ディープワークを知っていますか? 集中力や幸福感、時間管理にもプラスに働くといわれる行動です。ディープワークを採り入れて、日々の生活をより充実したものにしてみませんか?
- 90分が限界の習慣
- 「ディープワーク」の環境を整える
- 「ディープワーク」に向けた仕事の準備
90分が限界の習慣
じつは「ディープワーク」の定義はややあいまいです。おおよそ「認知能力を限界まで高めて集中した状態での仕事」といった意味合いでしょう。一つのポイントは「認知能力を限界まで高めて集中」で、これはスポーツ選手などが語る「ゾーン」、心理学では「フロー状態」と呼ばれている高い集中状態です。集中力が増して、いつも以上の力を発揮できる状態を指します。思考能力がアップし、何事も効率よくこなすことができるそうです。
こうした状態で仕事をすることが「ディープワーク」というわけです。
そして「ディープワーク」を日々の生活に取り入れるようになると、日常的な業務の効率もよくなり、仕事への達成感が高まり、結果的に幸福感もアップするそうです。
もちろん長時間、集中が続くわけではありません。一般的には大人の集中力は90分が限界で、45分が一つの区切り。15分ごとに集中力が弱まる波がくるので、そこで一呼吸置くといった方法もお勧めです。
つまり「ディープワーク」を実行するにしても、それは最大で90分。集中力があまりないなと感じる人は45分しか取れないのです。自分に合った「ディープワーク」の時間を設定しましょう。
たいした時間ではありませんが、日々の習慣として取り入れるようになれば、先に書いたようなプラス効果を手に入れることができるでしょう。
ただ問題は、こうした集中力をどうやって引き出すのかでしょう。気にすべき項目がいくつかあるので、解説していきましょう。
「ディープワーク」の環境を整える
日々の生活の中で「ゾーンに入った」と思うことは、滅多にないでしょう。「ゾーン」までいかなくても、それなりに高い集中力を日常生活で生み出すためには、環境設定が重要になってきます。
そのポイントを以下にまとめました。
① 場所を分ける
集中しやすい場をつくりましょう。できれば、通常とは違う場所で「ディープワーク」を実施する必要があります。それはテーブルが変わっただけでも構いません。集中できる環境があると思えることが重要です。
② 整理整頓をする
未完の仕事の書類が目に入った途端、集中力がそがれるといったことはよく知られています。集中力を高めたいなら、整頓された空間をつくりましょう。
もちろん適度に散らかっている方が落ち着くといった人もいるので、その場合は、どんな環境で集中力が増すのかを考える必要はあるでしょう。
③スマホの電源を切る
「ディープワーク」には、日常から離れる時間が必要になります。電話やSNSの通知などに邪魔されないようにスマホなど携帯電話の電源を切りましょう。常に会社などと連絡が取れないと困る人は、緊急連絡が取れなくてもいい時間に実施したり、特定の時間は連絡が取れないことを仕事仲間に伝えておくといった手配が必要になります。
「ディープワーク」に向けた仕事の準備
①仕事を選択する
まず、最初にすべきことは、「ディープワーク」向きの仕事を選択することです。臨床心理士であり作家でもアリス・ボーイズ氏によれば、「自分から見て最も重要な長期プロケジェクト」を、「ディープワーク」でやり続けるべきと書いています。
内容はさまざまなでしょう。事業の複雑なデータ分析かもしれませんし、原稿の執筆かもしれません。新たな価値を生み出す仕事という観点から、「ディープワーク」を選択するのもお勧めです。
スティーブン・R・コヴィーが書いた『7つの習慣』で考えれば、「重要度が高い」かつ「緊急度が低い」仕事です。重要なんだけど、ついつい後回しにしてしまう仕事を「ディープワーク」に割り振りましょう。
②タスクを整理する
「ディープワーク」は、1回45~90分と限られた時間しか取れません。そのためあらかじめディープワークとして処理するタスクを整理しておく必要があります。そのとき注意したいのが、ルーチンワークと違う判断が求められるケースでしょう。
特に新しい価値を生み出すような仕事は、これまでとは異なる対処をしなければならないけれど、何が最適かわからないといったことも起きるでしょう。
そうしたときは、アリス・ボーイズ氏が勧める以下の方法を試してみてください。
(1)タスクに対する方法を3つ書き出す
(2)どれがベストか選び出す
(3)ベストの方法で実施したときに起こる失敗・問題を書き出す
(4)失敗・問題の原因を書き出す
(5)対処法を考える
それでも失敗することもあるでしょうし、その対応に追われて日々の「ディープワーク」で対処できない状態になることもあるでしょう。ただ、そうした事態をなるべく避けるような体制を整えた方が、充実した「ディープワーク」を実行することができるでしょう。
③ Webを見ないように準備する
Webを見ると、集中力が下がってしまいます。確認や検索が余計な仕事を生み出し、集中するための時間が台無しになってしまう可能性があります。そこで「ディープワーク」に入るときに、なるべくWebを使わないように準備しましょう。もちろん執筆などをする場合、参考資料としてWebの情報が必要なケースもあります。その場合は少なくとも検索をかけることがないように、必要なページを用意しておくといった準備が必要です。
④実施時間を決める
「ディープワーク」は習慣化すべきものです。日々「ディープワーク」の時間を取ることで、重要だけど優先度の低い仕事が片付き、幸福度も上がっていくからです。
そのため時間を決める必要がありますが、ポイントはすでに習慣化している行動の後に実行すること。例えば歯磨きの後に時間をつくるようにしておけば、より確実に習慣化できます。
今日は日々の生活を活性化させる「ディープワーク」についてまとめました。興味を持った方は実行してみてくださいね。
心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『仕事の先延ばし癖をどのように克服するか』(アリス・ボーイズ/DAIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー ライブラリー)