効率化でカットされやすいけれど大切な時間3選

効率化によって限りある時間を有効に使うことに、多くの人が心血を注いでいます。そうでもしなければ、仕事とプライベート両方を充実させることが難しいのでしょう。しかし、本当は大切な時間を省いていませんか。

  • カットしてはいけない非効率な時間
  • 家族や友人と過ごす休日
  • 同僚との日常的な交流
  • 小さな伝統・文化・習慣を守る

カットしてはいけない非効率な時間

日々の生活からムダな時間を省こうとしたとき、他人と関わる時間をカットしていないでしょうか?
時間管理に力を入れようとすると、自分だけではコントロールしづらい人づきあいの時間に頭を悩ませがちです。確かに始終かかってくる電話やダラダラと続く飲み会などに、すべてに付き合う必要はないかもしれません。しかしコントロールしにくくても、カットしてはいけない時間もあるようなのです。心理学的な観点から、カットできない大切な時間をまとめてみました。

①家族や友人と過ごす休日

スキルアップのための講義や平日にできなかった仕事の処理、溜まっている家事、独りで楽しめる趣味といったものに、休日を費やしていませんか? 一人で行動すれば自分の思い通り動けるだけに充実感も高まるかもしれません。しかし家族や友人と休日を共有しない危険性が、専門家から指摘されています。

1929年世界恐慌が始まる2ヵ月ほど前、ソビエト連邦では工場を休みなく稼働させるために4日働いて1日休むというスケジュールを、国民をグループに分けて実施しました。つまり工場のシフト勤務を、国家単位で実施でしたというわけです。しかし、この政策変更で一般市民の生活がボロボロになったと言われています。

問題はグループが別になると休日が合わないために社交の機会がなくなり、夫婦であっても一緒の時間を楽しむことができなくなったことでした。週末に働いている人から見れば、「一般市民の生活がボロボロ」という表現に違和感を持つことでしょう。

しかし休日に人と交流しない悪影響は、他のケースで証明されているのです。
それはスウェーデンのウプサラ大学の研究チームが実施した休暇のパターンと抗うつ剤の処方量データを比較したものでした。結果、同時に休暇を取る人が増えるほど、抗うつ剤の処方量が少なくなっていたのです。

もちろん、こうした社会的な傾向があるからといって、休日に人とかかわらない人が必ず不幸だというわけではありません。しかし休日に人との関わりを持たない生活は、マイナスの影響が出やすいことは覚えておいた方がいいでしょう。

②同僚との日常的な交流

生産性のアップは、さまざまな企業で重要な課題となっています。結果、同僚などとのコミュニケーションの時間を削り、とにかく仕事に集中するといったことが起こりがちです。しかし欧米では、近年、息抜きにお茶とお菓子とおしゃべりを楽しむスウェーデンの習慣「フィーカ」に注目が集まっています。

フィーカは家族や仕事仲間、友人など、誰とでもどこでも行われるもので、1回の時間は15〜30分ほどだそうです。企業では10時ぐらいと15時ぐらい、1日2回行われることが多いそうです。つまり会社によっては、1日1時間もお茶会に時間を費やしているというわけです。

じつは休息を取らないで、ずっと仕事を続けるスタイルが仕事と私生活の満足度を下げるという研究結果があります。さらに適切な休息によって、従業員のモチベーションがアップし、柔軟な思考を高めるという研究も進んでいます。

ただし従業員同士が話し合うとき、仕事へのグチと不平ばかりといった状況は避けた方がいいようです。人は他人の良いニュースを耳にしても、幸福度が高まるそうです。互いに良いニュースを話せる時間をつくりましょう。

仕事仲間との交流は、効率化の中でカットしがちでしょう。しかし、こうした時間が仕事にプラスになる可能性は高そうです。すべて切り捨ててしまう前に、その効力も考えてみましょう。

③小さな伝統・文化・習慣を守る

さまざまな集団には、ちょっとした伝統や文化・習慣があるものです。例えば大口の新規案件が取れたら飲み会をする、日曜日には家族でパンケーキを食べるといったものです。忙しくなってくると、こうした時間をついつい削りたくなってしまうもの。しかし幸せな記憶に繋がる小さな伝統や文化・習慣は、組織にとっても個人にとってもプラスに働く可能性があることを、米国のジェームズ・マディソン大学のハイメ・カーツ博士は指摘しています。

また、こうした伝統や文化が思いつかないなら、子ども時代に幸せを感じたイベントやレシピを復活させるべきだとも書いています。

私たちにとって過去の小さな幸せの記憶は、私たち自身が思っているより重要なのかもしれません。時間管理を強化し、効率化に成功しても、幸福感が薄くなれば何のための努力なのかわからなくなってしまいます。本当にムダな時間なのかを考える必要があるのではないでしょうか。

今日は効率化でカットされがちだけれど大切な時間についてまとめました。

人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:『限りある時間の使い方』(オリバー・バークマン/かんき出版)/「Reviving Hygge for COVID-19」(Jaime L. Kurtz Ph.D./Psychology Today)

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