「コロナ太り」という言葉が話題に上がるようになってから数ヵ月がたちました。なかなか減らない体重にゲンナリしたり、ダイエットに疲れてしまった人もいることでしょう。そんな人にお勧めしたいのが、身体をいたわるセルフ・コンパッションです。
- 秋はリバウンドが加速する
- 食への罪悪感を駆り立てるダイエット
- リバウンドを抑える簡単エクササイズ
秋はリバウンドが加速する
マーケティングリサーチ会社 株式会社アスマークが、2020年8月に実施したアンケ―ト調査によれば、新型コロナウイルスの影響により1キロ以上「コロナ太り」した人は約4割。
また江崎グリコによるアンケート調査でも、「秋にリバウンドを経験したことがありますか?」という質問に、67%の人が「ある」と回答しています。しかも「最も食べ物の誘惑に負けそうな季節は?」という質問にも、54%の人が「秋」と回答しているのです。
つまり「コロナ太り」に気付いてダイエットを始めた人にとって、ここ数ヶ月は体重を維持する正念場なのです。
しかもリバウンドは、「どうにでもなれ効果」と呼ばれる心理状態に陥ってしまう可能性が高いのです。これは最初に立てた目標に反するような行動を取ってしまうと、一気にやる気を失ってしまうというもの。
運動を休んだり、食事を制限するのを1日サボったからといって、これまでの努力がムダになるわけではありません。しかし「どうにでもなれ効果」が働くと、もう体重計を見るのもイヤになり、一切の節制を止めて食べまくってしまったりするのです。
結果、ダイエット前よりも体重が増えてしまうことも……。
食への罪悪感を駆り立てるダイエット
そんなうつうつとした気持ちを解消するのに活用したいのが、セルフ・コンパッションです。
セルフ・コンパッションとは、自分自身に思いやりの心を持って接すること。コンパッションは「慈悲」という意味なので、自分に慈悲を向けるといった意味合いです。自分を律するのが当たり前と思っている人にとって、「セルフ・コンパッション」は受け入れがたいケースが少なくないようです。しかし自分を責めているからこそ思い通りに動けない、そんな心理が研究で明らかになっています。
例えば、女子大生がドーナツを食べる実験では、ダイエットをしていた学生は、ドーナッツを食べた後に罪悪感や恥を覚えたことが明らかになりました。しかも、ドーナッツを食べた後に試食として、好きなだけキャンディを食べていいという環境に置くと、ダイエットしていた学生は、していない学生より多く食べてしまったのです。
これは食べることに負い目を感じているからこそ、ドーナッツを食べてしまったことで自暴自棄となり、食べて満足感を得ようとしてしまうのだそうです。
一方、ドーナッツを食べる実験の前に、ドーナッツを食べても自分に厳しく当たる必要がないと説明され、セルフ・コンパッションが高まるように誘導された実験参加者たちは、キャンディを食べ過ぎることがなかったと報告されています。
つまりセルフ・コンパッションの程度の高い人は、リバウンドに悩む可能性が低くなるのです。
リバウンドを抑える簡単エクササイズ
『セルフ・コンパッション』(クリティーン・ネフ/金剛出版)は、セルフ・コンパッションを実践するエクササイズを大量に掲載している書籍ですが、今回はその中からダイエットに有効なエクササイズを紹介しましょう。
①自分の身体の好きな部分を列挙する
たるんだお腹などに注意が向いているときは忘れがちですが、お気に入りの部位はけっこうあるもの。このとき「健康な胃」などのように、誇れる内臓も忘れずにリストに入れてください。
かわいい、美しい、すごいと思えるところをしっかりと書き出して、自分の身体に満足していることを受け入れましょう。
②自分の身体で不満に思っているところを列挙する
ここで重要なのは、思いついた欠点を公平に評価しているのか考えることです。白髪が増えていることや、余計なお肉が3~4キロ付いていることは、自分の満足感や健康にマイナスなのでしょうか?
欠点に目をつぶるのも問題ですが、誇張するのもよくありません。欠点について考えながらリスト化してみてください。
③自分の不完全に慈悲の心を向ける
自分の身体の不満と向かい合うときに、自分に理解や優しさを向けましょう。
どうすればいいかわからない人は、自分を無条件に愛し、受け入れてくれる架空の友人が、あなたの欠点について、どう言うのかを想像してください。優しさや思いやり、健康や幸福への願いを意識して、自分への言葉を考えてみましょう。
④自信を持つために実践したいことを考える
自分を思いやっているからこそ変えたいと思えることと、その改善方法を探してみましょう。自分への思いやりの心を持てば、ダイエットの目標も方法も以前と違ってくるはずです。
自分への慈悲の心を欠いた行動は、どこかで歪みが生じがちです。ダイエットも自分をいたわりながら実行すれば、リバウンドの可能性が減ります。魅惑的な食べ物が増えるシーズンだからこそ、試したいエクササイズですね。
心理学を活用して自分をコントロールしたい人は、こちらの記事もご覧ください。
参考:『セルフ・コンパッション』(クリティーン・ネフ/金剛出版)