to doリストを見直したときに、重要なタスクが終わってないと感じたことはありませんか?それは優先順位の付け方が間違っていたのかもしれません。今日は優先順位に潜むワナと、その対策について説明していきましょう。
to doリストの弱点って?
to doリストが一向に減らないどころか、一部はずっと残り続けていることがあったりしませんか?to doリストの管理サイト運営する「I done this」の調べによれば、リストの41%は永遠に終わらず、しまいに破棄されてしまうそうです。
to doリストで気を付けるべきこととしてよく指摘されるのが、緊急ではないけれど重要なことが忘れ去られるということ。つまり永遠に終わらない41%に、もっとも重要なタスクが入っている可能性があるのです。
これはちょっと問題ですね。
そこで、こうした状態がなぜ起きるのか、心理学的な観点から読み解いてみましょう。
じつはto doリストを破綻させる心理的な要因は、いくつも指摘されています。そうした弱点を理解した上でto doリストを活用しないと、問題は一向に改善されません。順に説明していきましょう。
①忙しさ
to doリストは忙しい人が活用するツールというイメージがあります。しかし忙しくなったときほど、to doリストの使い方は注意が必要です。
自分の過去のto doリストを見直して、やっかいで時間のかかるタスクだけが残っているようなら、忙しさによって自分の優先順位が狂っている可能性を考えてみましょう。
米エモリー大学ゴイズエタビジネススクールのDiwas Singh KC氏らの調査によれば、病院での医師の優先順位を診療データから解析しました。通常、調査した病院は症状の重さと待ち時間を勘案して診療していたのですが、医師が忙しくなると短時間で診察が終わる患者を優先的に診療するようになってしまったのです。
結果、症状の軽い患者ばかりが診療に呼ばれてしまうという結果になっていたのです。これは患者が増え、やるべきことが多くなると、すぐに結果が出るものから、手を付けてしまう心理が働いてしまうそうです。
この対策としては、タスクを細かく分解していくという方法があります。また、to doリストに手を付ける順番をしっかり書き込み、順序を変えないという方法も有効でしょう。
②目先のことへの集中
さて、まず質問です。
次のA・Bのうちどちらを選びますか?
A 今すぐ10万円を受け取る
B 1年後に11万円を受け取る
じつは、この質問に8割もの人がAを選ぶことがわかっています。
では、次の質問はどうでしょうか?
C 1年後に10万円を受け取る
D 2年後に11万円を受け取る
こうするとDを選ぶ人が圧倒的になるのです。
これは目先のことに集中してしまう人間の心理傾向を表しています。特に将来が見えていないと、人は目先の利益を優先してしまいがちです。緊急ではないけれど将来的には重要なことがto doリストで実行されないのは、こうした理由からなのです。
この対策として有効なのは、まず将来的な利益をしっかりと認識することでしょう。ここがあいまいだと、ついつい後回しになりがちです。さらに将来を左右するかもしれない重要なタスクは、しっかりと時間を確定させてスケジュールに組み込んでおくといった方法も効果があるようです。
資格や語学など、じっくりこなす必要があるタスクは、上記のような対策を立てるといいでしょう。
③やり残し
人は完了していない「やるべきこと」を強く意識する傾向にあります。それ自体は重要なことですが、量が多くなるとストレスとなってすべてを放り投げてしまう可能性が高まります。
こうした心理傾向への対策としては、まず残ってしまっているタスクを実行する必要があるのかどうかを考えることでしょう。必要ないのなら、思い切って削除することも必要です。逆にどうしても必要なら、どうやって予定に組み込むのかを考えて、スケジューリンングした方がいいでしょう。
時間を見積り、日にちを決め、実施に必要な情報やグッズを書き出す。そうしたことをするだけで、物事は大きく前進します。
④不安
同じようなタスクでも、厳しい上司のものから手を付けるといったことはあるでしょう。ただ、自分の不安が優先順位に大きな影響を与えているようなら、改めて優先順位を見直す必要があるかもしれません。
今日はタスクの優先順位を狂わせる要因について説明しました。
to doリストについて調べると、タスクの数を限定するといった方法も出てきます。多すぎるタスクを抱えないように、あきらめたり、断ったりすることも大事なのかもしれませんね。
仕事の質を向上させる心理学知識に興味のある方は、こちらもご覧ください。
参考;「Task Selection and Workload: A Focus on Completing Easy Tasks Hurts Performance」(Diwas Singh KC)/『マシュマロ・テスト 成功する子、しない子』(ウォルター ミシェル/早川書房)