新型コロナウイルスの蔓延は、まだ予断を許さない状況ではありますが、地域によっては解除されるという報道も出ています。そうなったとき、何にお金を使うと幸福に感じるのかを調べてみました。
- 夏には収まるという希望的観測も
- 泥の中をはい回る経験を200万人以上が購入
- 幸福につながる4つのポイント
夏には収まるという希望的観測も
希望的な観測も含めて、夏には新型コロナウイルスの猛威も収まるのではないかという報道を目にするようになりました。
例えばダイヤモンドオンラインでは、鈴木貴博氏が次のように書いています。
感染が世界に広がるようになってわかったことは、南半球の国々では極端に死者が少ないということでした。4月15日までは、流行が拡大したスペインやイタリアで100万人あたりの死者が300名を超えていたのに、同じ時点でブラジルの死者は100万人あたり7人、オーストラリアは2人と、統計的に有為なレベルで少なかったのです。(「アマビエのご利益も? コロナ収束が近いと予言できる3つの科学的根拠」)
英国の報道機関BBCも、次のような記事を配信しています。
別の研究では、COVID-19(新型ウイルスの感染症)の患者が40人以上出た中国の100都市に注目。気温と湿度が高いほど、伝染の確率は低いとの結果を得た。
そのほかにも紫外線で新型コロナウイルスの不活性化に有効だといったニュースも流れています。もちろん変異する未知のウイルスに絶対はありませんが、希望を抱くことはできそうです。
泥の中をはい回る経験を200万人以上が購入
では、実際に非常事態宣言が解除されたとき、どのようにお金を使えば幸福になれるでしょうか?もちろん経済の立て直しや生活必需品への支出が一番で、なかなか余裕がないという方が多いと思います。とはいえ「外出自粛」に頑張った自分に、ご褒美を考えている方は参考にしてみてください。
ブリティシュコロンビア大学のエリザベス・ダン准教授とハーバード・ビジネススクールのマイケル・ノートン准教授が書いた『「幸せをお金で買う」5つの授業』( 中経出版)はお金を使うと幸福を感じるポイントを、次の5つにまとめています。
・経験を買う
・ご褒美にする
・時間を買う
・先に払って、後で消費する
・他人に投資する
この5つのうち非常事態宣言解除後の支出に強く関係するのが、「経験を買う」ではないでしょうか。
この本ではモノを購入しても幸福感は続かないことを、さまざまな実験結果から論証しています。一例をあげれば、関西学院大学のマイホームに関する調査です。この調査では家に対する満足感は、5年たっても高いままだったそうです。しかし問題はあるとのこと。
引っ越しした人々の新しい家に対する満足はかなり上がりますが、生活に対する満足感、つまり全体的な幸福感はまったく向上しなかったのです。
自宅には満足しても全般的な満足度が上がらないのでは、何十年ものローンを組んだ意味はどうなのだろうと考えてしまう人もいるでしょう。
一方、英国特殊部隊によって設計された障害物競走は、2010年以来、200万人以上の参加者を集めています。氷の浮いた水に飛び込み、臭い泥の中をはい回るレースは、たんに順位を競うものではなく、仲間と助け合いながらゴールを目指すものです。その経験を仲間ともう一度味わいたいと、どんどんリピーターが増えていったそうです。
こうした楽しさは、旅行や学生時代の文化祭を思い出してもらえばわかるでしょう。ワイワイとみんなで何かに向かっていく経験は、記憶に残り続け、人生に何がしかのプラスを与えてくれます。だからこそ「経験」を買うことが幸福につながるでしょう。
幸福につながる4つのポイント
では、どのような経験にお金を使えばいいのでしょうか?親切なことに大きな喜びを得られる「経験」のポイントを、『「幸せをお金で買う」5つの授業』は次の4つに絞ってくれています。
①他の人々と交わることによって、社会的なつながりが生まれるような経験
②この先何年にもわたって楽しい気持ちで繰り返し語ることができる思い出話につながる経験
③あなたが感じている自分という人間、あるいはあなたがなりたいと思っている自分像に密接に結びつく経験
④他の選択肢と簡単に比較することができないめったにないチャンスを与えてくれる経験
新型コロナウイルスの問題に取り組む中で、やや人生観が変わったと感じる方もいるかもしれません。環境が変わる中で、どんなことに時間とお金を費やすべきなのか、その手がかりの一つとして4つのポイントは有効かもしれません。
心理学を日々の生活に生かしたいと思う方は、こちらをご覧ください。
参考:『「幸せをお金で買う」5つの授業 (中経出版)』(エリザベス・ダン、マイケル・ノートン/中経出版)
「泥が生んだ1億ドル企業 リピーター続出の過酷レースとは」(CNN)