性格が豹変してしまう人がいますよね。「それが本性なのかな?」と思うことも少なくないでしょう。確かに豹変すると、相手のことが信じられなくなりますよね。そこで運転やお酒など、人を豹変させる原因についてまとめてみました。
- お酒の豹変は本性?
- 運転の豹変は危険⁉︎
お酒の豹変は本性?
人の豹変を目の当たりにするケースで最も一般的なのは、お酒の場でしょう。「普段はいい人なのにお酒を飲むとね……」と言われる人が、身近にいる場合もあるでしょう。
そもそもお酒を飲むと豹変してしまうのは、なぜなのでしょうか?
アルコールは脳を麻痺させます。最初に麻痺するのは脳の表面にある大脳新皮質と呼ばれる部分で、理性による抑制から解放されます。ここからさらに進むと、麻痺が大脳辺縁系や小脳に呼ばれる部分に及び、呂律が回らなくなったり、足がふらついたりするようになります。
これより深酒になると完全に酔い潰れてしまうので「豹変」が問題になるのは、大脳新皮質が麻痺した状態でしょう。欲望や感情を抑制する部位が働かなくなるため、本来持っている性格が顔を出していると考えてもいいでしょう。
ただ、悪酔いは性格だけではなく、環境に大きな影響を受けるといもいわれています。例えばストレスの高い環境にいると、どうしてもお酒で荒れてしまうようです。その意味では、お酒で乱れたのが、すべて「本性」だとはいえないかもしれません。
ただ無関係とも言えないのが難しいところでしょう。
運転の豹変は危険⁉︎
車を運転すると性格が豹変するといったタイプの人もいます。ハンドルを握ると乱暴な運転で、我が物顔で運転し、邪魔な車を見ると攻撃的になるなどなど。
このような精神状態になるのは、車がプライベートな個室といった性格をもっているからだと、目白大学の渋谷昌三教授は説明しています。
「緊張状態から解放された無防備な状態」(『決定版 面白いほどよくわかる! 他人の心理学』(渋谷昌三/西東社)のために、本性が出やすくなります。しかも車はすごいスピードを自分でコントロールできるため万能感を持ちやすくなってしまいます。結果、「あたかも自分自身が偉くなったかのように錯覚し、暴言を吐く」(『決定版 面白いほどよくわかる! 他人の心理学』(渋谷昌三/西東社)
ようになってしまうようなのです。
運転による「豹変」は、お酒より問題が大きいと思われます。というのもプライベート空間で万能感を持った状態というのは、日常的にもつくられる可能性があるからです。例えば、一緒に住み始めたパートナーはプライベート空間を共有することになりますし、「すべてがうまくいく」と感じるケースも少なくないからです。
自分のパートナーがどんな「本性」を持っているかを知りたいときは、パートナーの運転でドライブに行くのがいいかもしれませんね。
これまでにない一面をみると、ちょっと怖くなりますよね。ただ厳しい環境だからこそ、性格が変わってしまうということもあるようです。どこまで「本性」なのかは、その人の環境も考えて判断する必要がありそうですね。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『決定版 面白いほどよくわかる! 他人の心理学』(渋谷昌三/西東社)