写真のアップに要注意!賠償金支払いや逮捕もあるフォトハラの危険性

みんなで撮った写真、気軽にSNSにアップしたりしていませんか?それは思わぬトラブルを生むかもしれませんよ。近年、話題となっている写真を巡るハラスメント「フォトハラ」の危険性について解説します。

  • 悪気の有無は関係なし
  • フォトハラになるかも!4つのケース
  • 裁判所は情報を公開する方向に
  • 最悪は損害賠償請求や逮捕も

悪気の有無は関係なし

携帯電話が普及するようになってから、写真を撮影する機会は増えています。楽しい思い出だからと、そのままSNSなどにアップしたりしていませんか?それ「フォトハラ」かも!最悪、訴えられる可能性もある行為です。

フォトハラはフォトハラスメントの略。SNS(ツイッター・フェイスブック・インスタグラムなど)に、本人の許可なく写真を公開する迷惑行為です。

「でも、悪気はないし」と思った人に知ってもらいたいのが、ハラスメントの定義です。

「ハラスメントとは、他者に対する発言・行動等が本人の意図には関係なく、相手を不快にさせたり、尊厳を傷つけたり、不利益を与えたり、脅威を与えること」です。

ポイントは「本人の意図には関係なく」というところ。悪気がなくても、相手がイヤだなと感じるようなら、それはハラスメントになる可能性が高くなります。

フォトハラになるかも!4つのケース

では、実際にどんな写真の公開がトラブルに発展しやすいのでしょうか?

① 子ども写真
子どもの安全性を考え、Web上に個人情報を公開しないように気を付けている保護者は少なくありません。子ども同士はもちろん、親と一緒に写った家族写真でさえも、子どもの顔がネットに公開されないようにしている人はいます。一度、Web上にばらまかれた情報を取り消すことは難しいので、神経質になるのも当然でしょう。

写真の場合は位置情報が削除してあっても、背景から場所が特定される可能性もあります。過去の事件では、カーブミラーに映った景色どころか、車のボンネットや窓ガラス、はては瞳に反射した景色から場所を特定したことが明らかになっています。プライバシー保護の観点からは、とても注意が必要なのです。

②集合写真
何名かで撮影した写真をWebに公開したとき、予想外の問題が起きる可能性があります。職場には偽って会合に参加した場合などは、写真の公開によって思わぬ不利益を被る人も出てしまいます。

また、アップされること自体に問題を感じないけれど、自分の写り方がイヤだというケースもあります。集合写真では何枚か撮影することも多く、アップした人の写りの良い写真が、別の人にとってもベストというわけではありません。「削除するように言うほどではないけれどモヤモヤする」といった気持ちを抱かせることで、人間関係にいらぬしこりを残すかもしれません。

さらに写っている人の名前や住所を短時間で調べることができる専用のツールも開発されているため、プライバシーの侵害という意味でも問題が発生する可能性があります。

③背景として写りこんでしまった人
写真は狙った人物だけではなく、「背景」として人が写りこんでしまう可能性があります。公の場での写りこみは、法律上、ある程度許容されている面はありますが、トラブルに発展する可能性もあります。

現在、映像制作会社や雑誌などの撮影を担うプロカメラマンも、人の写り込みにはとても注意を払っています。写りこんでいる人に許可を取ることを義務付けている会社もあるほどです。

また公営ギャンブル場やホテルなど、プライベートが重視される空間での撮影は施設からの許可がおりないケースが増えています。

アップする前に写真を見直して、写り込んでいる人がいないかチェックしましょう。

④タグ付け
フェイスブックやインスタグラムなどのタグ付け機能をつかって写真を公開すると、個人情報とともに写真がバラまかれてしまうことになります。つまりプライバシー観点からは、より慎重な行動を求められるケースです。
安易なタグ付けはしないようにしましょう。

日本法規情報のアンケート調査によれば、無断で写真が投稿されることのリスクについては、46%が「身元が特定されてしまう」を選択し、「写真が悪用されてしまう」が38%を占めました。上記の4つのケースの背景には、身元の特定や写真の悪用といった不安があり、その不安を取り除くことがトラブル防止の大前提となります。

具体的には顔をぼかしたり、マークで隠したりすることでトラブルを避けられる可能性が高まります。ただ、それでも個人が特定される可能性はあるので、写っている人にSNSアップへの許可を取ることは必須でしょう。

裁判所は情報を公開する方向に

「フォトハラ」は上記のように、Webにアップする人に悪意がないケースばかりではありません。嫌がらせやイタズラで写真をアップするケースもあります。

その一つが写真加工です。

顔写真を加工することは、アプリを使えば簡単にできます。老けさせたり、太らせたり、動物の耳を付けたり自由自在。ちょっとしたイタズラのつもりで知り合いの顔を加工し、出来映えに満足したからWeb上に公開。そんな行為はトラブルの元です。当たり前のことですが、バカにされたと相手が感じれば法的処置をとる可能性があるからです。

匿名のツイッターだから大丈夫と思っていたら、それも大間違いです。

近年、ネットの匿名性は大きな社会問題となり、司法でも個人を特定する方向にあります。

ツイッターで他人になりすました人の携帯電話番号を公開する判決や、ネットに公開していた写真を「死亡者」としてSNSで拡散した人物の個人情報の公開を認める判決などが相次いでいます。

ネットの匿名性を利用した「フォトハラ」は、今後、厳しく糾弾される可能性があるでしょう。

最悪は損害賠償請求や逮捕も

最後に法律上の判断について、簡単に説明しておきましょう。

フォトハラは肖像権やプライバシー権の侵害、名誉毀損にあたる可能性があります。肖像権は、「みだりに自己の容ぼうなどを撮影され、これを公開されない権利」を指します。もちろん無断で撮影されたすべての写真が違法というわけでありません。法律上の定義では、「非撮影者の人格的利益の侵害が社会生活受忍の限度を超える」かどうかによって総合的に判断されるからです。

逆に言えば、我慢の限度を超える事案だと裁判所が判断すれば、損害賠償金を支払うことになります。

また名誉棄損については、民事事件だけではなく、逮捕される刑事事件としての取り扱いもあります。刑事事件の名誉棄損は、故意でなければ認められないなど高いハードルが設定されていますが、「フォトハラ」と完全に無縁ではなさそうです。

一般的な社会生活を営んでいる人にとっては、弁護士から連絡が来るようなトラブルを抱えるだけでも大きなストレスになります。写真をWeb上にアップすることがトラブルに発展する可能性があると肝に銘じて、SNSを活用する必要があるでしょう。

コミュニケーションについて、さらに学びたい人はこちらもご覧ください。

参考:「携帯番号開示を命令 ツイッターに なりすまし被害 東京地裁」(『読売新聞社』2020年6月27日)/「いまさら聞けないデジタルの話:SNS 個人情報に気をつけて」(『毎日新聞』2017年11月21日)/「教えて!ひろたに弁護士:/3 SNSに写真、無断で投稿された」(『毎日新聞』2017年6月20日』)

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