最近、むなしいと感じたことはありますか?理由があってむなしいと感じるときもあれば、特に原因もなくむなしさを感じてしまうこともあるでしょう。そんな「むなしさ」の正体と対処法を「対人関係療法」の第一人者である水島広子医師の書籍から紹介していきましょう。
- 「むなしさ」が社会を覆うようになった
- むなしさと深い関係がある無力感
- 相手に「報酬」を求めない
「むなしさ」が社会を覆うようになった
衆議院議員の経験もあり、医師としても活躍している水島氏の本の特徴は、とにかく読みやすいことでしょう。しっかりとした専門知識に裏付けられた話なのに、難しいとは感じません。
『「むなしさ」を感じたときに読む本』(KADOKAWA)も、具体例や対処方法とともにわかりやすく「むなしさ」を解説しています。
水島氏は、本書の冒頭で次のように書いています。
むなしい。
どうせ、意味がない。
こんな空気が、いつ頃からか社会を覆うようになったと感じているのは私だけでしょうか。
たしかに伝染病やさまざまな災害、経済の低迷など、むなしさを募らせる要素が世にあふれています。
30~45歳の有職の既婚女性を対象としたDomani編集部のアンケート調査でも、「日常生活で虚無感に襲われることはありますか?」という質問に、全体の30%が「はい」と答えています。3人に1人はむなしさを感じているわけですから、けっして小さな数字ではないでしょう。
多くの人が吹き飛ばしたいと考えるむなしい気持ちですが、水島氏は次のような見方を示します。
むなしさは「生き方を変えたほうがよい」というサインであり、今の生き方では生命力がどんどん落ちてしまう、ということを知らせてくれているのです。
つまりむなしさから目をそらすだけではなく、自分を見直す機会でもあるというわけです。さらに「むなしさ」を手放す力は「自分の中」にあるとも説明しています。
むなしさと深い関係がある無力感
この本では、どんなときにむなしさを感じるのかで、7つに章分けをしています。
例えば、第1章の「むなしさ」は、「やっても仕方がない」と感じるときのものです。
この章ではむなしさと無力感に密接なかかわりがあることを説明し、これからは人生をコントロールできるといった感覚を持てれば、むなしさから開放されると説明しています。
だからこそ、まず自身の忍耐力をほめ、「今のやり方では、これからもむなしさが続く」と考える必要があると説きます。
相手に「報酬」を求めない
さらにむなしさを埋めてくれる人を求めるのではなく、自分から他人に与えるという行動を起こすよう推奨しています。このとき大事なのは、相手に「報酬」を求めないことだそうです。
誰から何も得られなくても、「自分はこれでよいのだ」「これが自分の生き方なのだ」と肯定できると、「むなしさ」は無縁の感情になっていくでしょう。
とも書いています。
また人とのつながりで感じるむなしさについては、
「何を受け取れるか」から「何を与えられるか」への転換
が重要だと説き、
誰も(自分に)関心を持ってくれないのであれば、他人に関心を持つことなのです。
とも書かれていました。
本書はむなしさが生み出す思考パターンなども紹介し、具体的にどうすればいいのかが書かれています。むなしさからただ目をそらすだけではなく、そこからよりよい生き方を目指すにはどうしたらいいのかという視点は、とても役立ちそうです。
さらに心理学を学びたい方は、こちらもご覧ください。
参考:『「むなしさ」を感じたときに読む本』(水島広子/KADOKAWA)