「天才は孤独だ」とは、よく言われます。では、天才までいかないまでも、頭ひとつ抜けた存在は孤独なのでしょうか?周りと自分を比較することで生まれる心理について報告します。
- 自分をどのレベルだと感じると生活を楽しめるの?
- 他人との比較は自己評価を安定させるため
- 嫉妬されないように動く人も
- レベルが合わないと感じたらどうする?
自分をどのレベルだと感じると生活を楽しめるの?
「周りのレベルが低いなー」と感じている人はいませんか?
意識が低い、成果が上がっていない、話題がくだらないなどなど。仕事だから、学校だからといった理由で我慢しているのだとすると、それは不幸な状況です。じつは、そうした環境が個人を精神的に不安定にすることが知られているからです。
心理学者のムーサとローチは、女子高生にアンケート調査を実施しました。
質問は2つ。1つは、「自分の容姿がクラスで上だと思うか、平均だと思うか、下だと思うか」、2つ目は「今のクラスに適応できているかどうか」でした。
結果、自身の容姿を平均または下だと感じていた人は、自分を美人だと思っていた人より「クラスで適応している」つまり、高校生活を楽しんでいることがわかったのです。
他人との比較は自己評価を安定させるため
心理学者のフェスティンガーは、人が自分を他人と比較する理由について、自己評価を明確にして安定させるためだと指摘しています。そのため多くの人は自分と同じような立場の人と比較し、精神的な安定を得ていると解説しています。実際、サラリーマンは同期の仲間と、主婦はご近所のママ友達といった背景や経済状況が近しい人と自分を比較し、「みんな同じようなものだ」と安心している状況は、多くの人が頭に思い浮かべるものでしょう。
しかも得られるのは、精神的安定だけではありません。同じような境遇の仲間からはさまざまなサポートを得やすいという調査結果もあります。例えば仕事に行き詰ったときのヒントやトラブルの対処の仕方など、同様の境遇だからこそ互いにサポートし合えるというわけです。
嫉妬されないように動く人も
近年、日本でも自身の能力をアピールする人が増えているように感じますが、もともと成績や地位、能力といったものを、周りに低くアピールする「成功回避動機」を持つ人が欧米に比べて多いようです。
この心理は他人からの嫉妬や足の引っ張り合いに巻き込まれるのを防止する効果があります。実際、「成功回避動機」を持つ人は、集団生活をよりスムーズに送ることできるという実験結果もあります。
レベルが合わないと感じたらどうする?
実際に自分が集団の中で抜きん出た存在であるのかどうかに関係なく、自分が能力を上回っていると感じてしまうと、同じような集団に属することで生まれる安心感や仲間のサポートも受けにくくなってしまいます。
しかも実際に周りから見て抜きん出た存在の場合は、無駄な嫉妬に巻き込まれてしまうこともあります。
集団の「レベル」にどうしても馴染めないと感じる場合は、自分と合う「レベル」の集団にステップアップしていく必要があるのかもしれません。一方、実力自体が自身の思い込みだった場合は、自分の認識を変えた方が少なくとも生活しやすくはなるでしょう。
「こんな会社にいられるか!」「こんな集団に馴染めるか」といった想いは、人を大きく成長させることがあります。ただ、そうした想いが、ときに心理を不安定にしてしまう可能性があることは知っておくべきでしょう。
特に「意識高い系」の人たちお知らせしたい心理学情報でした。