テレワークでますます時間が足りなくなったと感じている人はいませんか? さまざまなことをこなす必要があるのに、「時間がなく……」と感じるのはストレスですよね。そんな方に向けた生産性アップのコツをご紹介しましょう。
- テレワークで効率が下がる
- ポイントは「完璧にやらなくていい」
- 「先延ばし」も活用する!?
- 集中できるやり方を考える
テレワークで効率が下がる
新型コロナウイルスの影響で、幅広くテレワークが実施されるようになりました。緊急事態宣言が解除されてからも、一部業務をテレワークで実施し続けている企業が少なくありません。
また東京を中心とした感染の拡大が報じられる中、改めてテレワークを拡大しようという動きも強まりそうです。
テレワークについては、さまざまな団体がアンケート調査を実施していますが、日本生産性本部は仕事の効率について調査しました。その結果、効率が向上したと感じた人は3割強にとどまり、逆に効率が下がったと感じた人は6割を超えています。
Webサービスを展開しているUniposの調査でも、チームの生産性に関して低下したと答えた人は44.6%で、高くなったという回答7.6%を大きく上回っています。
じつはテレワーク先進国のアメリカでもIBMやヤフーがテレワークを廃止したとNHKなどで報道されています。その原因はいくつもあったようですが、自宅での生産性の低下や職場に集うことで生まれるコミュニケーションがなくなったという点も原因の1つだと言われています。
とはいえ厚生労働省の実証実験の調査では、生産性の向上を感じた人が29%、生産性に変化がないと答えた人が58%となっており、新型コロナウイルスによって準備期間なくテレワークに突入したことも生産性低下に影響しているのかもしれません。
テレワークで仕事の効率が下がる問題について、国内では「仕事モードになりにくい」「子どもの世話に追われる」といったことが、各種メディアで報じられています。
こうしたなか、働きぶりが見えにくいテレワークでもしっかりと評価できるように、勤務時間ではなく成果で評価していこうといった動きが日立製作所をはじめとする企業で活発になってきています。
新型コロナウイルスの状況を考えれば、今後さらにテレワークが一般化することも予想されるので評価制度の見直しも仕方ないのかもしれません。
近年、多くの企業が生産性のアップを課題としています。それに加えて成果に重点が置かれるようになれば、仕事の効率が低下する可能性のあるテレワークでどうやって時間を管理し、集中するのかが問われてくるのではないでしょうか。
ポイントは「完璧にやらなくていい」
時間の管理方法や生産性向上については、さまざまな方法が紹介されています。ただ、スタンフォード大学の心理学者ケリー・マクゴニガル氏の方法は、かなり独特です。
まず、彼女は「完璧にやらなくていい」ことを生産性アップのコツとしてあげているのです。
生産性を上げる一番のコツは、計画的になったり、時間管理をしたりすることではないのです。何かをやり遂げるために、「こうあらねばならない」といった杓子定規なやり方をやるのではなく、自分らしく仕事をすることを許してあげるのです。
具体的には、夜型人間の彼女は朝に大事な仕事をするといった一般的な効率的仕事術をあきらめたそうです。朝は瞑想などでリラックスしたり、雑用を済ませることに費やし、夕方以降、集中して仕事するそうです。
テレワークといっても就業時間が決まっているケースがほとんどでしょうから、上記のような仕事のスタイルを取り入れられる人は少ないでしょう。しかし就業時間内で優先順位を変えることはできるでしょう。
「先延ばし」も活用する!?
忙しすぎることが心身に悪いといった考えも捨てたそうです。
「忙しさ」は、ポジティブなストレスとなり得るのです。
とケリー・マクゴニガル氏は書いています。
実際、米シカゴ大学と中国の上海交通大学の共同研究によれば、本人が望む以上に忙しくなっても、暇なときより幸せを感じるそうです。もちろん限度はあるでしょうし、個人の性格にもよると思いますが、忙しいからこそ情熱的に物事に取り組めるといった心理はあるようです。
さらにケリー・マクゴニガル氏は「先延ばし」についても、効率を上げる手段に活用していると書いています。
「To Doリスト」の中に負担に感じる難題が1つでもあると、ほかの「やらなければならないこと」が輝いて見えることを発見しました。最も気がかりに感じている以外のタスク(作業)を「休憩(ブレーク)」と位置づけ、やるべきことを終わらせる“絶好のモチベーション”と考えればいいのです。
もちろん、このやり方も危険ではあります。
というのも「To Doリスト」は簡単に片づけるものだけが先に終わり、困難なものが残り続ける欠点があるといったアンケート結果もあるからです。
しかし少なくとも、一般に言われているような方法が自分にピッタリと合っているわけではないことが、こうした例からわかるでしょう。
集中できるやり方を考える
ケリー・マクゴニガル氏は、
「時間の管理より、性格の管理をしています」
と述べています。
結局、自分自身がどう働き、何がモチベーションとなるかを知ることが、生産性を高める最高のポイントだと説いているのです。
どのような方法が心身を充実させ、集中力をアップさせたのか、しっかり見返してみましょう。時間帯やシチュエーションによって変わってくる集中力を、どうやって配置するのかを考える必要があるでしょう。
またオフの過ごし方についても、自分が本当に幸せを感じる方法を探してみてはどうでしょうか。予定が埋まっていないと何か物足りないと感じるなら、心身の状態を確認しながら予定を埋めていけばいいでしょう。逆にリラックスした時間が自分のエネルギー源で幸せだと感じるなら、ゆったりとした時間をしっかり取るようにすべきです。
今後、テレワークがさらに広がっていくことで、時間の使い方の自由度も高まる可能性があります。自分の「性格」をとらえ生産性を上げる方法を研究していくのも、今後の働き方の指針づくりに役立つのではないでしょうか。
自分の性格をもっと把握したいなと感じた方は、こちらもご覧ください。
参考:『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』(ケリー・マクゴニガル/日経BP)