精神力を高めたいと思う人は多いことでしょう。しかし「根性を鍛える」といった方法が性に合わない人は、どうすれば精神力を鍛えられるのかはわからないもの。そこで根性を必要としない、ちょっと意外な精神力の鍛え方をまとめてみました。
- 柔軟性も精神力の強さに通じる
- アドバイスを求める
- 家族や友人とつながる
- タスクを分解する
- 困難から成長の種を発見する
- 自分の強みを理解する
- 学び続ける
- 未来に希望を持つ
- 変化を受け入れる
柔軟性も精神力の強さに通じる
精神力の強さが重要なことは、多くの人が知っていることでしょう。未来の成功をつかみ取るためには目の前の欲望に負けず、地道に努力を続けることがいかに大切なのかが、大人になれば身に染みてわかるからです。一方で、大人になってから精神力を鍛えるために体育会系的なしごきを体験したいと思う人は、あまりいないでしょう。
じつは心理学における意志力は、習慣の継続や自己規律の高さだけを表すものではありません。柔軟性や粘り強さといったことも含みます。つまり自分のルールだけを守り周りに流されないようにするだけではなく、必要に応じて自分を変えていく柔軟性も精神的な強さを示すものなのです。
また困難をしなやかに乗り越える力である「レジリエンス」も、強い精神力には重要です。柳に風と困難をやり過ごす柔軟な精神が、絶望的な状況からの立ち直りに重要なことは誰にでもわかることです。
こうした総合的な観点から精神的な強さを考えると、根性で耐えるといった方法とは別の“鍛え方”を見つけることができるのです。
それでは、さっそく鍛え方を紹介していきましょう。
①アドバイスを求める
他人にアドバイスを求めることは、心の強さが必要となります。というのもアドバイスを求めるためには、自分の弱さを認める必要があるからです。また他人の意見を受け入れる柔軟性も必要になります。
自分のやり方に固執している人は、他人からのアドバイスを拒絶する傾向があります。そうした行動が問題への対応を遅らせ、心が折れてしまうような結果につながりやすいことは理解できるでしょう。
アドバイスを求めることが精神力と関係しているとは意外に感じるかもしれませんが、これからは意志力を鍛えるためにも積極的に他人にアドバイスを求めるようにしましょう。
②家族や友人とつながる
精神力が強い人は、孤独に何かを突き詰めている印象が強いものです。しかし気落ちしたところからの復活に大きく関係しているのは、家族や友人などの人間関係です。
困難な時期にサポートしてくれる人、あなたの問題に耳を傾けてくれる人を持つことは、自信を失った希望を取り戻すのにも有効です。また自分が困った人を助けることは、自身のレジリエンスを高めることも知られています。
人生はうまくいかないことも多いもの。だからこそ、困ったときに支えてくれる人が周りにいることは、とても重要なのです。
③多様な戦略を持っている
私たちは精神力の強い人を、忍耐力がある人だと思いがちです。しかし忍耐だけでは、対処できないことは往々にして起こるものです。だからこそ、さまざまな問題を想定してあらかじめ戦略を立てておくことが重要になるのです。
例えば、資格の勉強をしたくない日のために、簡単に終わらせる方法を用意しておくといったことも、戦略の一つです。ただ耐えるのではなく、通常なら耐えられない状態でも何とか機能する方法を考え、状況に合わせて実行することが重要なのです。
問題解決や意思決定、自己管理などの領域で、多様な戦略を持つようにしてみましょう。それも精神力を高める方法の一つです。
④タスクを分解する
さまざま目標の実現に向けて動き出すときに、とても重要なのが大きなタスクを分解して、実行可能な単位に分けることが必要になります。また小さなタスクを完了させることが、目標達成の意識を高め、自信やスキルの積み上げにもつながります。複雑なタスクをこなせない人は、タスクを実行できる精神力が足りないのではなく、実行可能なカテゴリーに分けて考えることが上手ではないケースもあります。そうした能力に不安がある場合は、思い切って小さなタスクへの分解を、他人に頼むのも一つの方法でしょう。私たちは日々のタスクを実行できないと、精神力や意志力が足りないと考えがちです。しかしタスクの分解が不十分だったりする場合があることを、認識しておきましょう。実現可能なタスクへの分解の善し悪しは、結果的に精神力の強弱につながるのです。
➄困難から成長の種を発見する
困難に直面したときが成長のチャンスだと、よく言われます。実際、さまざまな困難は学びと成長を促してくれるものです。実際、簡単に対処できるようなトラブルであれば、「困難」だと思うことすらないでしょう。
だからこそ困難に直面したときは、自身の成長の種を探してみましょう。面倒だと考えるのではなく、それが自分の何を成長させてくれるのかを、真剣に考えてみましょう。
⑥自分の強みを理解する
タスクの達成やストレスへの対処には、自身の長所を活用すべきでしょう。例えば対人関係が強いならば、タスクの達成のために人脈を駆使する方法もあります。黙々と手を動かすのが得意なら、そうした作業を先に手掛けるといった方法もあるでしょう。
自分の強みを認識できれば、こうしたことがスムーズにできるようになります。だからこそ自分の強みを、しっかりと把握するようにしましょう。
⑦学び続ける
新しい知識を継続的に得るようにすることは、ルーティンが多い日々の生活に刺激を与えてくれます。それは老化の精神的な影響を減らすことにもつながるようです。また⑤とも少し被りますが、学び続けることで自分の強みを発見することも繋がるそうです。アリス・ボーイズ博士が書いた『Stress-Free Productivity』にも、精神的な強さを測る基準として、学び続けていることをポイントとしてあげています。もちろん新しい知識は、これまで知らなかった世界の扉を開くことにもつながります。
ここでの学びは、実生活に役立つ「実学」である必要がありません。資格の勉強が続かなかったとしても、心理学や社会学、文学といったことに興味があり、学び続けているなら、それは精神力を鍛えることに繋がっているのです。
⑧未来に希望を持つ
楽観的な見通しで未来に希望を持つことは、困難な状況への対応にプラスに働きます。繰り返しますが、困難に耐えるだけが精神力の強さではありません。ポジティブな側面に焦点を合わせて、希望に満ちた未来を考えられることも、精神力を強くするポイントになります。
希望溢れる未来を、細部までしっかりと思い描くといった手法も役立ちます。人はついつい悲観的な未来を考えがちですが、あえてポジティブな未来を想像して行動してみましょう。それも精神力を鍛える方法の一つです。
⑨変化を受け入れる
社会の変化もビジネスのスピードは早くなり、以前では思いもかけなかったことに気を配らなくてはいけません。そうした変化を受け入れ対応することが、必要になってきています。
さまざまな状況に変化に対応しながら、どうすれば目標を達成できるのかを考え、自分がコントロールできることに集中するのが重要になります。
今日は精神力を強化する意外な方法をまとめました。努力と根性だけではなくちょっと意外な“鍛え方”で、精神力のアップを狙ってみてはどうでしょう。
心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「7 Subtle Signs of Mental Strength」(Alice Boyes Ph.D./Psychology Today)/「How to Be Mentally Strong: 14 Ways to Build Mental Toughness」(Positive Psychology)/「10 Ways to Build Resilience」(Kendra Cherry/Verywell Mind)/「9 Ways to Strengthen Your Resilience」(Abigail Brenner/Psychology Today)