン・ネフの『セルフ・コンパッション』(金剛出版)に紹介されているものです。
①心落ち着ける場所を思い描く
静かな場所に座って目を閉じ、穏やかで心落ち着ける場所を想像しましょう。
どんな景色が広がり、どのくらいの明るさで、どんな香りや音がしているでしょうか? しっかりと思い描きましょう。
②理想の人物を描き出す
思いやりと慈悲の心を持つ人を想像します。実在の人物でも想像上の人物でもかまいません。人物が浮かばない場合は、白い光のような抽象的なイメージでも大丈夫です。
③自分に投げかける思いやりのある言葉を考える
その人はどんな声で何を語ってくれましたか? その人はどんな感情を持っていると思いますか? しっかり考えます。何の言葉も浮かばないようであれば、その人のイメージに優しく包まれるところを想像してみましょう。
④自分の心に生まれた落ちつきを感じる
最後に慈悲的なイメージを解き放ち、何度か深呼吸をしてみましょう。そして、このエクササイズで生まれた心の落ち着きを感じてみましょう。
少しでも癒されたと感じれば大成功です。疲れたと思ったら試してみてください。
心理学に興味のある方は、こちらもクリックしてみてください。
参考:『セルフ・コンパッション』(クリスティーン・ネフ 著/金剛出版)/「セルフコンパッション研究のこれまでの知見と今後の課題」 宮川裕基・帝塚山大学研究員 他