集中力がほしいと思う人は少なくないでしょう。特にすぐに気が散ってしまうタイプの人は、わき目もふらず集中できる時間をつくりたいと思うことも多いでしょう。そこで気が散らないためのテクニックを紹介します。
- テレワークだと集中力は下がる
- 気が散った原因は自分の中に
- 内部トリガーを特定する
- 自分のための時間をつくる
- 外部トリガーを片付ける
- 一定時間ごとに休憩をはさむ
テレワークだと集中力は下がる
2021年にWebサイト「縁結び大学」が実施したアンケート調査によれば、テレワーク中の97.7%の人が「集中力が下がった」経験あると答えています。ほとんど全員といってよいほどの数字ですが、その要因のトップは6割の人が選択した「ついスマホやテレビを見てしまう」でした。
テレワークによって緊張感が欠けてくると気が散って、ついついスマホやテレビのリモコンに手を伸ばしてしまうのでしょう。しかし先延ばししてサボってしまうと、その仕事の遅れを取り返すために苦労することにもなりがちです。
だからこそ気が散らないようにするテクニックを身に付けてみませんか?
気が散った原因は自分の中に
多くの人は気が散る要因を外部に求めます。先程のアンケート調査でも集中力が切れるのは、スマホやテレビが原因だと答えています。これは半分当たっていますが、半分はハズレです。
米国にあるフレッド・ハッチンソン癌研究センターのジョナサン・ブリッカー博士の研究成果を活用することで、気が散る直前に心と体に何らかのサインがあることに気づけるようになります。そもそも、さっきまで集中していたのについついスマホに手を伸ばしたのは、それまで気にしていなかったスマホが視界に入ってきたからです。つまり集中力が途切れたのは、スマホを手に持つ前なのです。
「気が散ってしまう要因は自分の内部にもある」という認識を、まず持ちましょう。その上で次の手順で、気を散らす内部トリガー(心身の引き金)を特定します。
①内部トリガーを特定する
1.気晴らしをしようと思ったときの不快感を書き留める
例えば仕事に集中していたのに、いきなりスマホに手を伸ばしてしまう。その直前に感じていた不快感を、「日時」「やっていたこと」と一緒に書き留めます。その不快感は「めんどくさい」や「上司に見せるときの不安」かもしれません。また、不快感を書き留めたとしても、気晴らしをしたいという衝動は止まらないかもしれません。しかし、自分の集中力を妨げる不快感の正体に気づくことが、気を散らさない生活の第一歩となります。
2.感覚をさぐる
不快感と一緒に起こる体感を探りましょう。それは指がぴくぴくと動くといったこともあれば、胸がざわつくといった感覚かもしれません。不快感にともなう体感をしっかりと感じ取り、受け止めることで気晴らしをしたいという衝動は弱まっていくそうです。
3.心の川に流す
気を散らす誘惑にかられたときは、目をつぶって静かに流れる小川を思い浮かべ、そのほとりに座ります。そして静かに流れる一枚の葉の上に、そのときの想いを一つずつ乗せて流れて去っていくのを見守りましょう。それは不快感の原因となった過去の思い出のときもあれば、現在の心配事かもしれません。あなたのいろいろな想いを乗せた葉が、ゆっくり回りながら視界から消えていくとき、衝動が小さくなっているのを感じることでしょう。
4.作業の切り替え時に注意を払う
ついつい気晴らしに時間を費やしてしまうタイミングに、作業の切り替え時があります。例えば資料をまとめ終わって、メールをチェックしようと思ったときに、いきなりスマホを手に取りたくなってしまうのです。
②自分のための時間をつくる
気が散って何かを別のことを始めてしまったとき、それは本当に自分がやりたい事だったでしょうか? 例えばスマホでSNSをチェックするのは、どうでしょう?
気が散ってちょっとした気晴らしをしてしまったとき、それが自分の本当にしたいことならば、納得できる部分もあるでしょう。しかし、たいしてしたくもないことに時間を取られ、結果、自分がやりたいことをする時間が減るのはもったいないことです。
③外部トリガーを片付ける
気が散らないようにするためには、スマホやテレビのリモコンなど、気を散らす外部トリガーを目の届かないところにおきましょう。不快感を抱き、その気持ちを紛らわせたいと気晴らしを探し始めたとき、スマホが目の前にあれば無意識に手に取ってしまいます。
しかし目に見えないところに置いておけば、その衝動を止める時間を稼げます。
④一定時間ごとに休憩をはさむ
人間の集中力は、それほどもつものではありません。しっかりと休憩時間をつくり、ときにはストレッチなどをすることで、気が散るのを防ぐことができます。
ちなみに集中力を維持する方法として有名なポモドーロテクニックは、25分の作業に5分の休憩をはさみ、これを4回繰り返したら30分の休憩をはさむといったリズムで作業するといったもの。
わき目もふらず何時間も集中すること自体、なかなか難しいことを知っておく必要はあるでしょう。
今日は気を散らさず、集中力を維持するテクニックを紹介しました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「The 4 Steps to Becoming Indistractable」(Nir Eyal/Psychology Today)/「How To Disarm Internal Triggers and Improve Focus」(Nir Eyal)