職場の人間関係に効く3つの心理学的テクニック

職場の悩みの多くは人間関係にあります。パワハラといった極端な事例でなくとも、気疲れしてしまうような人間関係は意外と多いもの。そうした問題を、なるべく簡単に解決する方法をまとめてみました。

  • 職場の悩みのトップは人間関係
  • いつでも笑顔で
  • 「ありがとう」を口癖に
  • 観察する

職場の悩みのトップは人間関係

日経BPコンサルティングが2015年に20代以上の働いている3299人にアンケート調査した結果によれば、仕事でストレスを感じるものの1位が2位を大きく引き離して「職場の人間関係」でした。大企業や中小企業に勤めている人の50%以上が選択しています。2位は「仕事量が多いこと」で、企業規模にもよりますが30%前後の数値なので、20ポイント近く離して「職場の人間関係」がトップというわけです。

また2018年の「エン転職」の調査でも、転職経験者の半数以上が「人間関係が転職のきっかけになったことがある」と回答しています。さらにアンケートに答えた1万人以上の「エン転職」ユーザーの内8割以上が「今までの職場で、人間関係に難しさを感じたことがある」と回答しているのです。

職場で気の合わない人や考え方の違う人がいるのは当たり前。しかも仕事量が多く、忙しい環境では互いの行動に苛ついてしまうこともあるでしょう。

職場で人間関係が問題になるのは、仕方ない側面があるのかもしれません。しかし同じ職場で仕事を続ける以上、人間関係の煩わしさを軽減していく必要があります。しかもできるだけ簡単に実践できる方法が必要です。そこで今日からできる3つの対策法を、『世界最先端の研究から生まれた すごいメンタル・ハック ストレスフリーで生きる77の心理術』(内藤誼人/清談社Publico)などから紹介しましょう。

①いつでも笑顔で

「こんな簡単こと!」と驚くかもしれません。しかし心理学には「笑顔の返報性効果」と呼ばれるものがあります。それは笑顔を見せれば、相手も笑顔を返してくるというもの。

アムステル大学のアニーク・ヴルートは、実験参加者に動物愛護の募金のお願いをさせ、笑顔のときと無表情のときで相手がどのように反応するのか調べました。結果、笑顔で近づいたときには64.9%の人が笑顔を返し、無表情で近づいたときには64.7%の人が無表情のままだったのです。

もちろん欧米との文化の差があるので、まったく同じような結果になるとは限りませんが、笑顔がプラスの効果を発揮することは間違いないでしょう。

また、作り笑顔であっても、顔の筋肉の動きを脳が錯覚し楽しい気分になってくるといった研究もあります。

このような効果を見逃す手はありません。人に声をかけるときや、かけられたときは必ず笑顔で対応する。それだけで周りの反応も変わっていくはずです。もしあなたが、これまで険しい顔で過ごしていたなら、いつも笑顔でいることに驚かれるかもしれません。しかし笑顔を続けていれば、周囲の人たちもしだいに笑顔のあなたが当たり前になっていくでしょう。

②「ありがとう」を口癖に

感謝を示すことの重要性は、さまざまな心理実験で証明されています。その中でもペンシルベニア大学のアダム・グラント氏の研究は、非常に面白いものです。彼は「ありがとう」という言葉が入った文章の後に面倒なお願い記したメールと、感謝の言葉が入っていないまま面倒なお願いが書いてあるメールを送付し、メールを受け取った人たちの対応を調べました。

すると「ありがとう」という言葉の入ったメールを受け取った人は、66%がお願いをきいてくれました。一方、「ありがとう」が入っていないメールを受け取った人は32%しかお願いをきいてくれなかったのです。

ここで重要なのは、メールの文章の違いが「ありがとう」という言葉だけだったこと。「ありがとう」を付け加えるだけで、倍以上の人が頼みをきいてくれるなんて、信じられないほどの効果です。

じつは日々の仕事は、多くの人の努力で成り立っています。そのことに気づかないまま、自分の担当する分野を必死に終わらせている。そんな日々だからこそ、いろんな人たちの行動に感謝することは重要です。どんどんとお礼をいいましょう。ただ口先だけの感謝にならないように、日々、感謝できることを探してみるのもおすすめです。

感謝が習慣になると、幸福度が上がるという心理学の研究結果もあるので、感謝の種を探して、さらに相手に感謝を伝えることは自分も周りも幸せにする方法です。

③観察する

苦手だなと思う人を観察してみましょう。どんなときに苛つき、いつ機嫌がいいですか? 気持ちの揺れ方に法則があれば、対処も可能になります。

例えば、相手が待たされることに苛立つのであれば、書類などを待たせないように事前に手配しておいたり、決まった曜日に期限が悪いなら、その日はなるべく近づかないようにするといった方法もあるでしょう。相手が苛つく原因を考え、それを少しでも解消できるようにすれば、仕事がより円滑に回るためトラブルも起こりにくくなるでしょう。

もちろん先読みし過ぎて疲れてしまうといったことはおすすめしませんが、苦手だからこそ、あえて観察して、その対策を考えてみるといったことも有効かもしれません。

今日は簡単にできる職場の人間関係対策をまとめました。1日のかなりの時間を過ごすのが職場ですから、なるべく気持ちよく過ごせるようにしたいですね。

日常生活に活用できる心理学の活用法に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『世界最先端の研究から生まれた すごいメンタル・ハック ストレスフリーで生きる77の心理術』(内藤誼人/清談社Publico)

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