つい他人と比較してしまい、自分の短所に怒りが湧いてしまう人は、自己受容の度合いが低いのかもしれません。前向きに生きるための重要なポイントである自己受容の高め方を解説していきましょう。
- こんな状態は要注意!
- 自己受容と自尊心の違い
- 自己受容が高いと起きること
- 自己受容を高める方法9選
こんな状態は要注意!
次のような状況に苦しんでいませんか?
・困難な状況なときほど自己嫌悪がひどくなる
・自分を顧みることがイヤでムチャをしてしまうときがある
・自分の欠点や弱さを恥じている
・自分の欠点を見ないようにしている
・他人があなたの欠点を指摘したり批判すると過剰に反応してしまう
・いつも自信がない
・つい他人と比べてしまう
・ワーカーホリックから抜け出せない
こうした態度や心境の大きな原因の一つは、自己受容の低さかもしれません。「自己受容」とはありのままの自分を受け入れること。自己受容は幸福感と非常に関連が深いことがわかっています。
そして多くの人が自己受容の低さに悩んでいると言われています。ただ、自己受容は訓練で高めることができるとのこと。幸福を感じるためにも、自己受容を高めてみませんか?
自己受容と自尊心の違い
自己受容と近いものに、自尊心があります。ただ近年の心理学では、自尊心より自己受容の方がメンタルヘルスを維持するのにも、幸福感を高めるのにもより重要だと言われています。
というのもいくら自尊心が高くても、自分の状態が悪くなればメンタルへルスが悪化することがあるからです。一方で自己受容が高い人は、どんな状況でも自分への信頼を損なうことがありません。自分の欠点も含めて自分を受け入れているので、他人などからの評価で自分の価値が上下することが少ないのです。
じつは自己受容を高めようとする人の中には、自分が誇れるような行動を増やそうとする人がいます。もちろん、こうしたこと自体は素晴らしいのですが、それは自己受容を高めるのではなく、自尊心を高めることにつながるケースが多いようです。つまり、そうした素晴らしい行動を維持できないときに、自分の価値に疑いを持ってしまうケースが出てきてしまいがちなのです。
また自分が完璧だと感じたり、常に100%の自信を持っていたり、常に自分が正しいと思っていたりするのも、自己受容が高い態度とは言えません。人は誰でも調子の悪いときもあります。だからこそ常にパーフェクトな自分を信じようとするのは、幸福感を高めるものではないのです。
自己受容の高い状態は次のような場合です。
・自分の欠点や弱点を認めている
・ありのままの自分を心地よく感じている
・他人からの批判を攻撃と感じることなく受け入れる
自己受容が高いと起きること
では、自己受容が高いとどんなことが起きるのでしょうか?
さまざまな解説を読む限り、自己受容が高まると次のような生き方ができるようです。
・他人からどう思われるのかをあまり気にしない
・幸福感が高まる
・他人と質の高い関係を構築できる
・自分の成長させることができる
・人生の課題に向かっていくことができる
逆に自己受容が低いと冒頭に示したような行動を取りやすくなります。さらに自己受容が低い人は、ストレスを管理する脳の部位が弱く、ストレスを感じやすくなるそうです。そのためメンタルヘルス不調の危険性が高くなるそうです。
このように書いていくと、自己受容を高めたいと思う人も多いことでしょう。
自己受容を高める方法9選
さて、ここから自己受容を高める方法を書いていきます。一つ問題なのは、人によって効果的な方法が違うことです。一つひとつ試しながら、自分に合った方法を探してみてください。
①自分の価値観を明らかにする
自分の価値観に沿って生きることで、より自分を受け入れやすくなります。そこで、自分がどんな価値観に沿って生きているのかを考えてみましょう。その上で自身の価値観を受け入れましょう。
もちろん現実的には、自分の価値観を曲げなければならないことも多いでしょう。ただ価値観を明らかにして現実に対処するのと、何となく違和感を持ちながら行動するのには違いがあります。
②境界線を設定する
対人関係はもちろんのこと、仕事や経済面などについても、自分なりの境界線を引きましょう。家族でもここまでは立ちいってほしくない、仕事もこれ以上は無理しない、趣味があってもここまでしか出費しないなどなど。さまざまな境界線は、自分を守る大切なポイントになります。そして、さまざまなことから「浸食」されない自分のポジションが、自己受容を促進します。
③自分を許す
間違いを犯したときに、自分を責めず、許しましょう。また、あらゆることが自分の責任だと思い込まないようにすることも重要です。客観的に状況を省みて、失敗にはさまざまな要素があることも理解しましょう。
④他人と比較しない
SNSなどで他人と自分を比較し続けると、ますます自己受容が遠のきます。比べるなら他人とはではなく、過去の自分と比べましょう。そして1ミリでも進歩したと思えるように行動しましょう。
⑤すべての感情を受け入れる
ポジティブな感情もネガティブな思いも、すべて受け入れましょう。ネガティブな感情が湧き起こると、ついついそれを押し殺そうとしてしまいます。そうではなく、ネガティブな感情から何を学ぶことができるのかを考えてみましょう。
例えば他人に対する怒りの感情であれば、その奥底に自身の嫉妬や正義感を発見することもあるかもしれません。そうした奥底の思いを、ネガティブな感情が伝えてくれたと考えれば、受け入れやすくなるでしょう。
⑥長所と短所をリスト化する
短所を受け入れるのは簡単ではないかもしれません。しかし短所・長所の両方をリストにまとめて良い悪いを判断せずに見る練習をすることで、価値づけを離れて短所を受け入れることができるようになります。
⑦感謝の日記をつづる
感謝していることを、日々書いていきましょう。人から親切にされたといったことはもちろん、恵みの雨や新緑の鮮やかさなど地球や自然に感謝するといったことでも構いません。感謝を意識することで、自己受容が高まるそうです。
⑧ポジティブなセルフトークを心がける
自己受容が低い人は、独り言でも自分を批判しがちです。だからこそ自分にやる気を起こさせ、前向きにさせるセルトークを考えて、日々自分に唱えるようにしましょう。自分がどんな独り言を話しているのか、気づいていない人はボーっとした時間に自分が口にしていることに意識を向けてみてください。思いのほか、自分を攻撃していることに驚くかもしれません。
具体的なポジティブなセルフトークとしては、「私は強い」「私は日々、あらゆる面でよくなっている」「私はこの危機を乗り越える」「自分は思考を変える力がある」「私はふさわしい人間だ」といったものがあります。自分に合ったセルフトークを考えてみましょう。
⑨気持ちや考えを書き留め続ける
日記のように自分の気持ちや考え書き留めてみしょう。これは自分の心と親密になるための方法です。自分の本心を知りを、その思いを受け止めるためにも、文字として書き出すことが助けになるでしょう。
今日は自己受容についてまとめました。意外なほど影響の大きい心理ですので、高めるように行動してみるのもお勧めです。
心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「How to Embrace Self-Acceptance」(Sanjana Gupta/verywell mind)/「Greater self-acceptance improves emotional well-being」(Harvard Health Publishing)