日々、何だか退屈だと感じてしまうこともあるでしょう。仕事がつまらないと感じることもあれば、パートナーの話が退屈だと思うことも……。そんなとき必要なのは、その原因についてしっかりと考えることかもしれません。
- 要注意なのは慢性的な退屈
- 退屈を紛らわさない!
- 退屈を克服する3つの行動
要注意なのは慢性的な退屈
退屈を感じることはよくあることですが、それがどんな特徴をもっているのかを知っている人は少ないでしょう。近年、退屈の研究も進んできていますので、その特徴を紹介していきましょう。
①覚醒度が低い
ややボーっとしている状態です。面白くなくても、体をめちゃくちゃに動かしているといった状態では退屈にはなりません。逆にボーっとし過ぎていると、退屈を感じることができなくなります。
②空想に耽りがち
退屈だと空想にふける可能性が高くなります。そして空想が心を占有するようになる従って、退屈さが増していくとこともわかっています。
③退屈の対象を嫌いになる
退屈を感じたとき、人はその対象を嫌いになります。これは退屈な講義などを思い出せばいいでしょう。退屈だと感じてしまうと、講義が嫌いになり、時にはその学問領域までイヤになってしまいます。
このような退屈を短期的に感じることはよくあることですし、避けられないことも少なくありません。しかし慢性的に退屈を感じているなら、その気持ちに向き合うことが必要になってきます。
退屈を紛らわさない!
退屈に我慢できなくなると、多くの人は気晴らしをするようになります。スマホなどは、その典型でしょう。日本における研究でも退屈とスマホの使用に関係性のあることが明らかになっていますが、一方で退屈しのぎのスマホは依存になる可能性が指摘されています。
慢性的な退屈を感じたときは、退屈からの逃避に時間を使うのではなく、しっかりと退屈に向き合う必要があると専門家は指摘しています。というのも退屈は、やりたいことをしていないというシグナルだからです。自分の期待や要求が叶えられないとわかっているのに、その気持ちを紛らわすためにスマホをいじり続けるだけでは、問題解決にはならないでしょう。
退屈を紛らわすための行動は、本当に自分がしたいことではないケースが多いようです。ネット上にある怪しげな情報と、書籍を買って仕入れた情報、どちらが自分にとって価値があるかは明らかなのに、退屈を紛らわすときにはネットの情報の方を選んでしまう。気が紛れるけれど、さして面白くもないもの。そうしたものを選んでしまいがちなのが、退屈からの逃避です。
退屈を克服する3つの行動
では、慢性的に「退屈だ」と感じている場合、どうやって退屈を克服すればいいのでしょうか?
英国にあるダービー大学のウィリアム・ヴァン・ゴードン准教授のアドバイスをいくつか紹介しましょう。
① 原因を探る
どうして退屈しているのかを考えてみましょう。そのとき重要なのは、環境だけではなく、心理的要因も考えること。例えば仕事が退屈だと感じていた場合、仕事内容や努力が評価されない職場環境といった外部の要因に気づくかもしれません。
しかし、そこで分析をやめるのではなく、自分がどうして退屈だと思っているのかも考えてみてください。結果、将来展望が暗い、職場の仲間と交流できなくて寂しいといった側面が見つかるかもしれません。
環境と心理、両方の原因を突き止めることが、退屈を脱する最初の一歩になります。
②対策を立てて実行する
どうしたら退屈を克服できるのか、環境と心理の内面から対策を立てていきます。じつは退屈に対処しようとすると、環境面でのライフスタイルの変更に結びつくことが少なくありません。転職や子どもを持つことを決意するといったこともあるようです。
だからこそ、ライフスタイルの変更が内面にどのような変化を引き起こすのかにも気を使いましょう。他人から褒められるようなライフスタイルの変更を計画しても、自分の心がついてこなければ退屈から脱することはできないからです。
退屈への対処は、本当に自分がやりたいことへと向かうための変化なので、自分の気持ちを大切にしましょう。
③冒険をする
退屈に対処しようとして手に入れた新しい環境やそれにともなう新たな課題は、気持ちをポジティブにするだけではなく、人生の幸福感を高める可能性があります。新たな一歩を出したとき、無我夢中だった経験を思い出してみてください。
思い切って行動してみるというのも、退屈が発するシグナルへの対処の一つです。
そして冒険のタイミングは直観に従うよう、ウィリアム・ヴァン・ゴードン准教授は指摘しています。
もし人が退屈を感じなければ、ここまで人類が進歩することもなかったでしょう。新しい一歩を踏み出す動機となるのが退屈だからです。そうした大切なシグナルを、紛らわさないようにするのも人生にとっては大切なのかもしれません。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「5 Strategies for Overcoming Chronic Boredom」(William Van Gordon, Ph.D./Psychology Today)/「5 Benefits of Boredom」(Shahram Heshmat, Ph.D./Psychology Today)/「大学生・大学院生のスマートフォン依存傾向における退屈感と対人関係の関連」(厚見由佳・安藤美華代/岡山大学教師教育開発センター紀要 第9号 別冊)