お祈りメールのダメージから立ち直る心理学的手法を紹介

就職活動や転職活動で受け取る不合格通知、いわゆる「お祈りメール」には、心が締め付けられたりしますよね。しばらく何でもなかったのに、受け取る数が多くなるにしたがって辛くなることも! そこで「お祈りメール」から立ち直る心理的対処法をまとめました!

  • ダメージが裏にある人類の歴史
  • 心の痛みは本物だった
  • お祈りメールをもらってやってはいけない4つの行動
  • ダメージから立ち直る3つの方法

ダメージが裏にある人類の歴史

文末に「今後のご活躍をお祈り申し上げます。」という表現が使われることが多いため、就職活動や転職活動で受け取る不合格通知は「お祈りメール」と呼ばれています。自分の希望に合った会社に入るのは容易ではないため、多くの人がけっこうな数の「お祈りメール」を受け取ることになるかもしれません。

ただ、受け取ってみると、意外なほどメンタルに影響があったりします。どうしても入社したい企業でもなかったのに、「お祈りメール」を受け取ってから、就職・転職活動を続ける気力がわかなくなったというケースもあるほど。

「どうして、こんなにダメージを受けているんだろう?」と、自らの心理状態に驚いてしまうこともあるでしょう。

じつは、このダメージの正体は「拒絶」です。
獣や魚を捕らえ、木の実や貝などを集める生活を送っていた狩猟採集の時代、同じ部族の仲間から拒絶され、追放されることは死を意味しました。そのため人は拒絶に強い拒否反応を示すのです。

特に会社の面接が進み、仲間として受け入れられる期待が高まってくると、より拒絶へのダメージが強まります。これは初めて会った人達から仲間外れにされるより、これまで楽しく過ごしてきた友人から仲間外れにされる方がツラいのと同じ。
だからこそ就活の記念受験的の結果としての「お祈りメール」は、それほどツラく感じないのです。

また「お祈りメール」が増えていく中で、精神的なダメージが深くなるケースもあります。新しい帰属場所を求めているのに何度も断れている状況は、狩猟採集時代なら本当に危険です。心が強く反応してしまうのも仕方ないでしょう。

心の痛みは本物だった

拒絶を思い出したときに活性化する脳の領域は、肉体的な痛みと同じだったことが、近年の研究でわかっています。つまりお祈りメールをもらい過ぎて「心が痛い」と感じたときは、感情的な「痛み」を引き起こしているのです。
それだけに、「拒絶」はさまざまな心理的な影響を及ぼします。

自らをコントロールすることが難しくなって衝動的な行動を取るようになったり、難しい決断を下す能力が下がってしまうケースも。結果的に難しいタスクをこなせなかったり、先延ばしや自分を痛めつけるような不合理な選択をしてしまう場合もあるようです。

さらに他人への共感が低くなり、協力したいという意識や他人を助けたいという欲求も低くなりがちとのこと。

一方で、お祈りメールで失った帰属意識を取り戻そうと、人との交流に力を入れたり、ペットと遊んだり、人によっては「推し」を見つけて推し活に励みだすといった行動を取る人もいるようです。

拒絶の影響の出方はさまざまなのですが、マイナスの影響が出ていないかは注意したですよね。

お祈りメールをもらってやってはいけない4つの行動

さて、お祈りメールの心理的なダメージを受けたときに、避けた方がいい行動を説明していきましょう。

①ムチャな行動
お酒を大量に飲んだり、バカ騒ぎをしたり、性的な関係に溺れたりといった、翌日、我にかえって頭を抱えるような行動は避けるようにしましょう。企業から断られて低くなった自尊心を、さらに下げてしまう可能性があります。

②現実逃避
面白くもないゲームをずっとやっていたり、ネットの動画を見続けたりという行動も、長時間続くようなら要注意です。というのも、こうした現実逃避の行動は、現実に立ち向かうハードルを高めてしまう可能性があるからです。ネット動画を見ているうちに、他社へのエントリーができなくなってしまったというケースも考えられます。当たり前にできていた就職活動の小さなステップが、「面倒で大変だ」と感じる前に現実逃避を止めましょう。

③難しい作業・仕事
自分の知能を最大限使うと思うような作業や仕事は、しっかりと頭が回り始めてから取り掛かった方がいいでしょう。お祈りメールで心が沈み込んでしまったと感じているときは、「頭もしっかり回っていないかも」と疑ってみることも必要かもしれません。

④自己批判
自分の性格や能力の何が足りなかったのかという視点で、自分を傷つけるような反省をしてはいけません。もちろん面接での対応など、将来への改善点を探すのはプラスになります。しかし自身の欠陥を探すような行動は、自尊心をより損なう結果になってしまいがちです。

そもそも拒絶された原因のほとんどは、環境や状況によるものと言われています。
就職でいえば、欲しい人材の適性に合っていなかっただけなのです。営業力のある人が欲しい会社にとって、粘り強くミスを見つけるような人材は必要なかった。そうしたミスマッチの結果が、「お祈りメール」なのです。

自分が見つけた欠陥を修正できたとしても、そのときの採用方針が変わらない限り、就職や転職が成功するわけではありません。

ダメージから立ち直る3つの方法

お祈りメールの悩ましいところは、そのダメージからの素早い回復が必要な点でしょう。落ちた会社を引きずらないようにしてチャレンジを続けないと、就職活動が終わらないのですから。

そこでお祈りメールから立ち直る3つの方法を紹介しましょう。

①帰属意識を取り戻す
お祈りメールでダメージを受けたものの一つが帰属意識です。新たな集団に帰属できないと断れたことに、私たちの心は深く傷ついたのです。ただ幸いなことに、私たちは狩猟採集時代より多くの組織に属しています。家族、仕事仲間、学生時代の仲間、推し活の仲間、SNSのメンバー、趣味の友達などなど。こうした仲間と会ったりすることで、自分に帰属する場があることを思い出しましょう。

一つの会社への入社を断られても、自分には別の生活基盤がある。そんな意識が、気持ちを立て直す力になります。

②自尊心を取り戻す
自分がいろんなところで評価されている人間であることを、次の手順に沿って思い出してみましょう。

  1. 自分にとって重要な資質を5つ書き出す
    「まじめ」「優しい」「コミュニケーションが得意」「料理がうまい」など、なんでも構いません。自分の人生を形成しているプラスの資質を5つ書き出します。
  2. 5つの資質から1つを選び、それが他人にとって重要な理由を書く
    例えば「コミュニケーションが得意」を選んだなら、「難しいお客様への対応ができるので、他の人がストレスを感じなくて済む」「気分が落ち込んでいる人がいても、20分程度で復活させることができる」といったことを書いてみましょう。
  3. 選んだ資質をどう使うのかを書く
    例えば「〇〇さんが来店したときは、すぐに呼ばれ、機嫌が悪くならないように対応する。必ずしも十分に説明されていない状況から、相手が何を欲し、どこまでこちらが提供できるのかを話し合うことができる」といった、ちょっと具体的なエピソードを書いてみましょう。

思い返してみれば、自分だってけっこう社会で役立っているものです。会社と家の往復だったとしても、職場や家族、仲間からは頼りにされていることもあるでしょう。
そこに自信を持っていいんです!

思い返してみれば、自分だってけっこう社会で役立っているものです。会社と家の往復だったとしても、職場や家族、仲間からは頼りにされていることもあるでしょう。
そこに自信を持っていいんです!

③「拒絶」を受け入れる
会社から拒絶されたことを受け入れましょう。

まず、不合格も経験と考えましょう。失敗した自分も受け入れ、「断れても大丈夫」とつぶやいてみてください。そうしたマイナスの感情を受け入れることで、ショックは収まっていきます。合格できなかったことも、それで気持ちが盛り下がったことも受け入れて、そのままの自分でいいんだと自らに言い聞かせてみましょう。

ポイントは親友が自分を慰めるように、自分の気持ちを扱うことです。

今日はお祈りメールで、どんな心理状態になり、どうやって対処するのかをまとめました。ダメージから復活するための参考にしてくださいね。

もっと元気になるための心の仕組みについて興味ある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:Why rejection hurts so much — and what to do about it(Guy Winch/TED)/「Rejection」(Psychology)/「Rejection: What Is It & How to Deal With It」(Tchiki Davis, MA, PhD/The Berkeley Well-Being Institute)

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