【成長できない人の「心のブレーキ」】固定的知能観から脱却して、拡張的知能観を持とう

ぐんぐん成長していく同僚をまぶしい気持ちで見つめながら、諦めの気持ちを抱えていませんか。固定的知能観から脱却すれば、成長できない原因になっている『ココロのブレーキ』を外すことができますよ。

  1. キャロル・ドゥエックの知能観
  2. 固定的知能観の持ち主は自分の成長が怖い!?
  3. ポジティブな人も部分的に固定的知能観に陥っている可能性がある
  4. 能力は、絶対に伸ばせる!拡張的知能観を手に入れるためのヒント
  5. 心のブレーキは、自分で外そう

キャロル・ドゥエックの知能観

固定的知能観、拡張的知能観とは、スタンフォード大学のキャロル・ドゥエック教授が提唱している考え方です。簡単にいえば、固定的知能観を持っている人は「私の能力なんかたかが知れている」と考え、拡張的知能観を持っている人は「やればできる」と考えます。どちらの考え方がよりポジティブで成長できるか、お分かりですよね。

・固定的知能観とは、人の知能は持って生まれたもの以上に発展しないという考え方

固定的知能観とは、人の知能はあらかじめ与えられたものであり、それ以上に高まることはないという考え方を指します。「実体的知能観」ともいわれ、この知能観を持つ人は自身の失敗を能力不足のせいにする傾向があります。

「自分の能力不足で……」という発言は慎ましやかに見えますが、ようは自分の力ではどうにもならないと、投げているのと一緒です。責任をなげうってしまったら最後、その人はそれ以上成長できません。自分が成長できない理由を、自分で作ってしまっているのです。

・拡張的知能観とは、能力は経験や努力によって高められるという考え方

拡張的知能観とは、自分の能力は有限ではなく、経験や努力によって磨かれるという考え方を指します。「増大的知能観」ともいわれ、失敗したときに「努力が足りなかった」など、自分の行動に問題があったと考える傾向があります。

行動に問題があるなら、次は行動を改めればいいだけ。拡張的知能観を持った人は、失敗を自分の成長の糧にできます。

固定的知能観の持ち主は自分の成長が怖い!?

コロンビア大学の社会心理学者、ハルバーソン氏は著書『やりぬく人の9つの習慣』の中で、固定的知能観の持ち主は「自分の成長に不安を覚える」のだといいます。できないと思い込んでいたことに取り組み、成功してしまうと、自分が成長できると証明することになってしまいます。すると固定的知能観の持ち主は困るのです。「持って生まれた能力は固定されている」というのが、彼の持論なのですから。

こうして固定的知能観を持った人は、成長しようとするときに、ほかならぬ自分自身が足を引っ張ることになります。自分のせいで成長できないなんて、なんだか納得いきませんよね。

ポジティブな人も部分的に固定的知能観に陥っている可能性がある

固定的知能観や拡張的知能観は、暗黙的知能観と言われ、私たちが気付かないうちに持っている知能観であるとされています。それでは、固定的知能観を持つ人は総じてネガティブであり、拡張的知能観を持つ人は、みんなポジティブでなんにでもチャレンジするのでしょうか。

実は、拡張的知能観を持っている人も、部分的に固定的知能観を持っている場合があります。当たり前の話です。「私は英語が得意だけれど、体育はどうも苦手」「絵を描くのはうまいけど、俺はどうやら音痴らしい」など、みんな自分の能力を決めつける傾向があるはずです。

つまり、知能観は人によっても、分野によっても違い、個人の固定された性格ではないということです。それなら、部分的にでも、自分の手で考え方を変えることもできるのではないでしょうか。

能力は、絶対に伸ばせる!拡張的知能観を手に入れるためのヒント

固定的知能観に陥っていると思ったら、自分の考え方を少しずつ変えていきましょう。拡張的知能観に切り替えるためのヒントをお伝えします。

・他者からの評価を過度に気にしない

「どうせ失敗するかも」と、チャレンジをあきらめてしまっていませんか。失敗が怖いのは、他者からの評価が下がるのが嫌だからでしょうか。課題に向き合うのは自分です。仕事であれば、言い訳ばかりでチャレンジする姿勢が見られなければ、かえって評価は下がってしまうでしょう。あなたが失敗しても、上司はそんなの想定内。評価を過度に気にせず、自分の成長のためにチャレンジしてみませんか。

・二度目、三度目の正直を信じて実行する

一度失敗したら、「能力不足」と思い、取り組みをやめてしまっていませんか。自分の成長を信じるなら、2回、3回と挑んでみることも大切です。たとえまた失敗したとしても、1回目よりも「うまくやれる」自分を体感することができれば、自信がついてきます。

・他者からの批判を素直に受け止める

自分の失敗を能力不足と決めつけていると、上司や同僚からの指摘を素直に受け止めづらくなります。でも、彼らは「ここをもっと改善すれば、きっと成功する」というアドバイスをあなたに送ってくれているはず。素直に受け止め、アドバイス通り再挑戦する意欲を見せましょう。

心のブレーキは、自分で外そう

「決して諦めない」と自分に宣言するだけでも、拡張的知能観を手に入れるには有効です。諦めないからといって、すぐ成功する必要はありません。諦めないだけでいいんです。まずは結果にこだわらず、チャレンジの過程を楽しめる自分になるだけでも、拡張的知能観に一歩近づきます。心にゆとりを持ち、失敗する自分を許しましょう。おおらかな気持ちで、心のブレーキを外せるといいですね。

参考:『やり抜く人の9つの習慣』ハイディ・グラント・ハルバーソン、飛鳥新社

「暗黙の」知能観と社会的望ましさの関連

暗黙の知能観に関する認知的研究

大学新入生の能力観と目標志向性・大学観

関連記事

ビジネスを成功に導くマインドセット5つのステップ... 「マインドセット」という言葉をご存知でしょうか? ビジネスの成功に欠かせないとして、さまざまな書籍でも取り上げられています。マインドセットの説明とともに、成功に導くマインドセットへのシフトの仕方についても説明しましょう。 2つのマインドセットとは失敗も成功の過程でしかないマインドセッ...
タフアサインメントで自力能力開発にチャレンジ!能力は自分で、今の仕事で伸ばそう... 「このままではいけない、もっと成長せねば」と考えている人にとって、一番手っ取り早いのは、今の仕事の中で成長することです。タフアサインメントの意味と、自己成長の促し方について解説します。 タフアサインメントとは、あえてハードルの高い仕事に挑んで実力と自信をつけること リーダーシップ...
失敗を成功に変える7つのメソッド 100%失敗を防ぐことはできません。さまざまな挫折を通して成長するのは、当たり前のことでしょう。ただ挫折感や喪失感が、前に進む力を奪ってしまうことも事実。そこで失敗を成功に変えるメソッドについてまとめました。 失敗や挫折はチャンスに化けるかも! 失敗を当たり前のことだと理解す...
どうにも仕事が手につかないときに試したい心理手法5選... やる気が出ないときの対処方法として、有名なものに「作業興奮」の活用があります。「作業を始めることでやる気が高まるので、とにかく手を付ける」といった方法です。しかし、そんな最初の行動も起こせないときに試したいテクニックを紹介しましょう。 最初の一歩が踏み出せない人に 自分の気持...
モチベーションがダダ下がりのときに試したいテクニック7選... どうしてもモチベーションが上がらないときは、誰にでもありますよね。ただ、モチベーションが最低の状態でも、仕事などをこなす必要はあるものです。そこでモベーションを引き上げるテクニックを紹介していきましょう。 しっかり休む時間の取れないときに 入浴する 散歩をする 電...

働く人の心ラボは、働く人なら知っておきたい『心の仕組み』を解説するサイト。
すぐに応用できる心理学の知識が満載の記事を配信しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です