自分も相手も尊重するアサーティブなコミュニケーションの方法を知っていますか?今日は相手に話が通じないと感じたときに試したい問題整理の方法を紹介していきましょう。
- 自分の気持ちと向き合う
- まず率直に伝える!
- 使ってはいけない3つのワード
- 断るときの注意点
- その要求・提案は実現可能?
自分の気持ちと向き合う
要求や提案をするのは、意外に難しいものです。相手の気持ちを尊重しながら、自分も我慢しないで要求や提案を伝えるためには、どんなことに注意すればいいのでしょうか?
まず、最初にやるべきことは、自分の感情と「誠実」に付き合うことです。というのも自分の本当の気持ち次第では、相手への要求・提案が変わってくるからです。
例えば、雑用ばかりを押し付けられて「もうやりたくない」と思ったとき、感情のままに上司や同僚に「仕事をやりたくない」と伝えることが正解なのでしょうか?
じつは仕事がやりたくないわけではなく、「企画に携わりたい」とか「次のプロジェクトに参加したい」といった気持ちこそ、相手に伝えるべき要点かもしれません。
このように自分の感情に丁寧に向き合うことを、堀田美保・近畿大学教授は、
自分の望んでいることをまた別の視点から眺めること
と表現しています。
相手に要求・提案する前に、まず自分の気持ちに誠実に向き合ってみる。そんな時間を取ることで、自分の要求や提案の質が変わってくる可能性があります。
まず率直に伝える!
要求・提案を伝えるときは、率直かつ具体的に伝えましょう。
例えば旅行に誘われたときに、「ちょっと仕事が忙しくなるかもしれないし……」というように言い訳を先に話し始めると、「つまり、参加しないってこと?」と周りの人に代弁を強要することになりかねません。
まず、「今回は参加できない」とハッキリと伝えて、その上で誘ってくれたことや計画を立ててくれたことの感謝、さらには自分が参加できないことで生じる変更の手続きなどに対する謝罪をします。
この順番を間違えて、最初に断る理由を並べると、要求・提案が伝わりにくいだけではなく、相手も「無理に誘ってしまったかな」といった申し訳ない気持ちを生んでしまいがちです。
使ってはいけない3つのワード
相手に何かしてもらいときに、具体的かつ簡潔に伝える必要があります。
そのためにNGワードは3つ。
・ちゃんと
・きちんと
・もっと○○
「ちゃんと」「きちんと」はついつい使いがちなワードですが、発言した本人と相手との間に、感覚的なズレが出てしまうのが問題です。こうしたワードの変わりに、「ファイルは既定の場所に片づけて」とか「○時までに到着しておいて」など、相手が行動するときに迷わずできるように要求することが大切です。
また、「もっと早く」や「もっと丁寧に」といった表現も、どれぐらい何をしたらいいのかが問題となります。こちらも具体的に伝えれば、互いに状況を改善しやすい状態になるのです。
断るときの注意点
断る時も何に対してのNOなのかを伝えることが重要になります。
これは意外に感じるかもしれませんが、堀田美保・近畿大学教授によれば、
アサーティブネス(アサーションとほぼ同じ意味です)におけるNOとは拒否の言葉ではなく、自分の中ではYESの部分とNOの部分との境界線がどこにあるのかを伝える
言葉なのだそうです。
確かに旅行を断るにしても、その日がダメなのか、宿がダメなのか、食事がダメなのかといったことを分けて伝えれば、互いに妥協点を探せる可能性が高まります。
こうしたことを意識するだけでも、NOの質が変わっていきそうですね。
その要求・提案は実現可能?
要求・提案のもう一つのポイントが、相手が実現可能な要求なのかといった点です。
これは具体的に伝えるといったこととも関連しますが、例えば「几帳面な性格になってほしい」という要求に応えることは無理でも、「服は脱ぎっぱなしにしないで」なら実行できます。「怒らないで」は感情の問題なので制御しにくいケースも少なくないですが、「大きな声で怒鳴らないで」なら行動を変えることが可能です。
相手に提案・要求するまえに、少し時間を取って相手が実行できるのかを考えるだけで、話し合いの結果も変わってくるかもしれません。
今日は『アサーテイィブネス その実践に役立つ心理学』(堀田美保/ナカニシヤ出版)から、要求・提案の活用できそうなポイントお伝えしました。
効果的なコミュニケーションに興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考:『アサーテイィブネス その実践に役立つ心理学』(堀田美保/ナカニシヤ出版)