決断に迷ったら「理屈」と「直感」のどちらを優先する?

重要な決断をくだすとき、理屈と直感どちらを信じますか?理屈派も直観派も自分なりの成功体験があると思いますが、じつは結構危険な橋を渡っているのかも!?理屈と直感どちらを信じるべきなのか、理屈と直感に適したシチュエーションを調べました。

  • 直観の的中率は90%!?
  • 直観を信じる3つの条件
  • 直観が抱える2つの弱点

直観の的中率は90%!?

人が1日にどれぐらいの決断をくだしているか知っていますか?ケンブリッジ大学のバーバラ・サハキアン教授によれば、1日に3万5000回も決断しているそうです。

3万5000回ともなれば数秒に1回は決断していることになるので、にわかには信じがたい数字です。しかし言葉や洋服の選択など無意識に決めることは山ほどあり、さらに仕事ともなると大量の選択と決断が迫られるのです。近年、こうした「決断疲れ」への対処法が、真剣に検討されるようになってきています。

では、重大な選択をするとき、あなたは理屈と直感どちらを信じますか?

これは難しい問題です。イスラエルの大学の研究によれば、直観の的中率が90%に及ぶという実験結果もあり、直観だから間違った選択だというわけではありません。

じつは近年、理屈と直感はシチュエーションによって使い分けが必要なことが、研究によって明らかになってきています。

直観を信じる3つの条件

ロンドンスクールオブエコノミクスのコンソン・ロック教授は、理屈より直観を優先すべき条件として、次の3つをあげています。

①専門的知識を持っている
②理詰めでは判断が難しい
③時間がない

順に説明していきましょう。
① の「専門的知識を持っている」とは、直観でも判断できる材料を持っているといった意味合いです。
そもそも「直観」とは、過去の経験や知識が判断材料となった決断方法とも言われています。過去に失敗やトラブルに発展したケース、逆に成功したケースの類似性から状況を判断し、決断をくだしているというわけです。

例えば、この新規取引先は怪しいかもという直観の裏には、扱う商品やその値段、それまでの交渉の経緯などを過去の経験と突き合わせているのです。
管理している機械がおかしいと感じるのは、いつもと違った音がするとか、通常よりややスピードが遅いといったシグナルを探知しているというわけです。

逆に全く専門知識がないのに直観を信じるのはやめた方がいいでしょう。株式投資のイロハも知らず、直観だけで投資する。登山経験がないのに直観でルートを決める。そうした行為が無謀なことは、誰でもわかるでしょう。

逆に言えば、直観の精度を高めたいなら、自分の専門性を磨く必要があります。

②の「理詰めでは判断が難しい」とは、決断を下す客観的な基準がほとんどなく、明確な決定のルールがないケースです。
どちらのデザインが優れているのか、どの人を採用するのか、といったケースはその典型でしょう。

逆に言えば、理詰めで正解が導き出せるなら、理屈で判断すべきです。
ただし世の中の決断は、理詰めだけでは正解を導けないことがたくさんあります。例えば、新商品の販売価格や製造個数の決定は、原価の積み上げや過去の販売実績などから見積もることができます。しかし新商品が人々からどのように評価されるのかといった予測は、理屈だけでは判断できません。

結局、多くの決断は直観も働かせざるを得ないのでしょう。

③の「時間がない」も直観に頼るべき重要な条件の一つです。
一つひとつ理屈を積み上げていたのでは間に合わないときは、グズグズと決断を先延ばしにするより、直観に頼る方がいいのかもしれません。実際、緊急事態のときは、カンを働かせて行動するしかありません。

直観が抱える2つの弱点

じつは直観には、いつくかの弱点があります。

一つは感情に左右されやすいこと。緊張や不安が、直観を捻じ曲げてしまうことは少ないそうです。例えば、新規の仕事に挑戦するか否かといった決断を、新しい環境に不安を感じるタイプの人に直観で選ばせると、挑戦しない決断を下してしまいがちなのです。

このほかにも直観の決断は失敗から学ばないといった傾向があります。

ある心理実験では、2台カメラのうち1つを購入するのに、片方のグループには比較検討して選ぶように伝え、もう片方のグループには直観で選ぶように伝えました。

その後、実験参加者全員に選んだカメラの性能が、選択しなかったカメラより劣るという消費者情報を渡します。すると直観で選んだグループは、理屈で選んだグループより後悔が少なく、自信を失うことも少なかったというのです。つまり直観での選択で失敗しても、その失敗から学ぶ可能性が低いのです。

考えてみれば、根拠のない決断は再検証しにくいでしょう。だからこそ直観で決断した場合は、きちんと反省するよう心がけておく必要がありそうです。

本日は理屈と直感の選択について紹介しました。通常、理屈と直感の両方を組み合わせて判断することが多いので、その長所と短所を理解して使い分けることが、的確な判断への近道といえそうです。

心理学を活用してより的確な判断を下したい人は、こちらもご覧ください。

参考:「When It’s Safe to Rely on Intuition (and When It’s Not)」( Connson Chou Locke Ph.D. /Harvard Business Review)/「The Ultimate Choice」(Jake Teeny/Everyday Psych)/「35,000 Decisions: The Great Choices of Strategic Leaders」(Dr. Joel Hoomans/Roberts Wesleyan College)

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