恋人と別れたいと思い始めたとき、頭を悩ますのは別れ方でしょう。互いにうまくいってないと思っていても別れを切り出すのはつらいもの。そこで円満な「別れ」について心理学的に調べてみました。
- 別れたことを後悔が約6割
- なるべく会わないで別れる
- 相手に嫌われる
- 「自分が悪いから」と別れる
- 正直に話す
別れたことを後悔が約6割
悪縁を絶つ縁切り神社は、調べると全国にあることがわかります。つまり「縁切り」に悩んでいる人は意外に多いのかもしれません。そして縁切り神社にお参りするほどではないけれど、きれいにお別れしたいと思っている人は少なくないでしょう。
恋は始まりもあれば終わりもあります。ただ始まりと違って、終わりは互いに合意できないことも多く、デリケートな問題も含みます。特に別れた後も人間関係を維持する必要があるときは、より慎重な対応が必要でしょう。
摂南大学の牧野幸志准教授の調査では、別れを体験した人の約40%が相手のことを好きだと答え、約57%が別れたことを後悔していたそうです。これは大学生を対象とした調査ですが、かなりの人が終わった恋愛に未練を感じ、何かしらの後悔を持っているのではないでしょうか。しかも別れた後の感情や行動は、別れの主導権を持っているかどうかに影響されることが判明しているのです。
つまり別れの主導権を持つ切り出す側が、その後の影響を気にするのは当然。そこで別れ方によって、相手にどのような心理的影響を与えるのかを欧米の研究結果を参考に見ていきましょう。
①なるべく会わないで別れる
この代表例がいきなり連絡をしなくなるパターンです。短い付き合いで発生する確率が高い別れ方だそうです。このような別れ方は、その後の人間関係を気にしないケースで起こるため、別れを切り出す側にとってラクな方法を選択しているのでしょう。しかし相手には「排除した」というメッセージが強く伝わります。そうしたことへのリアクションが起きる可能性のある別れ方といえるでしょう。
いきなり姿を消すのも何だから、といった理由で選択されがちなのが、SNSだけがつながっているのに会わないというパターン。インスタグラムのストーリーは共有されているのに、会うことはできない。こうした状況はリアルでは避けられているのに、接触はあるという矛盾したメッセージとなるため、相手をより混乱させる可能性があります。
ここまでは別れを明言しないパターンですが、メールなどで別れを切り出すパターンもあるでしょう。別れにともなう「面倒」がない方法ですが、メールは上記の2つの方法と同じく、相手には強い怒りと苦痛を与える別れ方と言われています。DVなどで別れ話に危険がつきまとう場合を除けばお勧めできない方法のようです。
②相手に嫌われる
相手に嫌いになってもらうのは、意外に難しいものです。別れを自分が切り出す以上にこじれる場合もあります。また嫌われるような行動が、すぐ別れにつながるわけでもありません。
欧米の社会心理学者の研究によれば、このような方法を取っても、結局、相手と別れられず、別の方法の選択することが多いようです。例えば「少しの間、関係を見直そう」などと復縁するつもりがないのに一時的な別れを提案したり、友人に助けてもらって別れるといったケースが多いようです。
つまり嫌われて別れようという方法自体の難易度が高いのです。
③「自分が悪いから」と別れる
「あなたはステキだけど、悪いのは自分だから」といった言葉で別れようとする人は、意外に多いのかもしれません。なるべく相手を傷つけずに別れたいという欲求にも沿うからです。
しかし、こうした別れを切り出された方は、やや複雑です。というのも「私に問題がないなら、なぜ分かれるのか」という当然の疑問を抱いてしまうからです。特に相手のことを心配しがちなパートナーは、「あなたがダメな部分を一緒に克服していこう」といった発想になりやすいようです。
いつも自分を心配してくれるようなパートナーには、選択してはいけない別れ方です。
④正直に話す
別れに関する各種の研究で、相手と関係を円満に終わらせる方法の代表が正直に打ち明けること。
さらに、どちらかが別れを言い放つのではなく、互いにとって別れが必要だと感じ、一緒に関係を終わらせようと思えるなら、互いに後悔が少なく、前向きに別れを受け入れられるそうです。
別れた後も人間関係を維持したい場合は、こうした別れを目標に話し合ってみるのは、一つの方法でしょう。
付き合ってきたときの関係性によって、別れ方の選択もさまざまでしょう。ただ自分が別れを切り出す辛さだけに注目するのではなく、相手が別れを受け止めたときの衝撃も考えてみてください。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「恋愛関係における別れに関する研究(2)―別れた後の感情と行動に及ぼす告白の立場と別れの主導権の影響―」(牧野幸志)/「7 Breakup Strategies, From “Worst” to “Best”」(heresa E. DiDonato Ph.D./Psychology Today)