成功を遠ざける無意識の言い訳から逃れる3つの方法

自信がないときに、わざと失敗するような選択をする心理を知っていますか? 成功の確率をどんどん下げていく自己防衛について説明します。

  1. 自信を失った者が選ぶ薬とは?
  2. 試験前の掃除や整理整頓も「言い訳」
  3. 成功を遠ざけるセルフ・ハンディキャッピングの対策法は?

自信を失った者が選ぶ薬とは?

2人の心理学者、スティーヴン・バーグラスとエドワードジョーンズの実験はちょっと複雑です。

実験参加者には、知的作業に影響する薬の効果の検討だと知らせて、薬を飲む前に問題を解かせます。一方のグループにはほとんどが易しい問題、もう一方には難しい問題が配られました。その後、テスト結果をフィードバック。このとき二つのグループに、正答率が80%だったと教えたのです。そのため難しい問題を解いた実験参加者は、解けなかったと思っていたため混乱し、結果は良かったと言われたにもかかわらず自分の能力に自信を失ってしまったのです。

それから知的作業を「促進する薬」「妨害する薬」「関係ない薬」の3種類から1つを選んで、次の課題に取り組んでもらいました。すると自分の能力への自信を喪失したグループの6割が「妨害する薬」を選んだというのです。これは簡単な問題を課されたグループよりはるかに多かったとのこと。

妨害薬を選ぶという行為は、自分の実力を出せない状況、不利になる状況をわざと作っていることになり、「セルフ・ハンディキャッピング」と呼ばれる心理行動です。

自分の本当の実力に向き合いたくない。失敗したときに自分の自尊心を護りたい。そんな気持ちが、失敗したときの言い訳を用意してしまうというわけです。成功すれば、不利な状況でも成功を勝ち取った自分として、より自尊心を高めることができるので、一石二鳥の自己防衛策といえるでしょう。

試験前の掃除や整理整頓も「言い訳」

意外に思うかもしれませんが、試験前にいきなり始めてしまう部屋の掃除などもセルフ・ハンディキャッピングの一つです。「あのとき掃除しなければ、もっといい点が取れたのに」という言い訳を用意しておくための行動というわけです。

あるいは大事なプレゼンの前に、「体調が悪い」「この分野は苦手」といった話をするのもセルフ・ハンディキャッピングです。

セルフ・ハンディキャッピングの関連で話題となったのは、プロテニスプレーヤーの錦織圭選手です。彼はマイケル・チャンと対談したとき、「フェデラーと決勝で対戦するなんてワクワクします」「彼は偉大な選手で、昔から私の憧れの選手」といった発言し、マイケル・チャンから「大きなミス」だと指摘されました。準決勝を勝った後の発言なので、違和感がなかったかもしれません。しかし名コーチのマイケル・チャンは優勝するのは自分だという決意が、錦織圭選手には足りないと指摘したのでした。

確かに、錦織選手の発言は「負けても仕方がない」という心理的な言い訳を含んでいるともいえます。少なくてもトッププレイヤーになるためには、覇気の足りない発言といえるでしょう。

その後、彼は全米オープンベスト4進出時の記者会見で「勝てない相手はもういないと思う」と発言するまでになりました。発言内容が変わったからこそ、結果が付いてきたといえそうです。

成功を遠ざけるセルフ・ハンディキャッピングの対策法は?

セルフ・ハンディキャッピングは確かに自分の自尊心を守ることはできます。しかしチャンレンジ精神を失うようになり、結果的に成功にたどり着かないことが多くなると、さまざまな調査が明らかにしています。

では、この防衛的な反応を、どうすれば克服できるのでしょうか?

効果のある対処法を3つ紹介しましょう。

①この記事を読む

冗談を言っている訳ではありません。この記事を読み、無意識的にやっていたセルフ・ハンディキャッピングが「言い訳」だと理解するだけで抑制が働きます。

明日試験だと思って、衝動的に部屋を整理し始めた途端、「これは言い訳の行動だ」と思い出したら、どうでしょう?ちょっとゲンナリしますよね。言い訳のために部屋を整える自分を意識したら、自分の自尊心を保てない。そんな心理状況になれば、セルフ・ハンディキャッピングも止まります。

②宣言してみる

逃げられないように自らを追い詰めてしまえば、自分に不利な状況を作っている場合ではなくなります。背水の陣で課題に立ち向かえば、集中力も高まります。何より成功したときには、「言い訳」を用意しなくても大丈夫なんだと思えるようになります。

③失敗を怖がらない

セルフ・ハンディキャッピングは自尊心を守るため。つまり失敗しても自尊心が傷つかないなら、不利な状況を自分に課す必要がないわけです。

部屋を整理したくなったとき、失敗したとき何が起こるのかを考えてみましょう。じつは意外に変わらないことに気づくでしょう。

勉強して50点と、勉強しないで50点。当人としてはショックかもしれませんが、他人からみればいつも通りの結果です。むしろ、やればできるという「言い訳」が利かなくなったら、勉強の仕方を改善するなど次のステップに進むことができるのです。

失敗のための言い訳が日常生活にないのか、少し振り返ってみましょう。そうした「言い訳」の一部でも追放できたら、きっとパワーアップした自分になれるはずです。

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