NHK「あさイチ」でも取り上げられ、話題となった「産後クライシス」という言葉をご存じでしょうか。男性側は「子どもも生まれたし、自分は仕事に励みまくりだし、すべて順調」と思い込んでいても、ある日突然妻側から離婚を切り出されるかもしれません。産後クライシスを乗り切って、いつまでも夫婦円満でいるためのコツをご紹介します。
- 産後クライシスとは、産後に妻側の不満が高まることによる離婚の危機
- NPOマドレボニータが行った産後女性へのインタビュー
- 乳幼児の養育と家事に主体的に関わることが第一
- 「自分の役割は夫から父親に変わる」ことへの覚悟を決める
- Twitterで子持ち主婦の本音を知る
- 夫と同じように、妻一人で出かけられる環境を整える
- 妻側も「してほしいこと」をはっきり伝えるのが大事
産後クライシスとは、産後に妻側の不満が高まることによる離婚の危機
産後クライシスとは、出産後に夫に対する妻の不満が募り、離婚の危機に陥ってしまう現象を指します。厚生労働省の調査を紐解いてみると、「ひとり親世帯になったときの親および末子の年齢」で一番多いのが、0歳から2歳のときで35.1%!平成23年度の調査と、少し古めのデータながら、出産が離婚の1つのきっかけになることが十分に表れています。
せっかく2人の子どもを持ったのに、それが離婚の原因を作りだすとしたら、あまりに悲しいことですよね。いったいどうして、こんなことが起こるのでしょうか。あるNPOの細やかなインタビューが、その理由を可視化しました。
NPOマドレボニータが行った産後女性へのインタビュー
産前産後女性の身体と心のケアを中心に活動を行っているマドレボニータでは、出産前と出産後の女性にインタビューを行いました。出産前には、「夫の態度についてどう思っているか」を尋ね、その6ヶ月後である出産後には「夫による育児の協力や、妻の身体に対する理解は十分か」「離婚を考えたことがあるか」を尋ねたのです。
結果、産後6ヶ月以内の女性の、何と半数以上もの女性が、「産後に離婚を考えた」と回答しました。「夫は仕事ばかりで協力してくれない」「産後の身体をいたわってくれない」「子育てへの理解が不十分」と、不満を募らせた結果、離婚を考えるところまで追いつめられてしまっていました。
「かすがい」である子どもを得たはずの夫婦による寂しいすれ違いは、どうして起こってしまうのでしょうか。離婚という最悪の結果を避けるため、夫側は、何をどのようにすればいいのでしょうか。妻に歩み寄るためのヒントをお伝えします。
乳幼児の養育と家事に主体的に関わることが第一
まずは、子育てと家事に主体的に関わることから始めましょう。「手伝うよ」や、「できる限り協力するよ」という言葉は禁句です。妻のほうは子育てを片手間のお手伝いでやっているわけではありませんし、子どものために通常ならできないことも乗り越えています。
そう、主体的に関わるということは、夫である自分自身も、妻と同様に子どもと生活に関する義務を負っていると認識し、実際に動くことです。言われたことだけをやるのではなく、子どもと家事のスケジュールを把握して、手が空いていたら能動的に動けるようにしましょう。
食事の後は皿洗いをする、子どもが寝る前に入浴させる、部屋が汚れていたら掃除をする……どれもこれも、生活しているなら「自分ではない誰かの仕事」ではなく、まぎれもなく自分の仕事です。でも、妻側が求める家事レベルが厳しすぎるときは「自分のレベルでやらせてよ」とやんわり告げましょう。生活ルールを決める権限は同等にあります。
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「自分の役割は夫から父親に変わる」ことへの覚悟を決める
産後は、妻と同様、夫の側にも不満が募りがちです。どうしても妻の関心は子どもに行ってしまいますし、性的にもご無沙汰なりがちでしょう。でも、ある程度は諦めが肝心です。子どもが生まれたことによって、あなたの役割は夫から父親に変わってしまったのですから。
父親として、子育てのパートナーである母親と一緒に子育てを乗り切る覚悟を決めましょう。大丈夫、ちょっとの辛抱です。育児の一番過酷な時期を乗り越えれば、また妻と夫に戻れる瞬間がやってきますよ。
Twitterで子持ち主婦の本音を知る
妻が何を不満に思っているかがわからず不安なら、Twitterがおすすめです。Twitterでは、「#旦那への不満」や「#産後クライシス」などのハッシュタグで、世の中の主婦が日ごと愚痴をつぶやいています。夫への不満も大量にありますから、かなり勉強になりますよ。
夫と同じように、妻一人で出かけられる環境を整える
完全母乳で子育てをしていると、母親一人の時間はなかなか取れません。でも、授乳の時間が空いたり、哺乳瓶に慣れて来たりしたら、妻一人で出かけられる環境を整えてあげましょう。自分自身のことを考えてみてください。たったの一ヶ月だとしても、自分の好きなことが何もできず、家に縛り付けられたらどう思いますか。気が狂って当然ですよね。
妻一人の時間を確保するといっても、わざわざ有給を取って「今日は一日、俺が面倒みる!」なんて、頑張る必要はないのです。一日赤ちゃんと離れていると、かえって不安になってしまう母親もいます。大事なのは、妻のタイミングに合わせてあげること。
「土曜日の午後、ちょっと友達と会ってくる」「明日、美容院行きたい」「たまには夜遊びしたい」など、ささやかで細切れな気晴らしを実現できるようにしてあげてください。頻繁で短時間の息抜きが、妻の表情を明るくしてくれることに気づくでしょう。
妻側も「してほしいこと」をはっきり伝えるのが大事
産後クライシスというと、妻側の不満を夫が受け入れないことによる危機ととらえられがちです。でも、妻側には非がないのかといえば、それは違うでしょう。心の中で夫に期待しては裏切られ、疲れ果ててしまうのでは独り相撲に他なりません。妻側も、「してほしいこと」をはっきり伝えるのが大事です。
参考:『実験心理学 なぜ心理学者は人の心がわかるのか?』