良好な夫婦関係を維持するために、どんなことが大切なのか知っていますか? 今回は夫婦の関係満足度について調べてみました。もしかしたらあなたのパートナーへの気配りは、夫婦関係にプラスに働いていないかもですよ!?
- コミュニケーション
- 的確なサポート
- 財産の共有
①コミュニケーション
夫婦関係に大きな影響を与えるものとして、多くの人が思いつくのがコミュニケーションでしょう。実際、米国の調査によれば、夫婦間のコミュニケーションの欠如は離婚につながると言われています。また生命保険文化センターが実施したアンケート調査でも、パートナーへの全般的な満足と最も関連が深かったのは「コミュニケーション」でした。この調査では、男性は「家事分担」や「自分の就労への理解」、女性は「生活設計」や「配偶者への就労感」が関係満足度と関連していましたが、スコアー的には「コミュニケーション」がダントツだったのです。
この調査結果自体に、驚く人は少ないでしょうし、しっかりとコミュニケーションを取るよう努力している人もいることでしょう。ただ年齢によって、注目するポイントが変わってくるのを知っていますか?
文京学院大学の伊藤裕子教授らの研究によれば、まず子育て期の妻の満足度にコミュニケーションが大きくかかわっているそうです。自分のありのままを話す自己開示に加え、会話時間も、妻は大切にしているというのです。
一方、子育て期の男性は、自己開示よりも会話時間の方が関係満足度との関連性が深いことがわかりました。
子育て期の男性が、忙しいからと言って子育て期の女性の話を聞かないのは、お勧めしません。というのも子育て期の男性の「怠慢」は、中年期になってブーメランのように自分に返ってくるからです。中年期の夫は、夫婦間の自己開示が関係満足度に大きな影響を及ぼしていることがわかっています。そのうえ中年男性は、妻以外に自己開示できる相手を持たない傾向にあります。
一方、中年期の妻は、子育て期と同様にコミュニケーションを重要だと思っているものの、夫以外にも自己開示できる相手を持つ傾向にあります。しかも夫の自己開示が、妻の関係満足度を高めるという結果も出ているのです。
忙しさにかまけて、子育て期に妻の話を聴かない夫は、中年期に唯一の話し相手であり、関係満足度を高めてくれるパートナーを失ってしまうかもしれないのです。
どんなに忙しくても、コミュニケーションの時間をしっかりと取ることは夫婦関係をよくする基盤となりそうですね。
②的確なサポート
「恋人の頃は夫も優しかったのになー」と思うことはありませんか? 「出会ったときには、自分の要望を叶えようと走り回ってくれたのに、結婚してからは……」といったことは珍しくないでしょう。
追手門学院大学の金政祐司教授の研究によれば、中年期の夫婦よりも恋人関係にあるカップルの方が、プレゼントやちょっとしたサポートを実行しやすいことがわかっています。夫婦になると相手への支援やサポートが減ってくるのは一般的な傾向のようです。
一方、夫婦間での支援やサポートが、夫婦の関係満足度に関係していることもわかっています。ただ、その評価ポイントが恋人時代とは違うようなのです。
重要なのは、ズバリ「的確さ」。パートナーが望んだときに、望んだものを、タイミングよく提供することが、夫婦の関係性をよくしていくそうです。
恋人時代はパートナーがいろいろ動いてくれたけれど、自分が望んだものとは違ったという経験もあるでしょう。しかし中高年になると、行動量が少なくても、ほしいときにほしいものを提供し、望んでいる共感を示す人が望まれるのです。
一緒にいる時間の長さによって、相手の行動を予測できるようになる。それが中年期の夫婦にとって重要になります。逆に言えば、中年期を前にパートナーの好みや要望がわからないようなら、パートナーをしっかり観察をする必要がありそうです。
③財産の共有
恋人でも夫婦関係にもプラスに働く方法を、イギリスの研究者が4万世帯のアンケートから割り出しました。それは家計の共有化でした。関係の満足度が高かったのは、自分たちの賃金をすべて共有化したカップル・夫婦でした。次に賃金の一部を共有化したカップル・夫婦で、全く共有化しなかったカップル・夫婦は関係満足度も低かったのです。
賃金を共有化する行為は、互いの人生に影響を与える経験を共有する可能性が高まり、互いの幸福に貢献していると感じる可能性も高まるそうです。
確かに、二人でお金をどのように使うのかを、しっかりと話し合うことで、より幸福感が高まりそうですね。
夫婦間のコミュニケーションを改善したい方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「夫婦のコミュニケーションが関係満足度に及ぼす影響 ―自己開示を中心に―」(伊藤裕子・相良順子・池田政子)/「相互支援が関係満足度ならびに精神的健康に及ぼす影響についての青年期の恋愛関係と中年期の夫婦関係の共通性と差違」(金政祐司)/「Greater Satisfaction in Your Romantic Relationship」(Jake Teeny/Everyday Psych)