Web会議をすると何だか疲れると感じている人はいませんか?その疲れにはきちんとした理由がありました。スタンフォード大学教授が説くWeb会議疲れの原因と、その対策についてお伝えします。
- 表情が気になる人ほど疲れやすい
- Web会議がつくりだす疲労要因
- Web会議疲れ3つの対策
表情が気になる人ほど疲れやすい
市場調査会社である株式会社イードが実施したアンケート調査によれば、対面と比べたWeb会議の疲れ具合は、以下の通りです。
・対面より疲れる 14.7%
・対面よりやや疲れる 31.9%
・あまり変わらない 35.7%
・対面よりあまあり疲れない 14.4%
・対面より疲れない 3.4%
最も多いのは「あまり変わらない」ですが、「対面より疲れる」と「対面よりやや疲れる」を足した数値は46.6%。半数近い人が対面の会議よりWeb会議の方が疲れると感じているのです。
では、どうしてこのように感じるのでしょうか?
この調査では、Web会議で困ることについてもアンケート調査し、「対面より疲れる」を選んだ人と、「対面より疲れない」を選んだ人を比べました。すると以下の項目で差が激しいことがわかったのです。
・相手の表情が読み取りづらい
・話を聞くのに集中力がいる
・相手の話している内容が分かりづらい
つまりWeb会議で疲れてしまう人は、表情を読み取ろうと集中し、それでも話の内容がわかりにくい状態だと推測できます。この調査結果について、イードは
「普段対面で相手の表情やしぐさなど、ノンバーバル(非言語)なメッセ―ジにも気を配っている人ほど、勝手が違うWeb会議で疲れを感じている」と解釈することもできそうです。
とまとめています。
Web会議がつくりだす疲労要因
Web会議の疲れについて、上記のアンケート調査の分析と同じような方向を示しているのが、ジェレミー・ベイレンソン スタンフォード大学教授です。
①近距離での長時間の視線
②非言語コミュニケーションの負担増
③鏡を見続けることのマイナス
①の「近距離での長時間の視線」は、エレベーターで起こる現象で説明できると、ジェレミー教授は書いています。
多くの人はエレベーターに乗ると、視線を下に落とすでしょう。これは近距離で視線を合わせないようにする意識が働いての行動だそうです。Web会議では近距離で撮影された顔が画面に並びます。Webなので意識していない人が大半だと思いますが、画面に並ぶ人たちの視線が強いと感じている可能性があるというのです。
②の「非言語コミュニケーションの負担増」とは、先程のアンケート調査と被る内容です。Web会議では表情やしぐさなど「ノンバーバルコミュニケーション」(非言語の意志疎通)の情報が読み取りにくいため、対人の会議以上に画面に集中します。
これは情報の発信者となったときも同じです。
Web会議では相手に聞いていることを伝えるために、大きく何度もうなずくことを推奨します。
上記のように減ってしまった非言語情報を補うための行動が人を疲れさせるのではと、ジェレミー教授は分析しているのです。
逆にWeb会議でも「相手の情報が読み取りづらい」と思わないタイプの人。つまり非言語の情報に重きを置いていない人は、Web会議で疲れを感じにくいと推測できます。
③についていえば、ダンサーでもない限り自分の姿を鏡に映し続けることはありません。しかしWeb会議では、自分の顔も他の参加者と同様に見続けることになります。それがストレスの増加につながっている可能性があるそうです。
Web会議疲れ3つの対策
このように疲れの要因を一つひとつ分析すると、私たちは過去に例を見ない形で仕事をしていることがわかるでしょう。
では、Web会議がもたらす疲労への対策は、どのようなものでしょうか?
ジェレミー教授は3つの対策法をあげています。
①Web会議のウィンドウサイズを小さくする
②可能な限りビデオをオフにする
③セルフビューを非表示にする
映像からの情報を少なくし、電話と同じように音声情報に頼るようにすれば、非言語情報を読み取ろうともしなくなるでしょうし、自分の姿を見続けなくても済みます。
相手の顔色や感情に敏感な人は、Web会議で対面と同様の情報を求めてしまうために、会議のたびに疲弊してしまうかもしれません。「何だか疲れたな―」と感じたら、①や③を実践してはどうでしょうか?
心理学を活用して日々の生活を快適にしたいと思う方は、こちらもご覧ください。
参考:「Nonverbal Overload: A Theoretical Argument for the Causes of Zoom Fatigue」(y Jeremy N. Bailenson)/「Web会議の疲れを減らすヒント」(イード)